小原啓渡関連 - メディア情報

2003.06.05

『小劇団の経営自立支援』日経新聞/2003年6月5日

芸術に酔う
京都にある私設劇場「アートコンプレックス1928」
が、小劇場系劇団の経営の自立を促す仕組み作りに動き
出した。劇場の自主制作として、ロングラン公演、劇団
の赤字補てんするセーフティーネットを実験的に導
入。今後、劇団を投資対象とする小劇場公演のビジネス
モデルを提案する。
「小劇場文化として根
付かせるには、米プロード
ウエーのようにヒット作を
長期公演できるロングラン
システムと、文化活動を後
する出資者の存在が必
櫻」。アートコンプレック
スの小原プロデューサ
は、小劇場系劇団の公演
採算取れるような上演
システムを打ち出した。
ロングラン公演の第一弾
は、昨年二月七日から三週
間。京都の劇団「電視游戯
科学館] が、がまん延
する大正時代を舞台にした
「ノスフェラトゥ」を、二
十六回上演し、千六百五十
人の観客を集めた。
小劇場系劇団では、一作
の公演でも週末ニー三日ど
まりがほとんどで、百人
劇場では観客動員数も
合計五、六百人程度に限ら
れる。観客が少ないときは、
入場収入で経費を賄いきれす。
ず、舞台装置や広告など
資金で赤字を補てんする仕
ロングラン公演の第二弾 組みだ。実際には四十九人
小劇団の経営自立支援
アートコンプレックス1928
劇団員
する場合も
多い。電視游
科学舘
する国本浩
康は「小劇場
劇団はロコ
ミ宣伝効果が
大きく、新し
いお客さんが
来てくれるま
で一二週間
かかるので長
期公演はあり
がたい」と話
として、同劇団が山奥の
館で起こる怪奇事件を描い
た「牡丹灯籠」を、今年四
月十八日から五月六日まで
上演した。 主催したアート
コンプレックスは、公演
用の赤字を補てんするセ
ーフティーネットシステ
公演に先立ち、
ムを導入。
一ロ一万円で、招待券を付
けて出資者を募集した。
採算ラインとする昨年の
観客動員数、千六百五十人
を達成した場合、出資金を
返却し、採算割れしたら出
京都市中京区
京都の私設劇場
千九百三十
が出資したが、
八人の観客が訪れ、出資金
は返却できた。
電視遊戲科学館の国本は
「任意団体で融資を得にく
劇団に出資までして期待
してくれる人とつながりが
できて何よりうれしい」と
語る。 サントリー不易流行
研究所部長で、出資に参加
佐藤友美子さんは「企
葉のメセナ活動が後退する
なかで、個人として文化の
担い手になれる楽しさが実
感できる」 と、その効用を
公演長期に
赤
字補てん
出資者募る
アートコンプレックスのセーフティーネ
「
演
最初のロングラ
指摘する。
ン公演から小劇場演劇
見始めた会社員の岡本就介
さんも「参加が強くな
り、より深く鑑賞できる。
次回もぜひ出したい」と
好評だ。
科学館」の公
ット、 を使った
て、小劇場劇団やパフォ
ーマンス集団の公演を投資
の対象に、小口の出資者を
募集めた出資金に応じ
入場料収入から 舞台
装置や出演料などの必要
経費を差し引いた剰余金分
を上乗せして、出資者に再
配分する。 現在、集客力の
ある人気パフォーマンス集
団や、コンテンツ・ファイ
ナンスに関心を示す証券会
社と交渉を進めている。
このほか、高額な宿泊費
公演の障害になっていた
海外劇団や遠隔地の国内劇
団のために、宿泊施設「7
ーティスト・イン・レジデ
ンス」 (AIR)を六月か
本格オープンした。 元民
間企業の社員寮だった三階
建てビルを借り上げ、 十一
部屋で十四十五人を受け
入れ、宿泊費も一泊千五百
円程度に抑えた。三月から
試験的に利用を開始してお
り、フランス、韓国、タイ
などの俳優や音楽家らが
在した。
財源不足が常化してい
る小劇団に、新たな資金
が加わることで、舞台づく
一方、出資
りは安定する。
期待に応えるよう、 公
アートコンプレックスは の質と集客力を一段と高
投資家が配当を得られるピ めていく努力も問われそう
ジネスモデルも模索してい だ。
林隆之)
る。証券会社に協力を求め(大阪・文化担当

2003.06.05

『演劇の都 投資で築け』朝日新聞/2003年6月5日

ないが、日本ではまだ
京都の小劇場と証券会社が手を組み、舞台公演の資金集めに投資のシス
テムを導入することになった。 秋のでまず1千万円を募り、興行収
入で投資者に利益をする
対象にするのは米国では珍しく
関係者は、ミュージカルの本場、米・ブロー
につくることも夢見ている。
配当を出したい
劇場の持ち出しや一部の
企業の協賛だけで、安く
質を落とすとい
ドウェーのような演劇の街
悪を打破したい」
と話す 瀬戸公
介・常勤監査役も「京都
京都の小劇場、証券会社と「共演」の創造性を発信できるチ
全額返金できた。
投資システムを計画し
ているのは、京都市中京
区三条通御幸町小劇場
「ブロードウェーのよう
街を目指すためには、
もっと幅広いがい
る」と感じ、小劇場公演
システムづくりに
踏み切った。
小原さんは「1%でもだ。
ャンス」と前向き。
関西経済連合会も小原
公演
さんの活動に注目。
企画を持つプロデューサ
らに参加を呼びかけ、
個人投資家に舞台作品の
一部を見てもらうオーデ
ィションの実施を検討中
演劇の都投資で築け
「アートコンプレックス
1928」 と、ベンチャ
企業への出資などを
がけるエンゼル証券 (本
社・大阪市)。同劇場で
10月25日~11月13日にあ
パフォーマンス集団
「キュピキュピ」のロン
グラン公演を最初の対象
にする。
同劇場プロデューサー
小原さん)が登
集めのための会社を設
立し、7月下旬からイン
ターネットで個人設
1口2万円の予
定で、集めた資金は舞台
セットや広告、会場費な
エンゼル証券はノウハ
ウ提供とアドバイザー役
を担う。 成功すれば新し
ビジネスモデルにでき
るメリットがある。
小原さんは別の公演
で、試験的に呼びかけ、
1日1万円で約3人から
0万円ほどの出資を受け
公演は好評で、目標
今秋から導入
1千万円
目指せブロードウ
今年3月、アートコンプレックス1928
であったキュビキュビのショー。 今秋の公
演が投資対象となる京都市中京区で

2003.05.04

『投資でめざせロングラン』朝日新聞/2003年5月4日

「投資」でめざせ ロングラン
演劇公演の資金集めに、小口の個人投資家を募り、目標動員数に達すれ
ば全額返金するというシステムを、中京区の小劇場「アートコンプレック
ス1928」が試みている。 ミュージカルの本場、米・ブロードウェーな
どでは投資システムが一般的だが、日本ではあまり例がないという。
中京の小劇場 新システム試行
発案者は同劇場のプロデ
公演の成功を楽しんでもら
ューサー小原啓さん。
「いい作品も小劇場では
2、3日の公演がせいぜ
い。舞台鑑賞のすその広
作品自体の熟成にも
ングラン公演を実現させた
「い」との思いからだ。
今回対象となったのは、
4月18日から6日まで公演
中の京都の劇団「電視遊戲
科学館」による「牡丹燈
ふくしゅう
兄弟の過去にまつわ
復讐を軸にした悲劇
で、大がかりな舞台美術が
見どころだ。同劇団は80席
同劇場で昨年、別の作品
で3週間のロングランを
し、1650人を動員した
実績がある。
1口1万円で、昨年と同
じ動員を超えれば全額投資
家に返金する。 少なかった
場合は、100人単位で10
%ずつ返還金が減ってい
く。 1650人を超えるよ
う、投資家は公演を口コミ
で広げたり、チケットを売
ったりしながら支援する。
もうけはないが、応援した
1口1万円 動員の実績次第で返金
う狙いがある。
関西の舞台文化関係者や
経済人など約50人が手を挙
げた。出資金は舞台美術や
チラシの制作費などに充て
た。 公演終了時、スクリー
ンに50人の名前が映し出さ
れる。 出資者らは「自分の
1万円は、あの道具に使わ
れたのかなと思いながら見
るのが楽しい」と言う。
ブロードウェーなどでは
個人投資家は「エンゼル
「ズ」や「バッカーズ」と呼
ばれる。 投資対象は作品
で、ヒットしてロングラン
になれば、相応の利益が配
当される。 投資システムは
ロングランへの足がかりで
あり、公演が評判になれば
世界中から人が集まると
いう観光資源になってい
小原さんは「本格的なロ
ングラン公演の実現で
社仏閣だけでない若年層に
アピールできる新たな京都
の観光資源にしたい」と話
している。

2003.05.01

『小原啓渡インタビュー』leaf/2003年5月

アートコンプレックス 1928 プロデューサー
小原啓渡
京都で新鋭劇団のロングランを成功させた立役者
舞台芸術のさまざまな荒波を乗り越えて奔走する
Interview
三条御幸町のアートコンプレッ
クス1928は、アーチ型の可動
式ホール。 今や世界で認められる
[コンドルズ]の関西初公演を成功
させるなど、文化の発信基地とし
熱い注目を浴びている。
プロデューサーである小原啓
さんは劇場主催公演の仕掛け人で
あり、舞台芸術を興行的にも成功
させようと毎日奔走している。 最
近では、出演者が格安で滞在でき
る施設「アーティスト・イン・レジ
デンス」も京都に確保した。
「舞台芸術はアングラっぽいイメ
ージがありますが、人々の生活と
密着すれば経済と結びつくと思っ
ています。 実際海外ではそれが成
立っていて、ブロードウェイで
は投資家がミュージカルに投資を
し、ヒットすればリターンがある
エンジェルシステムなどを導入し
ています。日本でもそれを試みた
ことがありましたが、規模が大き
すぎてうまくいかなかった。 逆に、
小さな劇場で導入していけばうま
くいくのではと、少しずつ実現さ
せようと動いています。」
そのためにも大切なのが舞台の
クオリティー。 小原さんは完成度
の高いものを見せるためにも、口
ングラン公演が必要だと言う。 そ
して今、昨年に引き続き新鋭劇
[電視遊戲科学館] の3週間口
ングラン公演を敢行する。
「公演期間の長さはもちろん、仕込
みと稽古期間を充分とることが重
要。昨年も10日間仕込みを行い、
最終的に公演3週目には入場でき
ないお客さんが出るほどでした。
劇団員たちは9日間ほとんど
夜で作業を行ったんです。 そのこ
だわりはすごい。 これからも可能
性を秘めている劇団なので、今回
もロングランに挑みます。京都は
付加価値の高い世界的にもポテン
シャルな土地。 ミュージカルを観
るためにNYへ行くように、いず
れアートコンプレックスの舞台を
観るために京都へ来る人が増えれ
ば。そんな魅力あるノンジャンル
アートを発信し た
い
です。」
DATA
4月18日(金)~5月6日(火)
2300円
科学館 「牡丹灯」
●アートコンプレックス1928
#075-254-6520
美しいと男性の切
ないと描い
た古典の名作を基に、
人間ドラマを描く。 古
い人形がひしめく洋
迫り来る無数
などの仕掛けやセット
を駆使した一大エンタ
ーテインメント。
Keito Kohara
PROFILE
こはら けいと
1960年 兵庫県宍都生まれ。同志社大学を中退後、フリーで大阪中座や京都南座
などで舞台照明として活躍。'97年にコンテンポラリー・ダンサー、スーザン・バージー
の舞台でテクニカル・コーディネートを担当し、パリ市立劇場 「テアトル・ド・ビュ
-」での公演を成功に導く。 友人の建築家・若林広幸氏から声がかかり、アートコン
ブレックス1928の立ち上げに参加。 '99年の開場後、 プロデューサーとして演劇やダン
スなど様々な公演を手掛けている。 リッジクリエティブ株式会社代表取締役

2003.04.21

『演劇運営にキャピタルマーケット』週刊京都経済/2003年4月21日

小劇場ホールの運営を手がけるアートコンプレックス
1928 (京都市中京区三条御幸町) が、 小劇団の公演を支援
する投資マーケット作りに乗り出した。 ベンチャー企業へ
の直接金融と同じように、 公演資金を提供する “個人投資
家” を公募。 観客動員数に応じて利益を還元する形を想定
している。 もちろん、 赤字になれば投資家はそのリスクを
負う。 従来は、前売りチケットの収入や劇団の自己資金で、
チラシ作製や舞台の工費など公演前に必要となる経費を
まかなう “キャッシュフロー型による運営が主流。 初期
投資を得ることで、 この自己資金の負担を減らす狙いだ。
(3面に関連記事)
演劇運営に
キャピタルマーケット
この投資マーケット作りに向けた試
験的なプロジェクトの第一弾として、
京都を中心に活動する劇団 「電視遊戲
科学館」 国本浩康代表) の公演に援
助金を募った。 公演は、アートコンプ
レックス1928が主催する形式をと
り、プロデューサーの小原啓渡氏が個
人的なつながりのある人に援助を要請
した。 これまでに大学教授やビジネス
マン、 企業経営者、 宮司などおよそ50
人が個人の資格で援助金を出えんした
という。
出えんされた資金は一口1万円。 劇
団員の報酬を除いた制作費のほとんど
をまかなえる金額になった。 すでにチ
ラシや舞台の制作に使われている。
今回の援助金は、 公演が成功したと
きには出えん者に返還される仕組み。
具体的には、 1650人の観客動員があ
った場合、出えん額の総額が返還され
る。 総観客数がこの数字に届かなかっ
たとき、100名マイナスになるごとに
出えん金の中から10%づつを出えん
者が負担する。 負担外となった金額に
ついては出えん者に返還される。
実際に投資を募り興行成績による
配当を実行するには、 法制上の制約
などもあることから、 今回は援助金
を私的に募る手法をとった。 そのた
め 「メセナ活動」 と位置付け、 出えん
者には返還されなかった分を寄付し
たものとして捉えてもらおうという
ものだ。
アートコンプレックス 1928 は昨年
2月、 「電視遊戲科学館」 と共同で長
期公演を行っていた。 この際は両者の
持ち出しにより自己資金で運営した
ところ、 小劇場としては多数となる
1650人の観客を動員できた。 この公
演で「自己資金だけでも運営可能なこ
とが分かった」 (小原氏) ことから、 公
演開始以前に必要となる経費部分を
十分にまかなう方法を模索。 1650人
の動員数を一つの実績として示すこ
とで、 小口でも多くの出えん金を得る
ことができると判断した。
アートコンプレックス 1928 では今
後、 この仕組みを発展させ本格的な投
資の枠組みを作る予定。 この場合、 投
資対象となる劇団の数を増やし、 基本
的にロングラン形式で公演する。 公演
が長くなれば長くなるほど投資家へ
の配当が大きくなる仕組みだ。 また、
専門家の協力を得ながら法制上の制
約条件を解決した上で、 劇団や公演計
画への投資を証券化することも視野
に入れている。20061223-shuukan-kyouto20030421_2.jpg

2003.04.20

『メセナも活用 小劇場で異例のロングラン公演』産経新聞/2003年4月20日

平成15年(2003) 日刊21716号
4|20 [日]
THE SANKEI SHIMBUN
発行所 産業経済新聞大阪本社 2003
|〒530-8277 大阪市北区梅田2-4-9
大阪 (06)6343-1221 (大代表)
臺經
新間
MediaNews
■メディア
|関西の小劇場では異例のロングラ
ニュース
同劇場の小原
メセナも活用。
ングラン公演を成立させたい」と意
プロデューサーは「いずれはア
メリカのプロードウエーのように、
(期間が限定されない) 本格的なロ
システムの導入を
/公演を、 京都市中京区の「アート 啓
コンプレックス1928」が昨年に引き
続いて今年も主催する。今回は新た
京都 「アートコンプレックス 1928」
メセナ”も活用
小劇場で異例の
ロングラン公演
録、新たな観客の獲得にび、「単なる資金援助で
つながった。
はなく、小さいリスクで
今回は新たに、一口一歩踏み込んだかかわり
万円で援助を募るメセナ方をしてほしい」と小
を導入。観客動員数が原。現在約五十人が趣旨
年の実績に達した時点でに賛同し、援助している
出資金を全額返却し、達という。将来的には、 プ
しなかった場合のみマイロードウェーで一般的な
ナス動員数の割合に応じ投資システムの導入を図
金額を援助してもらうり、本格的なロングラン
関西の小劇場演劇界の舘」が昨年に続き登場。 公演で千六百五十人を動という仕組みで、例えば公演に踏み出したい考え
悩みの一つは、表現者に新作「牡丹燈篭」 (作員。初日の観客はわずか 前年よりマイナス百人なだ。
とっても観客にとっても演出、 国本浩康)を、十十人ほどだったが、口コら10%の千円を、マイナ問い合わせは、 アート
公演期間が短いこと。週八日から五月六日まで計ミで評判が広がり、最終ス二百人なら20%の二千 コンプレックス 1928
末の三日間、四ステージ 二十六ステージ上演す週には大入り満員、入場 円を援助してもらい、残 (075-254-6
コというのが平均的で、一
520)
が伝わるころには公演 ●●劇団「電視遊戲科学館」が26公演 ●●
が終わってしまっている
ことが少なくない。演劇る。 仕込み、 リハーサル しきれない客も出るよう額を返却する。
ア 人口の拡大を阻む要因ににも十日以上かけておになった。「公演回数を基本的には自力興行を
もなっている。そんな現、完成度の高い作品づ重ねることで、役者は成 前提に、赤字になった場
状に風穴を開けようと、くりを、劇場側が全面的長し、作品も成熟しま合のみ援助してもらうこ
同劇場が昨年初めてロンにバックアップする。 す」と小原。それまでの とから、「セーフティー
グラン公演を企画した。 同劇団は昨年、二十六 劇団の動員実績の倍を記 ネットのメセナ」と呼
ダイナミックで作り込
まれた舞台美術に定評が
ある劇団「電視遊戲科学

2003.04.11

『刺”劇”的 いつかはブロードウェー』京都新聞/2003年4月11日

中京の
アートコンプレックス 1928 |
小劇場
演劇投資ヒットなら配当
劇的 いつかはブロードウェー
実験的な舞台を上演する小劇場アートコンプ
レックス1928 (京都市中京区三条通御幸町)
が、公演への投資を集め、ヒットすれば配当が
得られる興行システムを目指している。企業、
個人を問わずに募り、成功すればお金が戻って
くる仕組み。前段階として、動員目標に達すれ
ば出資者に全額返金されるロングラン公演を干
八日から試みる。相次ぐ劇場閉鎖で元気のない
関西演劇界に活路を開く試みとして注目が集
まっている。
米国・ブロードウェー置作りや細部へのこだわ
では「エンジェルシステりをあきらめたり、質が
ム」と呼ばれる演劇への高い作品も口コミで広が
投資は一般的。株のよう るころには、公演が終わ
興行が当たれば、百倍、っている。
二百倍の配当が得られ、
小さい劇団でもロングラ
ンを打てる利点があり、
演劇を活気づけている。
同劇場のプロデューサ
小原啓渡さん)は
「先に資金があれば、美
術やちらし作成費にあて
国内ではほとんど例がな られ、料金も抑えられる」
と強調。インターネット
日本では劇団の自前で 証券などを通じて投資を
美術や宣伝、劇場の借り 募り、作品に反響がある
賃などを賄うのが普通。 限りロングランを続け、
経済的に、大がかりな装 その分、利益を配分する
本場なら100倍200倍も
18日スタート まず全額返還から
形にしたいという。
「いつかブロードウェーのように、京都でいろんな舞台がいつでも見ら
れるようになれば」と語る小原プロデューサー
として小口で賛同者を募
で約四十口が集まった。
小原さんはF文化芸術
第一弾は昨春、ロング集。 配当はないものの、
ランの実績がある京の若動員目標をクリアすれば がより身近になれば、心
手劇団「電視遊戲科学館」 全額返金される方式にしも経済も潤うはず。大き
(五月六日まで、計二十た。動員が減るごとに返な劇場はリスクが大きい
六回)が公演する。今回 金額も減るが、大学教授が小劇場だからこそ挑戦
は次へつなげるステップや実業家から一口一万円したい」と話している。

2003.04.02

『ロングランへの挑戦』朝日新聞/2003年4月2日

小劇場で活動する若手劇団の公演
といえば、上演期間は週末の3日間
というのが相場だ。しかし、京都の
「電視遊戲科学館」の新作「牡丹燈篭」
(作・演出は国本浩康)は4月18日か
5月6日までの3週間近く上演さ
れる。昨年に続く試みで、上演劇場
の「アートコンプレックス192
8」(京都市中京区)のプロデューサ
―小原啓渡が劇団に提案した。
小原は「いい作品でもすぐに終わ
るから観客が増えず、一部の熱心な
ファンだけのものになってしまって
いる。小屋(劇場) 側としても歯が
ゆかった。ロングラン公演への足が
かりにしたい」と話す。大がかりな
ロングランへの挑戦
舞台美術など、スペクタクル性では
評判の電視遊戲科学館に白羽の矢を
劇場入りしての準備は普通
立
は1、2日程度だが、これにも1日
間費やす。
昨年の公演では、初日の観客は10
人ほどだったが、2週目にはほぼ満
席、最終週には入場できない客が出
るまでになった。観客動員は165
0人。劇団の実績の倍だった。
今年はさらに、制作費の援助を呼
びかけている。1口1万円を募り、
昨年と同じ動員を達成すれば全額返
達しなければ動員数に応じて返
却する。今のところ、経済人など30
人ほどが援助している。これがうま
くいけば、将来は、公演が成功すれ
出資者に見返りがある「投資」の
形にする計画だ。 ブロードウェーの
システムにヒントを得たという。
昨年の公演は2月だったが、今年
はゴールデンウィークに設定した。
「観光客にも見てほしい。将来は京
都名物にしたい」
劇場閉鎖が相次ぐ関西で、 生まれ
つつある新たな試みを追った。
(鈴木京一)
昨年の公演「ノスフェラトゥ」 から
かわい
劇場の試み ①

2003.03.15

『関西日仏学館 来月リニューアルオープン』毎日新聞/2003年3月15日

幻想的な雰囲気の中で披露されたヌーボー・
シルク
=関西日仏学館で13日夜
新たな歴史刻む
来月、リニューアルオープン
関西日仏学館
館
仏語教育を通じた日仏友好の拠点、 仏政府公式機
関 「関西日仏学館」 (左京区、 ピエール・フルニエ
館長)の改修工事が終わり、4月1日から利用が再
開される。 情報端末やDVDなどを整備した 「メデ
ィアテーク」 も新設され、 15日のリニューアル式典
を経て、新たな歴史が刻まれる。
関西日仏学館は1927年、 ポール・クローデル駐日
仏大使と稲畑勝太郎貴族院議員の提唱で現在の山科
区の九条山に設立。 36年に京都の大学との連携を深
めるため現在地に移転された。 京都初のコンクリー
ト建築物といわれ、 国の登録有形文化財に指定され
ている。
13日の前夜祭では、芸術性を追究したサーカス 「ヌ
ーボー・シルク」 を仏人アーティスト5人が庭で披
露。 ライトアップされた同館をバックに、 幻想的な
パフォーマンスが繰り広げられた。
問い合わせは同館 (075761・2105)。 【高瀬浩平】

2002.06.01

『アートコンプレックス1928』芸団協ジャーナル/2002年6月

アートコンプレックス 1928
http://www.pan-i.yoto.com/ac1928/
芸協
Journal
250席
1999年
4名
有
有
新聞社社屋
→與行場
京都市
賑やかな新京極からすぐ近くの三条通沿いに、4階建てのレト
ロなモダン建築があります。 中にはギャラリー、ショップ、カフ
エホール 1928、 の名が表すのは、ビルの建設年。かつて毎日
新聞社の社屋として使用され、吹きぬけになった 3-4階のホール
は、講演会などさまざまなイベントも行われていました。 新社屋
移転の後のビルが、 夢の詰まったアートの拠点に生まれ変わった
のは最近のこと。 建築家の若林さんがビルを買取り、舞台照明の
経験豊富な小原さんと共同出資で「アートコンプレックス1928」
を始めたのは1999年のことです。
ホールのはドーム型の高い天井に白い壁、 大きな窓から光が
射し、前側には学校の講堂のような小ぶりな舞台がついています。
床全体に椅子を並べた最大席数は250。 椅子や舞台の設営は使う団
体のどんな要求にも対応可能で、後ろ側の2階を舞台にしたり、 横
型に使ったり、写真展はもちろん、果てはフリーマーケットや結
婚式やプロレスまで、何でも対応し、実施してきました。 ユニー
クな空間を活かした催しが多く、いわば劇場とアーチストのコラ
ボレーションによるオリジナル作品が、いくつも出現しています。
オープン当初は、周囲に存在をアピールするためにも年に数本
の意欲的な企画を打出しましたが、以降は予算や労力との兼ね合
いで、大体1年に2、3本の自主企画を行うペースに落ち着いてき
ました。
プロデューサーの小原さんは、アートできちんと経営していき
たい、との思いから、今のところ助成金等も受けずにやりくりし
ており、その中で小スペースには珍しいロングラン公演など、意
欲的な企画を少しずつ打出しています。 「たとえ年に1つの企画で
10年たてば10本の企画が揃いますからね」。 ものごとが定着
するには時間がかかるもの、と、長い目で構想をえがいています。
建物は、法律的にも要件を充たして 「興行場」と位置付けられ
ています。 そのための消防設備にはかなりコストがかかりまし
た。 設備といえば、ここにはエレベーターがありません。 もと
はあったのですが、 戦時中の鉄の供給で失ったまま。 だから搬
入作業は大変です。 けれども、さすがに舞台技術の専門家が作
ったホールのこと、 舞台効果のために必要な設備ならたいがい
のことは対応できます。
自主企画とレンタルでフル稼働の仕事も、現在は4人のスタッ
フでこなしています。 近頃は、アートマネジメントを研究する
学生も増え、スタッフとしてボランティアで働きたいという希
望者は多いそうです。「ボランティア登録しても、こちらからは
最初の1ヶ月間何も連絡しません。 その期間で、 自主的に働ける
かどうかがわかってくるので、そこからアルバイトにとる人を
決めます。 50人きて1、2人はこちらが欲しいと思うような人。
その出会いが欲しくて、ボランティアの募集を続けているんで、
すよ」。
ホールを構えて胆のすわった運営をするところには、魅力あ
る空気が流れ、人が集まり、情報も集まってくる。 その蓄積か
ら人も育つ。そんな循環を作り出す仕組がここにはあります。
それは決して広さや立派な設備や潤沢な資金とは比例しない魅
力です。
ところで、小原さんご自身は、なぜ照明を始めたのでしょう。
「大学を中退して1年半、インドとネパールを放浪していた時に、
ヒマラヤで遭難したんですよ。 その目がちょうど満月で、 僕は
月の光に助けられて。 それからです」。 やがてこのホールの光に
照らし出された若いアーチストたちが、次世代のアートを変え
ていくのでしょう。
(K)
7
2002 Juni Vol.7

2002.04.22

『KYOTO発 ファッションアイ』京都新聞/2002年4月22日

KYOTO
ファッションアイ
......
華&彩り
こだわり
「オシャレは自分が楽しめれ
ばいいんであって、他人にとや
かく言われるものではない。 で
も肩ひじはらず、気持ちに素直
でありたい」。人は自分を取り
巻く環境によって育てられると
よくいわれますが、そういった
生き方をほうふつとさせる小原
啓渡さん(四)=京都市南区=。
古さと新しさがいっぱい詰ま
った京都の中で、劇場プロデュ
サーとしての立場から表れで
てくるファッションに納得させ
られます。
年代物のオースチンを大事に
人間的魅力がかもしだす
し、黒のブルゾンに味ある色調
のレザーパンツ、首元のスカー
フが遊び心を感じさせます。
カジュアルなスタイルであり
ながら、しっくり重みのある自
然体に見えるのは、彼の持って
いる人間的魅力がかもし出して
いるのだと思います。
「結果はどうあれ、基本にこ
だわりオリジナリティーを求め
てゆけば、仕事や服のスタイル
にも楽しい世界観が持てるよう
になると思う」
京都の文化を見すえた、地に
足のついたメッセージ。 結局、
いい仕事をするための環境は、
自分たちで創らなければならな
い。 (坂口澄夫・写真家)
質感のあるカジュアルファッショ
ンの小原啓渡さん(京都市中京区
アートコンプレックス192
8)

2002.03.01

『電視游戲科学舘 ノスフェラトゥ』STUDIO VOICE/2002年3月

STUDIO. VOICE
MULTI-MEDIA MIX MAGAZINE
www.intas.co.jp
3
VOL.315
MARCH
2002
680Yen
電視游戯科学舘『ノスフェラトゥ』
小劇場ロングランの可能性を探る!
アートコンプレックス1928の
噂は聞いていた。行きたいとも思っ
ていた。そこから届いたリリースに、
「良い作品を、より多くの人に見ても
らうための方策としてロングラン公
演」 とあった。真摯な姿勢が気持ち
良かった。 常に妥協を余儀なくされ
突貫工事的な公演を強いられてい
る現状。 京都に限らず演劇に限らず、
その繰り返しが日本人の
文化度を薄めてきたのは
周知の事実だ。それでも
まだ雑多な人の棲む東京
はなんとかなる。だから
結局、東京は変わらない
が、どうにもならなくて
京都は変わったと、後か
ら言われるかもしれない。
劇場はリスクを負い、 ス
ペクタクル性に富むと言われる地元
新鋭「電視遊戲科学館」に賭けた。
演出家いわく、「単に我々が格好良い
と思い、楽しいと思うものを創って
きただけなのだが、原寸大の戦車や
体長22メートルの大蜘蛛を登場させ
てみたり、舞台上に数トンの水を降
らせてみたりと、(中略) つい作品が
派手になってしまうのである」。
ノスフェラトゥ
wwwwwww
2/7~27、アートコンプレックス 1928
075-254-6520) にて。 前1800円、
当2000円。 京都の新しい観光資源

2002.02.14

『悩む小規模劇団 応援へ試み続々』朝日新聞/2002年2月14日

朝
悩む小規模劇団
応援へ試み様々
新
京都芸術
センター
開
第3
3週間のロングラン
事前、評論家らに試演
アートコン
プレックス
経済的な負担が大きい
ために数日しか公演でき
ず、「おもしろい」と評
判になるころには終了し
てしまっている。そ
んな小規模劇団の悩み
を解消しようと、劇場側
が主催してロングラン公
演を開いたり、事前に劇
評家やファン向けの試
演をしたりという試みが
京都市内で実施されてい
る。
中京区のホール 「アー
トコンプレックス192
8」は7日から7日ま
で、劇団「電視遊戲科学
「舘」による「ノスフェラ
トゥ」を上演している。
大正時代の帝都・東京
を舞台に、不死身の体
持つ兄弟とその間でほん
ろうされる女性らの人間
模様を描く時に浅草に
立つ塔になったり、法廷
に早変わりしたりする階
段など、 大道具を効果的
に使ったスピーディーな
展開が見物だ。
3週間、計25ステージ
の公演は、小劇場演劇と
しては異例の長さとい
う。「これまで劇場は貸
会場にすぎなかった。
でも、それでは劇団側の
負担が大きく、劇場の個
性も打ち出せない。ロン
グラン公演は、より質の
高い演劇を作るための試
「みです」。 アートコンプ
レックスのプロデューサ
小原啓さん(4)は
話す。
料金は当日2千円、前
売り1800円。 高校生
以下1500円、5回分
7500円。 問い合わせ
はアートコンプレックス
1928 (075-25
46520)。
一方、中京区の京都芸
術センター(0752
13・1000) は、 劇
団公演の前に、評論家や
マスコミ、 一般モニター
向けの「試演」を開いて
いる。試の結果を参考
に、本番までもう一度作
品を練り直すことができ
るなど、メリットがある
電視遊戲科学館の「ノスフェラトゥ」の1場面=中京区のアートコンプレ
ックス1928で

2002.02.05

『小劇場でロングラン 若手劇団「電視游戲科学舘」』京都新聞/2002年2月5日

掛ける。 特に注目され
小劇場でロングラン 若手劇団「電視游戯科学舘」 るのは舞台美術、仕掛
勢いある京の若手劇団電視遊戲
科学館による『ノスフェラトゥ」
京都市中京区三条通御幸町東
入ルのホール「アートコンプレッ
「クス1928」で、関西小劇場演
劇界としては異例の三週間上演さ
れる。快挙か、冒険か、無謀かー。
小劇場の可能性を探るロングラン
に熱い期待が集まっている。
興行的に厳しい長期公演。 会場
使用料や時間の制約で、制作上妥
協したり、評判が出たころには公
演が終わることが少なくない。 同
ホールの小原啓プロデューサー
「じっくりと制作した質の高い
舞台こそ、京都文化の活性化につ
ながる」と会場を提供。前作で舞
上に数の雨を降らせた、こだ
わりの姿勢と平均二十三歳の勢い
を買って、同劇団を選んだ。
「電視―」は、京都精華大演劇
一部出身者を軸に一九九八年に結
成。 国本浩康が主に作・演出を手
京都の演劇シーン変えたい
3週間公演を行う劇団電視遊戲科学館
快挙? 冒険? 3週間公演に熱い注目
けの凝りよう。 原寸大
の戦車や体調十二の巨大グモを
登場させた。 美術系出身の芸術セ
ンスを光らせている。
今回上演の『ノスフェラトゥ」
は、旗揚げ作品のリメイク版。 舞
台を初演時のヨーロッパから大正
時代の日本へ移した。 近代化する
日本のやみを背景に、不死の兄と
不治の病の弟、二人に翻ろうされ
る女のドラマを、群舞や殺陣を交
えて描く。
もちろん大仕掛けも用意。 「一
枚一枚が絵を見るような場面の連
CG以上の驚きをみせる」と
国本。「二十六回公演なので、作
品がこなれていくはず。インディ
ーズが音楽を変えたように、京都
演劇シーンを変えたい」と自信
あふれる。
二月七二十七日。 前売り千八
百円。五回分回数券七千五百円。
問い合わせは同ホール2075
(254) 6520°

2002.02.01

『電視游戲科学舘 スペクタクル劇を上演』毎日新聞/2002年2月1日

電視遊戲科学館
スペクタクル劇を上演
7日から
中京
かわ 小劇場では異例の3週間
今回も大掛かりな舞台装
置を見せたいという。
開演は平日は午後7
京都精華大出身者を中間程度だが、今回は2日の大蜘蛛の造形物をステ
心に結成された劇団のをはさんで延べ26 ージに登場させており、
視遊戲科学舘」は7日~ステージを行う。また、過
27日、中京区三条御幸町 去の公演で数の水を噴
のアートコンプレックス 出する装置や、体長1
1928でスペクタクル
劇 「ノスフェラトゥ」を
上演する。98年の旗揚げ
公演以来、8回目の今回
は、小劇場としては異例
の3週間のロングラン公
演を予定している。
電視遊戲科学舘は同名
の劇を公演してきたが、
大幅に内容を変え、まっ
たく新しい劇として上演
する。脚本・演出は国本浩
小劇場での公演は通
常2~3日、長くて1週
一時、土日祝日は午後2時
と7時。1日、2日休演。
入場人員を各回30人に制
限して立ち見が出ないよ
うにする予定。日時指定
の一般前売り1800
円、 開演1時間前に会場
受付で発売する一般当日
は2000円。高校生以
下は前売り 当日とも1
500円。 【松沢敬介】
ノスフェラトゥ
「ノスフェラトゥ」のポスターより

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