小原啓渡関連 - メディア情報

2001.01.11

『ウェーブ’01 京都系』京都新聞/2001年1月11日

生活の場に
「「表現」 届ける
芸術「翻訳家」
京都の小劇場演劇で活躍してきた杉山
準さん(三五)上京区=は今、気鋭の劇団
全国から招いて三月末から開催する演
劇祭の準備で忙しい。京都の代表的な小
劇場「アトリエ劇研」(左京区)のプロデ
ューサー。「この場所を核に、演劇を人
々の暮らしに身近なものに」と意気込む。
限られた人のもの?
杉山さんは七年前、演劇講座「演劇
ギナーズユニット」を、市中京青年の家
協力で主宰した。「演劇が限られた人
だけのものになってきている」との危機
感がバネになった。
当時の所属劇団のけいこ場だった同家
会場に、演劇に興味のある市民に発声
法や演劇理論を教え、素人劇団の上演に
こぎつける試み。これまでに百五十人以
上の男女が受講した。
杉山さん自身は「劇研」のプロデュー
サー就任を機に、後進に運営を譲ったが、
「演劇を暮らしの中に」 の信念は変わら
ない。「気軽に演劇の楽しさを体験する
機会を持てれば、演劇を好きになってく
れる。すそ野を広げれば、 演劇を取り巻
<土壌が豊かになる」
演劇、舞踏、大道芸・・・
中京区三条通御幸町の「1928ビ
「ル」。新世紀を目前にした大みそか、年
越しイベント「京都アーティストファイ
ル」が開かれた。幅広いジャンルのアー
ティスト三十組以上が、ビル内のギャラ
リーやカフェで音楽や映像作品を披露
し、訪れた人たちはさまざまな芸術表現
を満喫した。
ビル最上階のホール「アートコンプレ
ックス1928」の舞台には、昨年のホー
ル利用者を中心に、演劇や舞踏か
ら大道芸、ボディービルまで、幅
広いアーティストが次々に登
場。「世紀の変わり目をとら
お祭りですよ」。ホー
ルのプロデューサー、
小原啓渡さん(四〇)
=南区=はホール
の観客とアーティ
ストがあやなす熱
気に目を細めた。
コンプレックス
は「複合体」の意
味。異なった分野
のアーティストが
融合する場を目指
す。小原さんは「特
定の分野のファン
だけが出入りする
京都系
との出
会い
未知
のではなく、ホールが縁で未知の芸術表
現に気軽に出会うことができる」と言う 。
京都の都心部では近年、1928ビル
や京都芸術センター(中京区)など、芸
術活動の拠点となる施設が相次いでオー
プンしている。 スタッフたちは、閉鎖的
になりがちな芸術の世界と市民の仲を取
り持つため、「アート・マネジメント」
に力を入れている。
優れた人材発掘へ
京都橘女子大・文化政策研究センター
の小暮宣雄顧問)は「芸術というと身
構えてしまう人は多い。アート・マネジ
“演出
99
メントは芸術の良さを市民に分かりやす
京
く届ける工夫をする『翻訳』の仕事。
都には一般には知られていない優れた芸
術家がたくさんおり、役割は大きい」と
話す。
小原さんは「エンターテインメント性
とみ
は日常から芸術への入り口になる」
る。アートコンプレックスでは、娯楽性
豊かな表現活動をしている芸術家や団体
の公演を、利用料の減免や宣伝活動で積
極的に後押ししている。「例えば買い物
のついでにアートを楽しめるような、風
通しのよい、開かれた空間にしたい」
写真は、年越しイベントを見守る「アー
トコンプレックス1928」のス
タッフ。芸術と市民を結ぶ
「翻訳家」たちだ(中
京区)
そ野が広がれば

2000.09.15

『レトロビルから発信されるアートの世界を』シティリビング/2000年9月15日

ART COMPLEX 1928
昭和3年(1928年)に建築された、旧大阪毎日新聞社京都支局ビル。アー
ル・デコの影響を受けた貴重な建築物として、 京都市登録有形文化財に登
録されているこのビルが、昨年12月 「1928ビル」 となってオープン。 その3階
部分に登場したのが 「ART COMPLEX 1928 」 です。
複合的アートの体験の場〟をコンセプトに、演劇、ダンス、ファッションショ
ー、展覧会など、さまざまなアートの発信の場として利用できる、 約220平方
ものスペース。 気軽に鑑賞できる公演などもあるので、出かけてみて。 公演ス
ケジュールなどはホームページでも紹介されています。
京都市中京区三条通御幸町角1928ビル3階 http://www.pan-kyoto.com/ac 1928
075 (254) 6520
アレ
レトロビルから発信される
トロ
アートの世界を

2000.08.01

『建物も「第2の人生」』朝日新聞/2000年8月1日

建物も「第2の人生
者の近代支穿カン た
々とマンションに変わるの
苦々しく思ってきた。
耐震補強はしたが、内外
装はほとんど手を加えてい
「美しい建
にこだわった。
物は使ってこそ価値がわか
る。博物館のような保存に
はしたくなかった」
東京アパレルメーカ
古くなった建物を改装して、別の用途に使う例が増えている。 「スクラップ・
アンド・ビルド(解体と新築)」を繰り返してきた国内でも、建物を何世代にも
わたって使うヨーロッパのように、変化の兆しが表れている。
し、一帯を「小さなブロー
「ドウェー」にするのが、小
原さんの夢だ。
川沿いの倉庫が本社
京都1928ビル
個性あふれる
に建てられた。もともとは
毎日新聞の京都支局。ホー
ルは講演会場などとして使
われてきた。
ホールで再生
絞り出すハスキーな歌声 「天井と使い床に響いては
が、吹き抜けのホールに響 っきり歌詞が聞き取れる。
く。 マイクを使わなくても こんな音響は最近のホール
ピアノやバスの音にかき消 でも少ない」。響きにこだわ
されることはなかった。 彼女は満足そうだった。
京都市中心部の三条御幸 アーチ型の天井を支える
町角。「1928ビル」に 薬が客席に向かって並ぶ。
あるホール「アートコンプ トンネルか体育館を思わせ
レックス」で6月、ボーカ る内装は、ホールより「公
リスト渕上純子さんの「ナ 会堂」の呼び名が似合う。
マ音」ライブが開かれた。 名前通り、70年以上も昔
運営にあたるのは、歌舞
伎の舞台技術者として世界
を回ってきた小原渡さん
「世界中、ホールの
(4)。
中はどこも同じ。ここは違
った。見た瞬間、 『おもろ
い』と思いましたね」
照明以外、特別な仕掛け
はない。シンプルな構造だ
けに、自由な舞台づくりが
演劇やライブだけ
できる。
でなく、ファッションショ
見本市も開かれる。街
の中心にある立地を生か
④ 「1928ビル」内のアー
トコンプレックス。 半円形の
天井が続く/提供・小原啓渡
さんビル外観。設計は京都
市役所も手がけた武田五一=
いずれも京都市中京区で
周囲にはここ数年、カフ
ェやブティックも次々でき
週末は若者でにぎわう。
「建物を再生して以来、
通りの表情まで変わってし
まったのには驚いた」。京
都支局の移転に伴い、98年
に買い取った建築家若林広
幸さん(33)は言う。歴史を
社員食堂から、隅田川
下る観光船の修学旅行生が
手を振るのが見える。オフ
イスに入ると、高い天井と
間仕切りのない空間。 ラフ
なシャツ姿の社員が忙しく
行き来している。
東京都江東区。アパレル
メーカー「エイ・ネット」
の本社は、外からは巨大な
コンクリートの箱にしか見
えない。倉庫を5年前に改
装した。同社は「事務と
機能の両方を生かすこと
ができる」と説明、かつて
の荷さばき場も商品搬出用
に使っている。
東京・東麻布で編集スタす」と話す。
ん(?)は昨秋、エイ・ネッ
トの本社など、第二の人生
歩む建物を集め、「東京
「リノベーション」と題した
本にまとめた。
不況で家賃の安い古い建
物に引っ越した建築家やデ
ザイナーが、好みの内装に
変えたのがきっかけで、90
年代後半から、どこにでも
あるビルの活用が目立って
きた。高木さんは「立地さ
えよければ、どんな古いビ
ルでもおしゃれな空間にか
わる。用途を失った建物に
命を吹き込む逆転の発想で

2000.06.24

『スポット探検 1928ビル』日経流通新聞/2000年6月24日

【第三種郵便物認可】
日経流通新聞
2000年 (平成12年) 6月24日 (土曜日)
御池過
姉小路通
三条通
928
四条通
木丛町通
河原町通
新京極通
寺町通
御幸町通
三灸通
三条駅
川端通
ピット指
(10)
る。
大型建築の増加で昔ながらの街並みが変わりつつある京都。だが一
方で、古い町家や建造物をレストランや店舗にリニューアルする動き
目立っている。昨年末、市の中心部である三条通に再生オープンし
た「1928ビル」も、そのひとつ。 かつての新聞社支局ビルがア
ートの発信拠点として生まれ変わり、新たな存在感を醸し出してい
(フリーライター 清野 由美)
1928ビル (京都市)
落ち着いたムードのカフェ・アンデ
パンダン
京都市の中心、四条河原町 たのが京都市在
から北へ歩いて八分。京阪線の建築家、 若
三条駅、地下鉄東西線市役所 林広幸さんだ。
前駅からも徒歩五分というア 「乱開発が進む
クセスのよい三条通に「19 京都の現状に、
28ビル」はある。
一矢を報いたか
三条通は明治から昭和初期 った」という。
にかけての洋風建築が並ぶ界 土地建物の取
隈(かいわい)。昭和三年(一 得と改築補修に投じた費用は 28」を若林さんが出資する
九二八年)に大阪毎日新聞社 三億円。取り組むにあたっ 「一九二八」が運営する。
京都支局ビルとして建てられ ては、 「古いビルをただ博物 ほかに無国籍創作料理店の
1928ビルも、玄関の円 館的に残すのではなく、新し 「アマーク・ド・パラディ」
柱や天井 窓などにアールデ <用途が広がるように」と、 (二階)と、カフェバー「カ
コの意匠が施され、レトロな 「アート活動の発信拠点」と フェ・アンデパンダン」(地
雰囲気だ。
いうコンセプトを決めた。 下一階)、現代アートの「同
二年前までオフィスビルと 新築当時のアースカラーに 時代ギャラリー」 (一階)、
して使われていた建物は、近 外壁を塗り替えたビルは、地 併設ショップの「キュピチュ
年老朽化が激しく、取り壊し 下一階から地上階。吹き抜ピショップ」(地下一階)が
が予定されていた。それを買けになった三、四階のホール テナントとして入る。
い取り、保存再生に取り組ん 「アートコンプレックス19
見づけた!
京都中心部の歴史的なビルをアート
の発信拠点として再生
イベントを開くホールを中心に、 飲
食、ギャラリーを併設
③文化発信の理想と経営面の採算収支
は長い目で考える
アを使った広さで、パーティのを京都でやっていきた
や展示会などホールに準じい」と、一九二八の共同出資
「ビル
イベントもできる。 で、ホールのプロデューサ
全体で人を呼び、ひとつのカ ーでもある小原啓渡さんが
ラーを作り上げる」という運 う通り、オープンから今まで、
営者の意向が反映されてい ダンス、演劇、写真展、ファ
る。
ッションショーなど様々なイ
ベントを催した。
拠点としての存在感を
示すのが、約二百人収容の三、
四階ホールだ。
「客層もジャンルも限定し
飲食店はいずれもワンフロないで、今までになかったも
洋館にアート集う
「演劇世代」という京都の
若い劇団の特集興行や、「ヌ
ヴォーシルク」というフラ
ンスの新しい複合サーカスの
展覧会など、 それらのイベン
トには京都ならではの実験
的、カウンターカルチャー的
な色彩が強い。
三条通という好立地と、京
都市の有形文化財という建物
話題性が重なり、ホールの
稼働率は九〇%という高水準
を維持している。 ゴールデン
ウイークに催した「荒木経惟
写真展・京都白」では、一
週間で四千五百人の来場があ
ったが、これは京都のアート
関連イベントでは異例ともい
える 。
同展ではビル全体をオール
昭和初期に建築された新聞社のビルを修復した
・3-4階 「アートコンプレックス 1928」
2階
「アマーク・ド・パラディ」
1階 「同時代ギャラリー」
「キュビキュビショップ」
・地下1階 「カフェ・アンデパンダン」
フロア構成
ナイトで開ける日を設けた
くない。
様々なイベントが
行われるホール
よくて、話題がある
建物だからこそ、今
施設に欠けて
いる「思い」を形に
したい」(若林さん)
ビル全体の日
標は三千五百万円と
「高めに設定した」
が、現在の推移でい
くと二千六百万円の
見込みだ。
まず志ありきの出発で、 では成り立たない」と認める。京都に住む人の間で、同ビ
それに共鳴したスタッフやボ それでも事業に踏みきったルの再生を歓迎する声は多
「理想七、採算三のバランランティアが集まってくれのは、「商業的に非常に優位い。春に同ホールで、京都発
スで行こう」。1928ビル た。 今はその中で独自性を打な立地」「建物の歴史」とい オリジナルニットのファッシ
をスタートす
条件がこのョンショーを開いた福井雅己
ありきの出発 ビルに伴わっさんは「街の中心にあって、
る際、この言
若林さん
ていたから しかも雰囲気が素晴らしい。
と小原さんの
同意事項だっ
だ。
側も大切にしていきた
長期視点で経営
「ビアホーい」と話す。
とはいえ
ルなどにすれ こうした声を頼りに「当初
古い建物を改修し、さらに「アち立てている最中」と、小原 ば目先の利益は期待できるとの理想七、採算三の割合を、
ート」という看板で売るのは、さん。若林さんも経営に関し思うが、長い目でみたら経営 十年後に逆転させたい」と若
事業採算的には決してやさしては「五年程度の短期スパン的にも望ましくない。立地が林さんは意気込む。
私の採点
「サヴィ」 長
岩井貴代さん
この建物の行方は、取り
壊しが取りざたされていた
ときから気になっていまし
このような形で再生さ
れて、京都に住む人間と
てうれしいです。
ホール使用料手ごろ
ですが、その点が改善され お昼に二階のレストランを
しかも使用料が手ごろ。訪ねたのですが、ドアを開
これなら若者や、やる気のけるまで本当に営業中なの
ある人たちが集まってくるか心配でした。初めてここ
のではないでしょうか。 に来る人を呼び込む意味で
も、一階に目をひく店があ
るといいと思います。
センスのいいアートショ
ただ、建物の入り口を見ップや、ニューヨークにあ
以前のホールは、雰囲気
ただけでは、中に何がある るようなギャラリー 木屋
はあっても電源などの設備
が古くて使いづらかったのかが分かりにくい。先日、さんなら、魅力的ですね。
でーた
▼事業主 若林広幸建築研究
▼運営
一九二八
▽開業
12月10日
ユビキュビショップ」、 1
・アンデパンダン」と「キ
階に「同時代ギャラリー」、
▼施設概要 地下1階、地上
4階。 地下1階に「カフェ
▼延べ床面積 1150平方
▼年商目標 3500万円
▼敷地面積 330平方
2階
にレストラン「アマー
クドパラディ」、 3-
4階にホール 「アートコン
プレックス 1928 」
▼駐車場 なし
ギャラリー正午ー午後
7時、 2階レストラン=4
前11時半一午後11時 (土日
は午前零時) 3-4階ホ
ルー午前9時~午後9時
正午 午前零時、ショッ ▼所在地 京都市中京区三条
▼営業時間 地下1階カフェ ▼投資額 3億円
1 御幸町
プ=正午一午後8時半、
が、こうした全一致の取り
組みが、特に新しい「場」を
求める若い層や、感度の高い
三十代女性を呼び込んでい
る。

2000.05.01

『NEW KYOTO ART COMPLEX 1928』KYOTO VISITORS GUIDE/2000年5月

New Kyoto
Art Complex 1928
Something old for the very young
Leading the way into the 21st century
Kyoto is much more than just a city of ancient culture and traditions. It is also a growing, changing modern city that has world famous high-
tech companies, leading edge designers and countless entrepeneurs. Kyoto is a city that both leads into the past and into the future. Enjoy
ancient history or history in the making-enjoy Kyoto.
At the corner of Sanjo and Gokomachi
(D-6, pg 11 map), diagonally across the
street from a glass-walled building of
hip cafes and boutiques, stands an
orange-colored three-story building
that was built way back in 1928. Until
a few years ago, this was the Mainichi
Newspaper Kyoto Branch Office.
When the newspaper moved to newer
quarters, the old building was sched-
uled to be torn down. A public protest
that clearly proved that the building
was a historical asset saved the build-
ing. In answer to the public outcry,
Hiroyuki Wakabayashi, the architect
who designed the new Mainichi Kyoto
office, decided to buy the building and
turn it into a youth culture space.
In December of 1999, the building-
now repainted and completely redone
inside-reopened as an art center
focused on young artists and young
people in general. The first floor is a
leading youth art gallery and art shop.
The basement is a huge bar/cafe. The
second floor is an Italian restaurant,
and the third floor a cultural hall
called Art Complex 1928.
Until a few years ago, the Art Complex
1928 space functioned as a lecture and
drama hall. The hall, about 210 square
meters in size, has now been entirely
redone. The new hall features excel-
lent lighting fixtures and sound equip-
ment, and seating room for up to 250.
It can be rented out for private parties,
events, and exhibitions. The stage at
the front of the hall can be used in a
number of ways. Come and see what
the 21st century in Kyoto is all about.
Come and visit Art Complex 1928.
For rental details, or upcoming event
info call 254-6520, or e-mail: artcom-
plex@pan-kyoto.com
21世紀を担う創造性豊かな新しい京都の産業やビ
ジネス、ユニークなお店などを毎月紹介しています。
今月は、旧毎日新聞ビルを改装し、新たな息吹を取り
入れたカルチャースペース、 若者による若者のための
アートコンプレックス 1928です。

2000.04.17

『続京都探訪ハイカラ 1928ビル』京都新聞/2000年4月17日

7版
(明治25年3月17日第3種郵便物認可)
第424
京都
探訪
1928ビル
浜川町
メモ
正面バルコニー部分に大きな星形窓がある。
のほか建物のあちこちにも。毎日新聞の
章が星だったための名残。京都市指定文化財。
ビルの名称「1928」らの、いわゆる近代建築は
は、この建物が建てられた次々に取り壊され、愛
昭和三年の西暦年数。毎日
このままでは百
している。
新聞京都支局として建てら 年、二百年たった時、建築
れ、昨年までは現役支局だ 史上の空白ができる。
った。現在は建築家の若林 「そういう危機感があっ
広幸さんがオーナー。ギャ て、このビルを残しておき
ラリーやレストラン、カフたいと…。 それに設計
などが入居、三階は貸しの武田五一に対する思い入
ホールだ。新聞社支局としもあるようです」
派手な肌色は
名称は変われど現役
ては老朽化し、使用に耐え 武田五一といえば、近代
られなくなった建物が、 な 建築界の巨人。 ここも、彼
ぜ生き残ったのか。運営の傑作のひとつ。 大正末期
理に当たる 「ART CO から昭和初期に流行した、
MPLEX 1928」の窓の直線的なを重ねて水
プロデューサー小 平線を強調する様式の代
さ
んとはいう。
表的存在でもある。 外壁の
「オーナーは建築家です 色がくすんだ色から
から、こうした建築に思い 手な肌色にられ戸惑わさ
入れを持っているんです」 れたが、実は建設当初の色
京都では百年前くらいかに近いんだそう。
「ホールはかつて、京都近代の名建築を残した
い、 そんな意気込みが伝
の中小の劇団などが集立っ
ていく場だったと聞いてま ってくる。
これからもそうした役
す。
目を果たしていきたい」
文・加藤 眞吾
写真・横田 勝征

2000.02.12

『京の名建築 再デビュー』読売新聞/2000年2月12日

昭和27年11月26日第3種郵便物認可
アーチ型天井をした多目的ホールでは、照明で「1928」
を浮かび上がらせて観客を迎え入れる(京都市中京区で)
京の名建築 再デビュー
1928年築 地元建築家が修復
文化発信拠点に
戦前、ヨーロッパの先端デザインを日本に取り入
れた建築家、武田五一 (一八七二-一九三八)設計
京都市中心部にある昭和初期の名建築が、 「第二
の人生」を歩み始めた。老朽化で壊されかねない危
機にあったのを、市内の建築家若林広幸さん(5)
が買い取って修復。建設年にちなんだ「1928ピ
「ル」という名称をつけ、「文化の発信基地」として
再デビューした。近代建築の保存、活用を考えるう
えでの興味深いケースとして注目を集めている。
文川人 献 写真・山本 高裕
70年前のヨーロッパの先端デザイン
が息づく 「1928ビル」
土曜トピックス
若林さんは先鋭的作品で きな演出や照明を落とした 市が避けて通れない問題。
知られ、南海電鉄関空特急 アーチ型天井の優美な曲そこでは経済性、安全性、
ラピートも手がけた。ビル線が演奏を盛り上げ、リー生活、歴史、文化などの諸
を買ったのは九八年。「優ダーの門奈紀生さんも「音 課題がせめぎあう。 関西の
建築物が老朽化して
近代建築に詳しい滋賀県立
効果がいいし、何より
されていくばかりでは、京 雰囲気がある」と、ホール大学の石田潤一郎助教授は
都の近代建築は空白になっ たたずまい”に感激「近代建築は使われてこそ
てしまう。ビルが老朽化 した。
意味があるから、今回のよ
売りに出ていると聞き、 少 「近代建築物をどう保存 うに転用して保存するのは
しでも延命させたいと思っ していくか」は、現代の都 理想的だ」と評価する。
た」という。
ビルはコンクリートが劣
化し、鉄筋も腐食。地下は
配管から水が漏れていた。
このため八か月と約五千万
円かけて修復、耐震壁二十
二枚で補強した。 「人が
集まり、使ってこそ建築」
と考え、自分の事務所だ
玄関口った三階ホールを多目的ホ
積は千七十平方が。
のクランク型に屈曲する直ール「アートコンプレック
線模様やビル前面の強調さス1928」、二階をレス
れた水平線、三階ホールのトランにし、地下のカフ
アーチ型天井など、当時ヨェ、一階のギャラリーと
ーロッパで流行したデザイともに昨年十二月、新生
ンが取り入れられている。 928ビル」がスタートし
武田は、二十世紀初頭にた。
渡欧してアールヌーボーな 先月二十九日には、ホ
どデザインの新潮流を学んールで初のコンサートが催
京都大本館、京都市役された。出演はタンゴバン
一
所本館などを設計。同大建ド「アストロリコ」。
同ビルは一九二八年(昭建設され、毎日新聞京都支
和三)、大毎京都会館とし局などが入った。鉄筋地下築学科の創設にも尽力し、九二八年にアルゼンチンで
中京区三条通御幸町角に一階地上三階建て延べ床面教授を務めた。
作られた曲を織り込むい
讀賣新聞
THE YOMIURI SHIMBUN
2 月 12 日 土曜日
2000年(平成12年)
読売新聞大阪本社
大阪市北区野崎町5-9
郵便番号 630-8551
EVENING EDITION (日刊) 第16933号 読売新聞大阪本社 2000年

2000.01.15

『あすを生きる 小原啓渡インタビュー』京都新聞/2000年1月15日

京都の繁華街の一角、中
京区三条通御幸町に「アート
コンプレックス1928」は
ある。 らくだ色をした四階建
てのビルの三、四階部分を修
復し、昨年十二月に誕生した
多目的ホール。舞台芸術、音
楽など、文化創造の新たな拠
点として注目を集めている。
もともとこのビルは、 京都市
役所や京都大の時計台などを
設計した武田五一が手がけ、
一九二八年に完成した毎日新
聞社京都支局の建物だった。
支局移転を機に、建築家の若
林広幸氏が九八年に買い取
保存している〉
を担当することになった」
<電源、冷暖房、照明、音
響設備は完備したが、天井は
アーチ型のまま。意匠的には
昭和初期のハイカラな雰囲気
そのままだ。白を基調にした
空間は劇場としての個性を十
分に感じさせてくれる〉
だけでなく、融合して違うモ
ノを生み出す段階に来てい
のではないか。別々に語られ
がちなエンターテインメント
(娯楽性)と芸術性が融合
性
したモノを発信していきた
い。日常から切り離され、洗
練されたアートを、日常に近
づけるためにも娯楽性は必要
『スーパー歌舞伎』がそ
たが
こけら落とし公演には、
東京のダンスカンパニー「コ
コンドルズ」を招いた。ダンス
あり映像、生演奏、演劇あり
とまさにコンプレックス。「徹
底した痛快無比の娯楽作品を
追求」しているカンパニーだ〉
オープンして一カ月たっ
「お客さんは、時間の堆積
が染みついている空間に魅力
を感じている。単なる箱じゃ
ない。芝居、ダンス、シンポ
ジウム、ファッションをやっ
たが、二十九日には初の音楽
ジャンルとしてタンゴを企画
している」
(パフォーミング・アーツ・
プレス」で、
ネットワーク)
「創造とはなにか」のテーマ
で芸術家へのインタビューを
連載中だが
「これまで、国内外問わず
二十人以上にインタビューし
た。『創造』は、抽象的では
あるが人間にとって根本的な
こと。日常生活で、創造して
ますか、と問いかけたい。大
切なのは、『ナンバーワン』
ではなく、『オンリーワン』。
比較して出し抜くことより、
自分にしかできない感覚をい
かに磨くかが重要ではない
か。ホールで言えば、『今の
ホール名を「アートコン
「プレックス」としたのは
「二十年ほど、照明を中心 「コンプレックスとは複合のいい例だと思う」
文化創造の新拠点に
フリーペーパー「PAN 生活、何かちゃうねん』と思
っている人に足を運んでほし
い。意識、価値観が変わるき
(聞き手 平井 利彦)
っかけになれば」
に舞台制作の仕事を続けてい
る。若林さんとは以前からの
知り合いで、ホールを見に誘
われた。二百二百五十人収
容規模のこんな劇場が街中に 体の意。異分野のアーティス
あったのかとびっくりした。 トが融合する複合芸術を目指
近年は閉鎖状態だったよう したい。歌舞伎がそうだ。 音
で、若林さんの思いは、文化 楽、ダンス、芝居が絡み合う
発信のビルに再生したいとい総合芸術ですから。 近年、い
うことだった。二つ返事で『やろんなジャンルが共同で表現
りましょう』と。共同出資でするコラボレーションが試み
会社を設立し、私が企画運営 られているが、単に持ち寄る
あすを
聞く
「アートコンプレ
ックス1928 小原啓渡さん
のプロデューサー
こはら けいと 1960年兵庫県生ま
れ。同志社大法学部中退後、 舞台照明に
携わる。現在、舞台制作会社代表。フリ
ペーパー「PANプレス」も発行する。
南区在住。

1999.12.05

『旧毎日新聞支局ビル 文化の拠点にリニューアル』朝日新聞/1999年12月5日

文化の拠点にリニューアル
旧毎日新聞京都支局ビル
昭和初期に建築家武田五一によって建てら
れた旧毎日新聞京都支局ビル(中京区三条通
御幸町角)が四日、「1928ビル」と名前
を変え、リニューアルオープンした。 ビル内
演劇やダンスなどが上演できるフリース
ペースが設けられ、新たな文化の発信拠点と
して再出発する。
同ビルは一九二八年に建築
された。地上三階、地下一階
建て。三階バルコニーの形状
などにアール・デコの影響が
みられる。京都市登録有形文
化財にも指定されている。
毎日新聞が移転することを
知った建築家若林広幸さん
市民へホール残す
(HO)=上京区=が買い取り、
新名称には建築された年代を
採り入れた。支局ビル当時か
ら三階ホールは演劇や講演会
などが開かれ、市民に広く利
用されてきたため、ホール機
能は残すことにした。天井の
高さは五、広さは二百十平
客席は最大で二百五十
席。音響面などで改築を加
え、ホール名は「アートコンプ
「レックス1928」にした。
これまで営業をしてきた地
下のカフェと一階のギャラリ
などに加え、二階にはレス
トランも新たに開店した。
ビルオーナーとなった若林
さんは「京都では末までに
建てられた寺社などの建造物
保存されているが、近代建
が次々とされている。 で
きるだけ長く保存していきた
い」と話している。 ホール利
用の申し込みなどはアートコ
ンプレックス1928 (07
5・2546520) へ。
オープン記念として3階の
「アートコンプレックス19
28」ではダンスパフォーマ
ンスが披露された=中京区で

1999.12.05

『若者文化の発信基地へ』毎日新聞/1999年12月5日

若者文化の発信基地へ
旧毎日新聞京都支局ビル
装い新たにお披露目
中京区三条通御幸町角の
旧毎日新聞京都支局が、貸
レストラン 今週オープン
しホールとレストランに改
装され、今週のオープンを
貸しホールとして生まれ変わる旧毎日新聞京都支局の3階
前に4日、関係者に披露さ
れた。大毎京都会館(京都
支局)として竣工した19
28(昭和3)年にちなみ、
「1928ビル」の名称で、
若者文化の発信地として生
まれ変わる。
旧支局ビルは明治から昭
和初期に活躍した建築家の
故武田五一の設計で、アー
ル・デコ調の名建築として
知られる。昨年3月に売却
を受けた、若林広幸建築研
究所が柱や外壁などを全
この日はインドの弦楽器
のシタールが流れる中、ホ
ールでベリーダンスやパフ
ォーマンスが披露された。
ビルのオーナー、若林広幸
所長(50)が「かつての支局
のホールのように、文化の
発信地にしていきたい」と
あいさつした。
貸しホールの料金は、平
日午前10時~午後10時の終
日使用で1万円。 ホールの
こけら落とし公演は10~22
日、ダンスカンパニー「コ
面的に改修した。貸しホーンドルズ」による「200
になったのは旧支局の30年ヴァージン」。2階の
階ホールで、名称は「アー 旧支局編集室は、洋風レス
トコンプレックス192 トラン「アマーク・ド・パ
8」。演劇やコンサート、 ラディ・キョウト・コンプ
講演会など幅広い分野に利 レックス」として、5日オ
用できるという。
ープンする。
【中村美奈子】

1999.12.05

『昭和初期の名建築、いま複合芸術の砦に』京都民報/1999年12月5日

1999年12月5日 (日曜日) (毎週日曜日発行)
京
都
民 報
若者たちの注目を集める中京区の三条通り界隈。 昭
和初期の名建築を今に残す旧毎日新聞京都支局ビル
(三条御幸町角)の三階ホールが多目的ホール「アー
トコンプレックス1928」としてリニューアルオー
プンします。
設計した七十一年前の建築
物で、京都市の登録有形文
化財に指定されています。
星形のバルコニーや玄関左
のランプカバーには二〇世
紀初頭のヨーロッパの装飾
様式であるアール・デコの
影響が認められます。
若林広幸氏(南海特急「ラ
ピート」をデザインした建
築家)が私財三億円を投じ
て買い取り補修しました。
「建物は使われなければ
ならない」と強調する若林
氏はホールのオープンにあ
たって「博物館のような保
ャラリー、二階にレストラ
ン、地下にカフェが入りま
す。
し、凝った演出ができるよ
うに電気容量、音響、照明
などを再検討し、設備を整
化の一途で人々の生活から
かけ離れてしまった感があ
るんですが、今は逆に複合
コンドルズ
こけら落とし公演
10日から
を目
使いながら保存
同ビルは、京都が生んだ
近代建築家の草分け、京大
の時計台や京都市役所庁舎
設計者である武田五一が
建設当時の毎日新聞京都支局ビル
初期の名建
毎日新聞京都支局の移転
にともなって、建て替えの
話が持ち上がり、武田の建
築が失われる現状を惜しむ
旧每日新聞|
京都支
いま復合芸術の砦に
何でもござれ
ホールは木組みの床に白
壁、丸天井とバルコニーと
いう旧ホールの仕様を生か
三条通の名所残った
建築家
若林氏 三億円投じて買収・補修
存ではなく、現役の商業用
ビルとして使うという発想
だ」といいます。ビルには
三階ホールの他、一階にギ
しながら、音楽、映像、芝
居、古典芸能からファッシ
ョンショー、さらにこれら
を複合した舞台まで対応
えました。
同プロデューサーの小原
啓渡氏は「舞台芸術は細分
芸術 (コンプレックスアー
ト)の方向。このホールはこ
れに対応した」といいます。
ンスカンパニー「コンド
ルズ」を招いてこけら落と
公演が開かれます。 「コ
コンドルズ」の公演は「二〇
○○年バージン」で関西初
公演。ホールの特色と機能
を
フル活用した舞台を披露
します。芝居、無声映画と
生演奏、現代美術や指人形
まで盛り込んだ意欲的なス
テージです。
十日(金)午後七時半、
十一日(土)午後二時半・
後七時半、十二日(日)
午後二時半。一般前売り三
千円(当日三千五百円)、
学生前売り二千五百円(当
三千円) 問い合わせはア
アートコンプレックス192
80075.16520°
古典芸能からファッションショーと、ジャンルを
越えた複合芸術の場としてリニューアルする多目
十日(金)から十二日(日)
には、近藤良平さん率いる
ダ
的ホール「アートコンプレックス
午

1999.12.04

『京で「芸術の複合」発信』日経新聞/1999年12月4日

だ。
京都
にある昭和初期のレトロビ
ルを修復して、ダンスや舞台、コンサート
などを上演する新スポット「アートコンプ
レックス13288」が誕生する。 プロデュ
ーサーの小原啓渡さんは「異分野のアーテ
ィスト同士が越境して、芸術性と娯楽性
の融合を図るような実験場にしたい」と語
伝統文化を誇る古都・京都だが、
その中心部からサブカルチャーの胎動を伝
として活動が期待されそう
プロデューサー
小原 啓渡さん
こけら落とし公演は十一 のホールの幕開けを飾るにふ
十二日、ダンス集団コンさわしい。引き続き『劇団そ
ドルズによる 「2000 の一」や「劇団新屋」、河内
ヴァージン」
頭で踊るコンテンポラリー
「コンドルズはダンスにとダンスなどが控えている」
どまらず、芝居や映像 生演
など、異なるジャンルのバ
フォーマンスを複合させるエ
京で「芸術の複合」発信
こはら・けいと 60年、
兵庫県生まれ。同志社大
学部政治学科中退。舞台
作会社「リッジクリエイテ
ィブ」経営の傍ら、ミニコ
「ミ紙「PANプレス」も発
行している。
が、現者側が冒険できる
格好の成長期の劇団や
実験的なダンス公演などにふ
さわしい。周囲は繁華街だし、
観客もの論評議にふ
ける場所に事欠かない。新し
サブカルチャーを生み出す
好
入居するビルの設計は京
都市役所や京大時計台
どを手掛けた武田五一
「毎日新聞京都として
足されている。 地上四階
で、三、四がホール部
分。それ以外は飲食店、ギャ
ラリーが入居してい
家の若林広幸氏が、支局の移
転先ビルの設計を請け負った
このビルを買い取っ
た。せっかくいいホールがあ
るので、舞台制作の仕事を
けてきた私に話を持ちか
共同でホールの企画運営
会社を設立した。 若林氏とは
仕事を通じて面識があった」
ホール名は「芸術の複合
由来する。
「分野のアーティストが
越境して共同で何かを表現す
るという試みは、そろそろ実
を終えて次の段階に来
場所は三条通で京阪、阪
「京都の心にこの収容 ではほとんど使われな
面
のに、ここは半円状。
市営地下鉄いずれの のホールがあったのにはかった。プロセニアム・アー い実験ができそうだ」
最寄駅からも徒歩十分余裕がなく、客席から見た舞台の形状) 「ホールは二百二百五十
以内の街にある。 冷暖房設備もないということが、通常なら横長の四角にな席。このくらいの収容という
一九二八年に完成した。 当時
のハイカラな
ていると思う。 いろんな組み
して合わせを企画してみたい」
大阪・文化担当 岡松卓也
ンターテインメント集団。こ
、京都市の登録有形文化財

1999.12.04

『中京の旧毎日新聞京都支局 才能集う文化スペースへ』京都新聞/1999年12月4日

「アートコンプレックス1928」
ドーム型天井、 250席
中京の旧毎日新聞京都支局
きょうオープン
演劇やコンサート開催
才龍う文化スペースへ
オープンする「アートコンプレックス1928」
(京都市
中京区三条通御幸町)
っている。京都支局の移転
で、九八年三月に京都の建
築家、若林広幸氏が買い取
「り「1928ビル」として
保存している。
オープンするのは、三、
四階のフリースペース「ア
|ートコンプレックス192
「8」。音響や電気設備など
のために改装、ドーム型天
|井の下に最大二百五十席を
収容できる。 演劇や音楽コ
ンサート、パーティなどを
一催す予定。
プロデュースする小原啓
渡さん(三)は「いろんなジ
ャンルの人が集える場所に
したい。才能あふれる若い
明治の建築家、武田五一発表の場がオープンする。 同ビルは、一九二八年に人や、トップクラスも呼び
が設計した京都市中京区三 ジャンル、世代、地域の枠 建築。鉄筋コンクリート四たい。分野の違うアーティ。
条通御幸町の旧毎日新聞社 を超え、新たな文化発信 階建てで、正面に星形バル ストが交流し、新たな文化
京都支局のビル内に四日の拠点にと期待されてい コニーがあるのが特徴で、が生まれれば」と期待を寄
舞台や芸術、音楽などをする。
京都市の登録文化財にもなせる。

1999.12.02

『京都に多目的ホールオープン』大阪日日新聞/1999年12月2日

京都に多目的ホール
オープン
70年の歴史を持つアートコンプレッ
クス1928の外観
こけら落とし公演「コンド 振付師として世界的に知ら
「ルズ」のステージ
れる近藤良平が率いる男性
だけのダンサーカンパニー
で、舞台衣装は「学ラン」
という異色のグループ。 ダ
ンス、映像、生演奏、演劇
といった要素を駆使した舞
台が見もの。10日 (金) 午
10日からこけら落とし公演
3階の多目的ホール
京都三条御幸町に多目的 都支局)を建築家の若林広
ホール「アートコンプレッ
クス1928」がオープン
し、12月10日(金)からこ
けら落とし公演としてコン
ドルズの「2000年ヴァ
幸さんが買い取り、この3
階に、現代のニーズに対応
できる設備を加えたもの。
アール・デコ調の当時の姿
を残す場で1階がギャラリ
ジン」が上演される。 1、2階にレストランがあ
同ホールは昭和3年に建 る。
てられたビル(毎日新聞京
コンドルズはダンサー、
後7時半、11日(土) 午後
2時半、同7時半、1日
(日)午後2時半の4回上
演。前売り3000円、当
日3500円。
なお、12月は1日 (火)
から16日(木)まで「劇団
その1日本公演/鉄道警察
隊」、16日(土)10日
(日)に「劇団衛星/脳天
気番長椎茸を栽培する」、
2日(火)・2日(水)に
「山崎広太VS河内音頭~
河内音頭を踊る」などの公
演が順次行われる。 07
5・254・6520。 チケ
ットぴあ 06-6363
9999でも取り扱い。

1999.12.01

『京都に新たなアート・スペースが登場!』dance cafe/1999年12月

京都に新たなアート・スペースが登場!
「京都・アートコンプレックス1928で、
山崎広太が河内音頭を踊る」
京都に新しいホ
ールが登場する。「ア
ートコンプレックス
1928」は、京都の
華街に位置する三
条御幸町という絶好
のロケーションに加
え、これからの関西
におけるアート発信
地として大きな期待
がよせられているス
ベースである。
個性的な外観は、1928年(昭和3年)に大阪毎日
新聞社の京都支局として建てられたビルで京都市
登録有形文化財に登録されている。 武田五一氏の設
計によるもので、アールデコ調のデザインが随所に
感じられる。 古い建物を残す風潮と、一新していこう
とする風潮が両立している京都の中で、この御幸町
界隈は古くからの建物が比較的多く残っている場所。
アーティスティックなこのビルが、京都の新しい情報。
発信地となることは、パフォーミングアーツの世界に
とって期待の高まるところ。
ホールはビルの3、4階部分になる。旧くから講演
会や演劇公演etc. 市民に親しまれてきたスペースだ
が、いわゆる「プロセミアム型シアター」のようなつく
りにはなっていない。 200席の3階スペース、40席
の4階バルコニーがあり、5mの吹き抜けとなってい
ある。 何に使うか、舞台や客席をどう組むかは主催者の
自由。つまり創り手の想像によって、様々に変貌でき
るスペースなのだ。
「新しいアートを発信していく主旨ではありますが、
特定のジャンルのためだけのスペースにするつもり
はありません。ダンスや演劇、ヌーボーシルクetc.と
にかく、面白いと思えるアートならジャンルを越えて
どんどん減っていきたいですね。 ここのコンセプトは、
その名の通り“コンプレックス(複合) ” ですから」と、
プロデューサーの小原啓渡氏は語る。これから、 活
発に躍動している関西アートシーンに一石を投じて
くれる場所となるだろう。
こけら落とし公演としては、関西初登場のコンプレ
ックスなダンスカンパニー、コンドルズの公演を行う。
洗練された空間で河内音頭を踊る
コンテンポラリーの山崎広
そんなアートコンプレックス 1928で、 まさに「複合」
"という名にふさわしい公演
が予定されている。 12月
21日~22日の「山崎広太
vs 河内音頭 河内音頭
と踊るー」である。 コンテン
ポラリーダンスの先鋭として、
:国内にとどまらず海外でも
活躍している山崎広太。 そ
の彼が河内音頭と踊る。実
はその思いは、18年前にさ
かのぼる。
「河内音頭と出会ったのは23歳の時。 当時、レゲ、
工風にアレンジした河内音頭が流行っていたんです。
それを聞いていると、ある意味でのいい加減さ、アジ
アならではの許容量の広さを感じて。 それに明るい、
ドライ、乾いている感じもしっくりきたんですよ。 また、
僕は米所・新潟の生まれなんですが、 子どもの頃に
見できた田舎の風景・・・農耕的な腰を低くした動きに
ライブ感を見たんです」
山崎は河内音頭を使ったダンス作品を発表。 けれ
"Y"
河内音頭の踊りを本格的に学んだわけではない。
からインスパイアされた動き、身体から自然にわき
出る動きを重視した。
「紙屑かごに投げ入れられる、鮮やかなゴミ」という、
好評を得た。紙、ゴミ、という言葉は一見、酷評に思
えるが、それは亜流ではない、 自分のものを持ってい
る動きだという褒め言葉。山崎自身もその謎をとても
喜んだ。
その後、ダニエル・ラリューとの出会いetc.を経て、
彼の
人生はコンテンポラリーダンスへと躍進し
“ていくことになるが、心の中にはライフワークとして「河
「内音頭」が眠っていたのだという。
「新しいスペースでの企画公演ということで、もう
一度、河内音頭を踊ることになったけれど、 今回は昔
に比べて、もっと乾いた目でつきあえると思います。
僕も今までコンテンポラリーで築いてきた歴史があ
るし、河内音頭に対して客観的に、 距離感を持って接
することができるんじゃないかと。 自分と河内音頭の
間にある、 違い、共通性をある種冷たい目で感じ取
ることで、新たな動きを作れる関係にあると思います
アートコンプレックス1928は近代的でソフィス
ティケートされた空間。 河内音頭を、暗い場所や、祭
りで踊るのでなく、白い、洗練された空間で演るのが
面白いじゃないですか。 音は、あえて古典的な演奏
を選んでいます 」
頭に鉄砲光、三味線に豊茂といった“本物”の奏
者を迎え、古典的な河内音頭をライブで演奏。 その
中で、山崎がどう踊るのか。
「見た人に「河内音頭って、こんなに格好良かった
のか」って言わせたいですよ」
と、自信たっぷりに語ってくれた。
(by 竹内子)
●1999年12月21日 (火)22日(水)
19:30開場/20:00開演
■アートコンプレックス 1928
TEL.075-254-6520
●前売3000円 当日:3500円
●問い合わせ :
Groovism Company TEL. 075-361-4685
カッシュ TEL.03-3408-7656
アートコンプレックス 1928
こけら落とし公演/コンドルズ 「2000年ヴァージン」
1999年12月10日 (金) 19:30
11日 (土) 14:30 & 19:30
12日 (日) 14:30
問い合わせ アートコンプレックス 1928
TEL. 075-254-6520

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