ロングラン公演 - メディア情報

2003.12.01

『三条御幸町ブロードウェー化計画指導!』マンスリーきんき/2003年12月

【三条御幸町ブロードウェー化計画始動!
アートコンプレックス 1928-】
京都市三条御幸町の南西門にある京都市の指
定歴史建造物 旧毎日新聞社京都支局は築70年
以上。 今もなお建築当時を偲ぶモダンな香りを
漂わせる魅力的な建物です。 この建物が劇場
「アートコンプレックス1928」 としてリニュー
アルしたのが1999年の12月、 以来、 キラリと光
る高い芸術性とエンターテイメント性を兼ねた
様々な公演、イベントを発信し続けています。
「京都三条御幸町ブロードウェー化計画」 は
アートコンプレックス1928が取り組む最も挑戦
的で壮大なプロジェクトであり、アートコンプ
レックス1928の所在地を含む京都の中心地に劇
場群を作り、 また、 国際観光都市としての「京
都」 ブランドを生かしながら外国人観光客をも
取り込んでいこうというものです。 更にアート
コンプレックス1928の事業において注目すべき
ことは、同劇場におけるロングラン公演に対す
る投資システムの導入です。
京都で創作活動をするアーティストのための
宿泊施設、 ダンス 演劇などの批評を集めたフ
リーペーパーの発行、 FMラジオ番組制作など
「コンプレックス」 の名の通り複合的な活動を
幅広く展開し、それらの相乗効果によって更な
る芸術環境を整備し、 新たな観客層の取り込み
を進める、アートコンプレックス1928のプロデュー
サー小原啓渡氏にお話を伺いました。
【エンジェルシステムの段階的導入】
アートコンプレックス1928では、ロングラン
公演に対し投資を募り、 ヒットすれば配当を出
すシステムを導入され、注目を集めていますが、
導入経緯についてお聞かせください。
小原氏: ブロードウェーでは、 エンジェル或い
はパッカースと呼ばれる投資家達が劇場制作
に投資し、ヒットすれば配当を得る 「エンジェ
ルシステム」 というシステムがあります。 そ
れを導入しようとしたのです。
エンジェルシステム導入への第一歩は2002
年に行った1回目のロングラン公演でした。
とはいえ、この時は外部からの資金調達を行っ
ておりません。 外部からの資金調達無しでど
マンスリーきんき 2003.12
小原 啓渡 (こはら けいと) 氏
アートコンプレックス1928プロデューサー。 兵
庫県出身。
1983年より照明技術者として舞台に関わる。 91
舞台技術制作会社リッジクリエイティブ株式
会社設立。 99年, アートコンプレックス1928を立
ち上げ、プロデューサーに就任。
10.25.
11.13.
当ビル3F
BAROTICA
今回の投資の対象となった 「キュピキュピ グランド歌謡ショー
キャバロティカ会場入口」
こまでやれるのかを確認するために、劇場と
劇団がリスクを分け合って、 自力で長期公演
を打ったのです。
そして翌年、 前年に行った自力での長期公
演に手ごたえを感じての第二段階のロングラ
ラン公演を打ちました。 この時には、前回の自
力での公演経験から損益分岐点を算出し、
「セーフティネットとしてのメセナ」 という
形で出資を募ることにしました。 出資金は一
一万円、 前回の動員数に達すれば全額返却
となりますが、それに満たない場合は100名
ごとに10%ずつ出資金の中から頂く、という
システムです。 出資者には招待券と出演者ら
を変えた交流パーティへの招待を特典としま
したが、収益があがった場合でも配当はあり
ません。 損得の問題ではなく、 文化的な事業
に協力した、ということに意義を見出してい
ただいていたように思います。 尤も、 最終的
には1回目を300名以上超える動員があり、
出資者には全額返却することができました。
そして、今年のアートコンプレックス1928
の3度目のロングラン公演 「キュピキュピグ
ランド歌謡ショー」 において、エンゼル証券
(株)と連携し、 エンジェルシステムを導入する
ことになりました。 スキームとしては、アー
トコンプレックス1928が特別目的会社 (SP
C) として、有限会社 「京都三条御幸町ブロー
ドウェー化計画 [KSGBWP]」 を立ち上
投資家と匿名組合契約を結ぶかたちをとっ
ています。 1口2万円で100口募りました。
前回も今回も、 小口投資にこだわっています。
小口の方がリスク感が少なく、 多くの方の参
加が可能です。 投機ではなく、 サポーター的
感覚で参加していただけるように設定しまし
た。 細かな取引相手が多くなってしまうので、
証券会社の業務も大変なものになりましたが、
趣旨に賛同してもらえました。
出資者を募ったのはインターネットを通し
てのみであったにもかかわらず 12万円
の100口が 二週間ほどで完売となりました。
このシステムを導入したことが新聞。 テレビ
などで報道されたことも影響しているとは思
いますが、 インターネットの普及によるとこ
ろは大きいと思います。
32
マンスリーきんき 2003.12
【クオリティ向上のためのファンド】
小原氏 注意しなければいけないのは、 お金が
無いからSPCを立ち上げる、 というやり方
では主催者側の責任が問われかねない、とい
うことです。 今回のエンジェルシステムは、
もともと自己資金だけで公演可能なところを
投資家にお手伝いして貰い、舞台のクオリティ
を向上させるためのファンドです。
また、このシステムは、 舞台制作側の顧客
意識の向上にも役だっています。 匿名組合な
ので出資者からとやかく言われることはない
とはいえ、人様からお預かりしたお金で制作
をし、 しかも配当を出せるようにしなければ
ならないのですから、 成功に賭ける意気込み
も変わって来ます。 そもそも質の高い文化芸
術を提供するには資金が必要であり、 資金調
達にはマネジメント能力、 ビジネスマン的バ
ランス感覚が必要なのです。
【今後の見通し】
文化・芸術産業の今後の見通しについてどう
お考えでしょうか。
小原氏: これからは感動を売る時代だと思いま
す。 そもそも、今まではモノを売る時代だっ
た と言いますが、 それにしてもモノが売れ
るのはそこに感動があるからです。 感動を売
るには、創造性が一層重要となってきます。
文化 芸術産業こそ、そんな創造性や感動さ
せる力を最も発揮できる場となりえるのでは
ないでしょうか。
それに、 文化・芸術産業は大きな経済効果
をもたらします。 舞台を観に来る人は、近く
で飲食もし、場合によっては宿泊もし、 また、
近隣の別の場所へも行くでしょう。 国際観光
元気になるのです。 小さくても文化が元気で
ある実例を育てていかなければならないと思
います。
【最後に】
舞台芸術 芸能は、観る人の心を打つだけで
なくその人から自己表現能力を引き出す効果を
も持っています。 よって、 高齢者福祉 児童教
. 障害者へのリハビリ等医療分野等、 幅広い
ニーズが考えられます。 JCDNの活動は、そ
こういった幅広いニーズを掘り起こし、アーティ
ストたちの事業マインドを喚起するものと言え
るでしょう。
とはいえ、 舞台芸術 芸能の産業としての確
立発展には、 まだまだ乗り越えなければならな
い課題が多くあります。 なかでも、事業として
自立するためのビジネスモデルの構築は、最も
重要な課題の一つです。 公演ごとにファンドを
組み、 配当を出せるようにするアートコンプレッ
クス1928の活動は、この課題解決の一つのモデ
ルケースと言えるでしょう。
今回は京都の事例をご紹介いたしましたが、
そもそも関西は深い文化的土壌を持つ土地であ
り、目の肥えた顧客が多く暮らす土地です。 こ
の地の利を生かし、よりクオリティの高いサー
ビスを提供する産業として、 舞台芸術産業が
醸成されるよう、 私たち経済産業局も応援して
いきたいと思います。
※註① コーディネート活動支援事業についての詳細は、
中小企業庁ホームページ (http://www.chu
sho.meti.go.jp/chu_top.html) の以下
RLをご参照。 http://www.chusho.meti.
go.jp/koubo/020410sinkiseltyou.htm
都市としての京都というブランドも活用した、 ※註② 匿名組合とは、 営業者と匿名組合員の2当事者
こういった経済活動をより盛んにできるはず
です。
河合文化庁長官もおっしゃっていますが、
文化が元気になると人も元気になり、経済も
の契約であり、匿名組合員の出は、営業者に
とっては預かり金と認識されます。 損失額が出
額を超えた場合、匿名組合員が出資額を超え
て損失の負担を分担することはありません。
マンスリーきんき
2003.12
33
日々の生活の中で、優れた絵画や音楽、楽しい映画や舞台などに触れることは、 私達の生活
を豊かにします。 このような文化・芸術活動は、これまで経済活動とは一線を隠したものと捉
えられてきました。 しかし、 我が国経済社会の大きな変化につれ人々の価値観が多様化し、従
来の社会カテゴリーの辺縁があいまいになり、 今までになかった分野同士の接触、 異業種交流
が生まれ始めている中で、 文化・芸術活動と経済活動の関係もまた変わりつつあります。
このコーナーでは、 優れた文化・芸術活動の創造性が、 低迷する消費の活性化や地域コンテ
ンツ産業の振興、ひいてはアートとテクノロジーの融合による新事業の創出やソフトウェアに
よる都市再生などにつながっていくことを期待しつつ、これまで当局が出会った新しい文化産
業の取り組み事例を順次紹介していきます。
31

2003.12.01

『アートコンプレックス1928の果敢な試み』地域創造/2003年12月

20061223-2003tiikisouzou_1.jpg20061223-2003tiikisouzou_2.jpg

2003.11.01

『アート集団キュピキュピ 京でロングラン公演中』京都新聞/2003年11月1日

アートコンプレックスでの昨年の舞台より
Kyup
Kyupi
up
Куца
映像と音楽、パフォーマ
ンスを組み合わせたアート
集団「Kyupi Kyu
pi(キュピキュピ)」が、
京都市中京区のアートコン
プレックス1928で『キ
ャパロティカ」をロングラ
公演中。きらびやかな照
明がまたたき、ど派手な歌
歌手がうなり、魚人間が
くねる。 空間は、爆笑と愛
とエロスとざわめきに満ち
る。“R-1指定 ちょ
ちっと大人の娯楽の趣なの
アート集団「Kyupi Kyupi」 京でロングラン上演中 |
upi Kyupi
10
Idn
Kyupi
Kyupi
だ。
°
(河村亮)
異質の交錯が鮮烈
「アートコンプ
レックスはほど
よい空間。 客席
映像作家石橋義正ら京都
プどい」正
市立芸大出身者が、九六年
に立ち上げた映像パフォー
人間し持石
マンスユニット。さまざま
対係話なアートを横断するスタイ
ルで、海外からも注目を集
ディナーショー形式の
「歌謡ショー」が基本。 魚
型の頭をした「フィッシュ
エロスとざわめきと
Fank
Ky
-
ヘッズ」、スーパーダンサ
―「よしこさん」ら石橋の
映像でおなじみのキャラク
ターが出演する。 今春初め
ロンドン、パリで公演。
喝采を背にしての凱旋公演
は、「さらに最新式の照明
を入れた。ミュージカル的
に、ショーをスムーズにし
た」という。
会場中を駆ける電光は、
盛り場のネオンの風情だ。
「電飾が好きなんです
接光そのものを見ている
「感じが」と石橋。客席と舞
台の間に、テーブル特別席
もある。ワインを片手に、
リラックスしながら楽しん
でもらう趣向だ。 その横に
アコーディオン、バイオリ
ン、ベースの楽団がスタン
バイする。
デジタルなコン
り、踊る。
ピューター音楽と照明が降
り注ぐ。映像に現れる人々
も妙だ。ひたすら体をくね
らす女、マイクにしがみつ
き熱唱する女
満を持して歌手分島麻実
コテコテの
がステージへ。
自作衣装で、オリジナルか
昭和歌
ら美空ひばりまで、
幅のにおいをかもし出す。
バックで激しく踊るダンサ
たち。中でも肉感的な「よ
しこさん」は、視線を絡め
取って離さぬ強引さだ。
ナンセンスでベタされ
「映
ど見た目だけでない。
コ
像は一秒三十フレーム。
ンマ何秒の間のずれが気に
なる」と、ち密な計算と高
度な技術の上に成立させ
た。 瞬間くもりガラスにな
り、映像の奥で踊って見え
る特殊ガラスの使用も今回
初めて平面と立体が交錯、
デジタルとアナログがせめ
ぎ合う。その質感 手触り
が鮮烈だ。
今回の公演は一般出資
者の資金を元手にロング
ランする同劇場初の試み。
石橋は「映像は残るが、ラ
イプはそれで終わり。 ロン
グランだと全員で、内容を
十三
充実させていける」。
日まで。テーブル席完売、
シート席三千五百円。同劇
壁面には、極彩色の映像 場 075(254)65
が映し出される。 文字が走 20

2003.10.28

『キュピキュピ初の長期公演』朝日新聞/2003年10月28日

アートかエロかお笑いか アキ 歌姫・ダンサー・楽団が1曲熱唱80分間 キュピキュピ 初の長期公演 斬新な映像とパフォーマ ンスで時に爆笑を誘う 「キャバロティカ」 ライブ「キャバロティ 電子音のビートに同調し、壁面に投影された映 像が激しく動く。舞台に目を移すと、美空ひばり 叶子を思わせる衣装の歌手が1曲を熱唱す る。バイオリン、ベース、アコーディオンの楽団 を従え、バックには、魚のマスクの男性や全裸に 近い女性ダンサー。 「夢見るシャンソン人形」や 「天城越え」といった選曲も、どこかセンチメン タルでセクシーである。 「力」(1月1日まで)。 分あふれる 観客席から婚声と爆笑 が絶えない。 コンピューターで完璧 制御された舞台なの に、人肌のぬくもりがあ る。 アートなのか、お笑 いなのか、エロなのか。 そう思うと、メンバーか ら「キュピキュピという 新しいジャンルなのであ る」と諭された。 キュピキュピは、京都 市立芸術大出身の4人が 98年に結成した の 島麻実さんは染織、映 像の石橋さんがコン セプチュアル・アート (森本俊司) 京都市中京区三条御幸 8」で、映像とパフォー 町の旧新聞社ビル 「アーマンス集団「キュピキュ グラフィック・デザイン の江村耕市さんは意匠、 トコンプレックス192 ビ」が初の長期公演に挑奇抜な衣装を手がける木 村真束さんは彫刻を、そ れぞれ専攻した。 根っこはみな「芸術 家」だから、国内外の美 術館での受けがいい。 今 年のベネチア・ビエンナ ーレにも出展中だ。 石橋さんが「展覧会は プロモーションの場」と 言うように、現代美術に 足を残し、子どもが目 をキラキラさせるたわい もない遊びみたいな創作 例えば裸の女 を続ける。 の人がこんなことをすれ ばおもしろいだろうな、 見て楽しいだろうな・・・ 無なのだ。 そのく ... せ、今回は1歳未満入場 不可。大人はずるい。 資金集めに、ベンチャ ビジネスの手法を取り 入れたのも話題になっ た。「エンゼル」と呼ば れる個人投資家を「歌 姫」で引きつける。 3500円。8日、11 月1、10日休演。問い合 わせは電話07526 46520 (会場)

2003.08.31

『小劇場におけるロングランへ公演への挑戦』セゾン文化財団ニュースレター/2003年8月31日

[article
小劇場におけるロングラン公演への
挑戰
小原啓渡
|アートコンプレックス1928
БЛОГА
1928年に建造された毎日新聞社京都支局が、 「アートコンプレック
ス1928」としてリニューアルオープンしたのが1999年12月。 京都市の
指定歴史建造物となっているビル自体は、 70数年の歴史を重ねてい
ますが、 劇場スペースとしては、 まだ4年足らずの新参です。
活動のコンセプトは、劇場名が示す通り 「コンプレックス」つまり「複
合」 です。 杮落し公演は、 ダンスと演劇・映像等を複合的に取り込ん
だカンパニー 「コンドルズ」。 アート性とエンターテイメント性を兼ね備え
またコンプレックスアートの発露と、劇場として複合的な芸術環境の整備
をどう進めていくかをテーマに活動を続けています。
具体的には、 京都で創作活動をするアーティストのための長期滞在
者向け、 格安宿泊施設 「アーティスト・イン・レジデンス京都」の運営。
ダンス・演劇などの批評を集めたフリーペーパー 「パンプレス」の発行。
FMラジオにおけるステージ情報番組 「ステージ・アバンギャルド」 の制
作。 当劇場以外での公演プロデュースなど、 複合的に相乗効果を生
むであろう可能性を持つ芸術環境の整備と、 新しい観客層を取り込む
ためのアウトリーチに力を注いでいます。
これら一連の活動の中で主軸において取り組んでいるのが、「京都
三条御幸町ブロードウェー化計画」 京都にブロードウェーのような劇場
群をつくろうという夢のような計画です。これは、 当劇場が京都の中心
地にあるという事もありますが、何より世界的な国際観光都市としての
ポテンシャルを持つ「京都」を十二分に生かし、地域に文化的な影響
を与えるだけでなく、大きな経済効果をもたらしていく活動としてアート
コンプレックス1928が取り組んでいる挑戦的なプロジェクトです。
|エンジェルシステム
調べを進めるうちに、日本において「エンジェルシステム」が定着し
ていない理由として、 1. 日本では米国と比べ一般の人達の間で「投
資」 という直接金融の考え方が希薄である事。 2. 舞台を鑑賞するとい
う習慣が日常生活の中に根付いていないこと。 3. 映画ファンド等今ま
でに行われてきた試みのほとんどに、 方法論的な問題があること、など
が浮き上がってきました。 この内、最初にあげた2点に関しては、ある
意味長期的な課題と言えますが、3点目に関しては過去の失敗例を具
体的に検証し、より実現可能な方策を考え直してみることは意義ある
事だと考えました。
過去の事例における失敗要因は、いくつも考えられましたが、 中で
も投資家にとってのリスクが大きいと思える事、 投資対象となる作品に
関する具体的な情報が少ない事、目標の投資額が集まらなければ、
プロジェクト自体が動きださないような収支計画によっている場合が多
い事などが大きな要因に思えました。 とにかく必要な資金を集める事の
みが目的になり、 新しい投資市場でのその成否が、 後続する企画に
対して大きな影響を及ぼすことや、単発イベントではないシステムとして
の持続性などは考えていない場合が多いように思えました。
もちろん、ブロードウェーにおいても、投資家が利益を得る確率は25
%程度と言われ、 投資である限りリスクは発生します。 しかし、あまりに
も失敗例ばかりが続くと投資熱は当然のごとく下がってしまいます。
最初のロングラン公演
| 2002年2月に行った1回目のロングラン、 京都の新鋭劇団 「電視游
科学館」による26公演は、 エンジェルシステム構築における最初の
ステップとなりました。
この公演では資金を集めることはせず、劇場と劇団がリスクを分か
ち合い、自力でどこまで長期公演を打てるのかを試みました。 目標の
資金が集まらずに頓挫した失敗例などから、 まずは外部からの資金調
無しで、 どこまでやれるのかを確かめる意味と、 今回の結果が次回
出資を募る際に具体的な基準となり、 信用を高める情報となるだろうと
いう考えがありました。 前例のないもの、 成功例のないものに対して二
の足を踏む、日本の一般的な社会通念を考えると、いきなり実績も知
名度もない舞台に対する投資を募っても順調にいくとは思えなかったか
らです。
ブロードウェー化計画の第一ステップとして、最初に始めたのが「エ
ンジェルシステム導入」を具体化するための試みでした。 このエンジェ
ルシステムとは、エンジェルあるいはバッカースと言われる投資家達が
舞台制作に投資し、 ヒットして利益が出れば配当が得られるという、 ブ
ロードウェーで用いられている投資形態です。 このシステムの導入を
本気で考えるきっかけとなったのは、 ブロードウェーで今もロングランを
続けている「ブルーマン」 の公演でした。
「ブロードウェーでやってるブルーマンというパフォーマンスがすごい
人気だ」そんな評判を聞いて渡米し、 公演会場を訪ね、 まず驚いたの
が客席数400程度の決して設備的にも十分とは言えない、 その劇場自
体の規模でした。 「こんな小さな劇場でも、コンテンツさえ良ければロン
グランが出来る」 まさに 「目からうろこが落ちる」 という感覚を味わいまし
た。
帰国後、 「エンジェルシステム」について調べ始めると同時に、「な
ぜ、日本でこのシステムが定着していないのか」という検証を始めまし
た。 インターネットを使って情報検索を進めていくという方法を取りまし
たが、これはかなり有効でした。
0viewpoint no.26
劇場と劇団、双方で何度もミーティングを重ね、 どうすれば質を落と
さず、経費を極力節減して長期公演が打てるかを話し合いました。 実
施時期を2月に設定したのも、 貸小屋としての需要がもっとも低い月、
つまり年間で最も売り上げが低い月であるという理由からでした。
徹夜続きの24時間態勢での仕込みに10日間、 公演期間21日、 小
劇場としてはきわめて稀な合計26公演を敢行し、 劇団にとっては過去
最高動員数の2倍以上、 京都では記録的な1650名の集客となり、 本
格的なロングラン公演成立に向けて、 十分な手ごたえを感じることがで
きました。
2度目のロングラン公演
2度目のロングラン公演の試みは、翌年2003年の4月から5月の連
体にかけて、1回目と同じく「電視遊戲科学館」を起用しました。 前回
より2日多い12日間の仕込みと21日間の公演期間、前回と同じく26公
演を行いました。 私が再度、 電視遊戲科学館を選んだ理由は、 作・演
出を含めたスタッフ達の、 より完成度の高い作品を創ろうとするこだわ
2002年2月 科学館
「ノスフェラトゥ」
2003年4月、電視遊戲科学館「牡丹灯
りの強さにありました。 例え、仕込み期間を増やし、資金を注入しても、
作品の完成度が上がらなければ意味がないからです。
1回目からのステップアップとして、 前回の動員数1650名をベイライ
ンに掲げ、「セーフティーネットとしてのメセナ」 という新しい文化サポー
トの形を提案し、 出資を募ることにしました。
一口1万円の出資金は、 前回の動員 (1650名)に達すれば全額返
却するが、 前回の動員に満たない場合は100名単位で10%ずつ、 出
資金の中からメセナして頂くというシステムです。 例えば総動員数が
1000名だった場合、 前回の動貝1650名から650名のマイナスとなり、
出資金の65%を援助していただくことになります。 つまり1万円を出資
された方は3500円しか返却されないことになります。
出資者には、1日につき1枚の招待券と出演者や作・演出家などを
交えた交流パーティーへの招待を特典としましたが、もし昨年の動員
を大きく超えて収益が上がった場合でも配当はありません。 しかし、出
資者の方々は、損得の問題ではなく、個人として文化の担い手となれ
る実感を味わうことに意味を見出しておられる方がほとんどで、実績と
しての前回のデータや今回の基準となる具体的な情報が揃っているこ
とへの信頼感、 出資額をポケットマネーの範囲ともいえる1万円に設定
したことなどがリスク感の軽減につながったためか、出資の相談に皆
さん快く協力して下さいました。
最終的に私募 (公募に対して私的に出資金を集める形式)の限度
数でもある49名から72万円が集まりました。 ほとんどの方は私の個人
的な知り合いでしたが、劇場プロデューサー、 大学教授、 企業の経営
者、医師や神社の宮司など多岐に渡り、公演期間中どうしても都合が
つかなかった数名を除いて、ほぼ全員が公演を見に来て下さいまし
また中には小劇場で演劇を見るのは初めてという方も多かったのです
が、観劇後は皆さん高揚された雰囲気で喜んでおられ、 知り合いの
方々に次々と公演を紹介してくださり、一人で30数名のお仲間を連れ
て来られる方まで現れました。
実際、集まった出資金によって、 チラシの製作や舞台美術、 衣装な
ど、 小屋入り前に必要な制作経費の持ち出しに苦慮することが減り、
よりクオリティーの高い製作物を作る事ができたばかりでなく、多くの
方々に出資頂いたことで、 つまらないものは見せられないという、いい
意味でのプレッシャーが、 全スタッフの創作エネルギーを高めることに
つながったと思います。
結果、最終動員数は1936名、1回目を300名以上上回ることがで
き、出資頂いたお金は全額お返しすることができました。
そしてこの小さな成功は「セーフティーネットとしてのメセナ」というシ
2003年3月、キュキュビ「スーパーメガヒッツ」
ステムが過去に例を見ないものであったことも含めて、少なからず話題
となり、新聞、雑誌、テレビなどの取材が続きました。 それも文化面だ
けでなく社会面、経済面での扱いが多く、 舞台に対する投資というシ
ステムが、コンテンツファイナンスという新しい投資市場において注目を
集めるきっかけとなりました。
3度目のロングラン公演
現在、インターネットの爆発的な普及とネットを用いた証券取引の登
場によって、 株売買の手間が簡素化され、 個人投資家の存在がク
ローズアップされてきています。こうした社会的な潮流にも影響を受け
る形で、 2003年10月に行ないます3度目のロングラン公演は、証券会
社と連携し、 エンジェルシステムを導入する事に決定致しました。
作品の証券化は、映画ファンドなどの形で以前から試みがつづけら
れてきましたが、利益を上げて配当に及んだ成功例は非常に少なく、
舞台公演に至っては試みられた前例さえほとんどありません。 しかし、
2002年12月に東京で行われた中国雑技団公演 「ゴールデン・ライオ
「ン」において公募された2億円分の証券が2週間で完売した事実をみ
でも、こうしたコンテンツに対する投資に興味を持つ方がけっして少な
くないということが分かります。 「ゴールデン・ライオン」に関しては、結
局投資額の半分程度しか返却されず、投資対象としては失敗例とな
りましたが、 舞台公演に投資をするという法的なスキームが証券会社
を介して確立し、実施されたという意味で価値ある試みであったと思い
ます。
実際、3度目となる次回の映像&パフォーマンス集団「キュピキュビ」
によるロングラン21公演は、このスキームを用いて実施します。 アート
コンプレックス1928が特別目的会社 (SPC) を立ち上げ、 投資家との間
に匿名組合契約を結ぶという形です。
今回は目標額を200万円に設定し、 1日2万円、 インターネットを用い
て公募します。 既に100万単位での投資希望もありますが、あえて小
口投資にこだわりたいと、 最高5口までと致しました。 あくまで現段階で
は、 投機的な意味合いよりもリスクの少ない形で、 より多くの方々がサ
ポーター的な気持ちで舞台制作に参加していただければと願っていま
す。 投資を機会に、これまで演劇やミュージカルなどに無縁だった
方々が少しでも多く舞台芸術に関心を持たれ、 実際に足を運んでくだ
されば、新しい観客層の開拓につながります。 これは、社会に対する
アウトリーチの一形態としても、大きな可能性を含んでいると思います。
viewpoint: no.26-0
効率のみを優先した近代資本主義と物質文明は、地球を破滅的な
状況に導いてきました。 そんな中、 物質の豊かさより、心の豊かさを求
める価値観が急激な広がりを見せています。 人々は、自然や民族な
どあらゆる関係性における調和の精神と、心の豊かさの大切さに気づ
き始めています。
どんな価値観を持った人も、感動に涙を流す瞬間はみな同じです。
同じ至福の瞬間を味わう事ができます。 感動は心の豊かさに通じる扉
です。そして劇場は、 より多くの創り手や観客が、 何度も何度も感動と
いう心の扉を開けて、 本当の豊かさの中へ入って行ける機会を創り、
提供し続ける場所でなくてはなりません。
いつか京都にブロードウェーのような劇場群が出現し、感動的な舞
台がロングランで公演を続けている。 昼は寺社仏閣など伝統文化に親
しみ、夜は現代的な舞台芸術を楽しむ、そんな心豊かな生活を求める
人々が日本各地から、世界中から集まってくる。 そんな未来のすばら
しい京都の姿を夢に描きながら、 意欲あるスタッフと、 文化芸術の重要
性を理解してくださる方々の協力を糧に、地道に、誠実に活動を続け
てゆきたいと思います。
小原啓(こはら・けいと)
アートコンプレックス1928プロデューサー。 兵庫県
出身 同志社大学法学部政治学科中退。 1983年
より照明技術者として舞台に関わる。 91年、 舞台
制作会社リッジクリエイティブ株式会社設立。 92
年から98年まで、 日仏共同プロジェクト [MATOMA」
テクニカルディレクター。99年、アートコンプレックス
1928 を立ち上げ、 プロデューサーに就任。 長期滞
在アーティストのための宿泊施設 アーティスト・イ
ン・レジデンス京都の運営をはじめ、フリーペーパー
「パンプレス」の発行等、 芸術環境の整備に関わる
活動を続けている。 また、ヌーボーシルク (新しい
サーカス)のプレゼンテーションに力を注いでおり、
2003年10月にはフランスから 「アポストロフィ」を招
し、 神戸と京都での公演をプロデュースする。 同
10月から、映像×パフォーマンス集団「キュピキュ
ビ」によるロングラン公演を、12月には「コンドルズ」
5度目の京都公演を主催する。
BEST on dem SEPTE

2003.07.24

『求むエンゼル 公演を証券化』中日新聞/2003年7月24日

2003年(平成15年) 7月24日 (木曜日)
中日新聞東海本社2003
(日刊)
CULTURE
個人投资家。
氷むエンゼル
劇
京都の公演を証券化
「エンゼル」 という言葉をご存じですか。 普通なら
「天使」 だが、ベンチャー企業などに資金を提供する
「個人投資家」の意味も持つ。米国では、ハリウッド
映画やブロードウェーの舞台など娯楽・芸術の分野で
もエンゼルの存在は大きい。 日本でもエンゼルを増や
そうと、 京都市の小劇場が証券会社と組み、 1口2万
円と小口化して出資者を募る取り組みを始めた。
「振興の切り札」 として、 全国の劇場関係者から熱い
視線を浴びている。
(花井 勝規)
出資を呼び掛けているのは、京
都市中京区三条通御幸町の小劇場
「アートコンプレックス192
8」。同劇場の小原プロデュ
ーサーは「共同馬主制をヒント
に出資金を小口化してエンゼル
リスクを軽くしようと考え
た。一口二万円ならばポケットマ
感覚で投資できる。 出会が参
加意識を高め、演劇ファンのすそ
野を広げる効果も期待できる」と
話す。
出資金を小口に
下旬から二十日間行われるパフォ
ーマンス集団 Kyupl Ky
対象となるのは、同劇場で十月
ファン層拡大も狙い
「アートコンプレックス1928」 の前で創
場版の投資について語る同劇場のプロデ
ューサー小原啓
さん=京都市中京区で
劇場版投資対象「Kyupi
Kyupi」の舞台ーアート
コンプレックス1928で
uDI (キュピキュピ)の公演
約一千万円の制作運営費のうち、
二百万円程度を資金の受け皿会社
に集め、広告宣伝費などに充て
る。 公演終了後に、興行収入か
経費を差し引いた利益を出資
に応じて投資家に分配、 配当は
チケットの売れ行きで変わる。
公演が低調なら元本割れの可能
性もあるが「採算ラインは著しく
低く設定した」 (小原氏)とい
い、順調に観客が入れば100%
以上の配当になる可能性もある、
と強気だ。同劇場にノウハウを提
供しているエンゼル証券 (大阪
市)も「不動産などの投資ファン
ドに比べ、高いリターンが期待で
きる魅力的な案件」(同社資本
成事業部)と期待する。
中日新聞
資金難にあえぐ小劇場では、公
赤字の場合 劇団員の
ち出しでしのぐケースが多い。
出資金は赤字 になり、
場経営の安定化につながるメリッ
トもある。「出資する以上、公演
よい意
に対する目は厳しくなる。
味で劇場との間に緊張感が生まれ
るのでは」と作品の質の向上に期
する出資者もいる。
関西経済連合会の劇場文化研究
会のチームリーダーを務める佐藤
友美子サントリー不易流行研究所
長は「企業メセナの時代が終わ
りかけているなか、エンゼル投資
は文化振興に市民を参加させる有
効な仕組みの一つになり得る」と
来年から同劇場も含めた関
注目。
西地区の劇場を対象に「劇場エン
ゼルシステム」の試行を検討して
おり、有力作品数本を選んで投資
家の前で投資を募るオーディショ
も計画している。
作所 中日新聞東海本社
45
TA250350 U 063-821) 771

2003.06.05

『小劇団の経営自立支援』日経新聞/2003年6月5日

芸術に酔う
京都にある私設劇場「アートコンプレックス1928」
が、小劇場系劇団の経営の自立を促す仕組み作りに動き
出した。劇場の自主制作として、ロングラン公演、劇団
の赤字補てんするセーフティーネットを実験的に導
入。今後、劇団を投資対象とする小劇場公演のビジネス
モデルを提案する。
「小劇場文化として根
付かせるには、米プロード
ウエーのようにヒット作を
長期公演できるロングラン
システムと、文化活動を後
する出資者の存在が必
櫻」。アートコンプレック
スの小原プロデューサ
は、小劇場系劇団の公演
採算取れるような上演
システムを打ち出した。
ロングラン公演の第一弾
は、昨年二月七日から三週
間。京都の劇団「電視游戯
科学館] が、がまん延
する大正時代を舞台にした
「ノスフェラトゥ」を、二
十六回上演し、千六百五十
人の観客を集めた。
小劇場系劇団では、一作
の公演でも週末ニー三日ど
まりがほとんどで、百人
劇場では観客動員数も
合計五、六百人程度に限ら
れる。観客が少ないときは、
入場収入で経費を賄いきれす。
ず、舞台装置や広告など
資金で赤字を補てんする仕
ロングラン公演の第二弾 組みだ。実際には四十九人
小劇団の経営自立支援
アートコンプレックス1928
劇団員
する場合も
多い。電視游
科学舘
する国本浩
康は「小劇場
劇団はロコ
ミ宣伝効果が
大きく、新し
いお客さんが
来てくれるま
で一二週間
かかるので長
期公演はあり
がたい」と話
として、同劇団が山奥の
館で起こる怪奇事件を描い
た「牡丹灯籠」を、今年四
月十八日から五月六日まで
上演した。 主催したアート
コンプレックスは、公演
用の赤字を補てんするセ
ーフティーネットシステ
公演に先立ち、
ムを導入。
一ロ一万円で、招待券を付
けて出資者を募集した。
採算ラインとする昨年の
観客動員数、千六百五十人
を達成した場合、出資金を
返却し、採算割れしたら出
京都市中京区
京都の私設劇場
千九百三十
が出資したが、
八人の観客が訪れ、出資金
は返却できた。
電視遊戲科学館の国本は
「任意団体で融資を得にく
劇団に出資までして期待
してくれる人とつながりが
できて何よりうれしい」と
語る。 サントリー不易流行
研究所部長で、出資に参加
佐藤友美子さんは「企
葉のメセナ活動が後退する
なかで、個人として文化の
担い手になれる楽しさが実
感できる」 と、その効用を
公演長期に
赤
字補てん
出資者募る
アートコンプレックスのセーフティーネ
「
演
最初のロングラ
指摘する。
ン公演から小劇場演劇
見始めた会社員の岡本就介
さんも「参加が強くな
り、より深く鑑賞できる。
次回もぜひ出したい」と
好評だ。
科学館」の公
ット、 を使った
て、小劇場劇団やパフォ
ーマンス集団の公演を投資
の対象に、小口の出資者を
募集めた出資金に応じ
入場料収入から 舞台
装置や出演料などの必要
経費を差し引いた剰余金分
を上乗せして、出資者に再
配分する。 現在、集客力の
ある人気パフォーマンス集
団や、コンテンツ・ファイ
ナンスに関心を示す証券会
社と交渉を進めている。
このほか、高額な宿泊費
公演の障害になっていた
海外劇団や遠隔地の国内劇
団のために、宿泊施設「7
ーティスト・イン・レジデ
ンス」 (AIR)を六月か
本格オープンした。 元民
間企業の社員寮だった三階
建てビルを借り上げ、 十一
部屋で十四十五人を受け
入れ、宿泊費も一泊千五百
円程度に抑えた。三月から
試験的に利用を開始してお
り、フランス、韓国、タイ
などの俳優や音楽家らが
在した。
財源不足が常化してい
る小劇団に、新たな資金
が加わることで、舞台づく
一方、出資
りは安定する。
期待に応えるよう、 公
アートコンプレックスは の質と集客力を一段と高
投資家が配当を得られるピ めていく努力も問われそう
ジネスモデルも模索してい だ。
林隆之)
る。証券会社に協力を求め(大阪・文化担当

2003.06.05

『演劇の都 投資で築け』朝日新聞/2003年6月5日

ないが、日本ではまだ
京都の小劇場と証券会社が手を組み、舞台公演の資金集めに投資のシス
テムを導入することになった。 秋のでまず1千万円を募り、興行収
入で投資者に利益をする
対象にするのは米国では珍しく
関係者は、ミュージカルの本場、米・ブロー
につくることも夢見ている。
配当を出したい
劇場の持ち出しや一部の
企業の協賛だけで、安く
質を落とすとい
ドウェーのような演劇の街
悪を打破したい」
と話す 瀬戸公
介・常勤監査役も「京都
京都の小劇場、証券会社と「共演」の創造性を発信できるチ
全額返金できた。
投資システムを計画し
ているのは、京都市中京
区三条通御幸町小劇場
「ブロードウェーのよう
街を目指すためには、
もっと幅広いがい
る」と感じ、小劇場公演
システムづくりに
踏み切った。
小原さんは「1%でもだ。
ャンス」と前向き。
関西経済連合会も小原
公演
さんの活動に注目。
企画を持つプロデューサ
らに参加を呼びかけ、
個人投資家に舞台作品の
一部を見てもらうオーデ
ィションの実施を検討中
演劇の都投資で築け
「アートコンプレックス
1928」 と、ベンチャ
企業への出資などを
がけるエンゼル証券 (本
社・大阪市)。同劇場で
10月25日~11月13日にあ
パフォーマンス集団
「キュピキュピ」のロン
グラン公演を最初の対象
にする。
同劇場プロデューサー
小原さん)が登
集めのための会社を設
立し、7月下旬からイン
ターネットで個人設
1口2万円の予
定で、集めた資金は舞台
セットや広告、会場費な
エンゼル証券はノウハ
ウ提供とアドバイザー役
を担う。 成功すれば新し
ビジネスモデルにでき
るメリットがある。
小原さんは別の公演
で、試験的に呼びかけ、
1日1万円で約3人から
0万円ほどの出資を受け
公演は好評で、目標
今秋から導入
1千万円
目指せブロードウ
今年3月、アートコンプレックス1928
であったキュビキュビのショー。 今秋の公
演が投資対象となる京都市中京区で

2003.05.04

『投資でめざせロングラン』朝日新聞/2003年5月4日

「投資」でめざせ ロングラン
演劇公演の資金集めに、小口の個人投資家を募り、目標動員数に達すれ
ば全額返金するというシステムを、中京区の小劇場「アートコンプレック
ス1928」が試みている。 ミュージカルの本場、米・ブロードウェーな
どでは投資システムが一般的だが、日本ではあまり例がないという。
中京の小劇場 新システム試行
発案者は同劇場のプロデ
公演の成功を楽しんでもら
ューサー小原啓さん。
「いい作品も小劇場では
2、3日の公演がせいぜ
い。舞台鑑賞のすその広
作品自体の熟成にも
ングラン公演を実現させた
「い」との思いからだ。
今回対象となったのは、
4月18日から6日まで公演
中の京都の劇団「電視遊戲
科学館」による「牡丹燈
ふくしゅう
兄弟の過去にまつわ
復讐を軸にした悲劇
で、大がかりな舞台美術が
見どころだ。同劇団は80席
同劇場で昨年、別の作品
で3週間のロングランを
し、1650人を動員した
実績がある。
1口1万円で、昨年と同
じ動員を超えれば全額投資
家に返金する。 少なかった
場合は、100人単位で10
%ずつ返還金が減ってい
く。 1650人を超えるよ
う、投資家は公演を口コミ
で広げたり、チケットを売
ったりしながら支援する。
もうけはないが、応援した
1口1万円 動員の実績次第で返金
う狙いがある。
関西の舞台文化関係者や
経済人など約50人が手を挙
げた。出資金は舞台美術や
チラシの制作費などに充て
た。 公演終了時、スクリー
ンに50人の名前が映し出さ
れる。 出資者らは「自分の
1万円は、あの道具に使わ
れたのかなと思いながら見
るのが楽しい」と言う。
ブロードウェーなどでは
個人投資家は「エンゼル
「ズ」や「バッカーズ」と呼
ばれる。 投資対象は作品
で、ヒットしてロングラン
になれば、相応の利益が配
当される。 投資システムは
ロングランへの足がかりで
あり、公演が評判になれば
世界中から人が集まると
いう観光資源になってい
小原さんは「本格的なロ
ングラン公演の実現で
社仏閣だけでない若年層に
アピールできる新たな京都
の観光資源にしたい」と話
している。

2003.04.20

『メセナも活用 小劇場で異例のロングラン公演』産経新聞/2003年4月20日

平成15年(2003) 日刊21716号
4|20 [日]
THE SANKEI SHIMBUN
発行所 産業経済新聞大阪本社 2003
|〒530-8277 大阪市北区梅田2-4-9
大阪 (06)6343-1221 (大代表)
臺經
新間
MediaNews
■メディア
|関西の小劇場では異例のロングラ
ニュース
同劇場の小原
メセナも活用。
ングラン公演を成立させたい」と意
プロデューサーは「いずれはア
メリカのプロードウエーのように、
(期間が限定されない) 本格的なロ
システムの導入を
/公演を、 京都市中京区の「アート 啓
コンプレックス1928」が昨年に引き
続いて今年も主催する。今回は新た
京都 「アートコンプレックス 1928」
メセナ”も活用
小劇場で異例の
ロングラン公演
録、新たな観客の獲得にび、「単なる資金援助で
つながった。
はなく、小さいリスクで
今回は新たに、一口一歩踏み込んだかかわり
万円で援助を募るメセナ方をしてほしい」と小
を導入。観客動員数が原。現在約五十人が趣旨
年の実績に達した時点でに賛同し、援助している
出資金を全額返却し、達という。将来的には、 プ
しなかった場合のみマイロードウェーで一般的な
ナス動員数の割合に応じ投資システムの導入を図
金額を援助してもらうり、本格的なロングラン
関西の小劇場演劇界の舘」が昨年に続き登場。 公演で千六百五十人を動という仕組みで、例えば公演に踏み出したい考え
悩みの一つは、表現者に新作「牡丹燈篭」 (作員。初日の観客はわずか 前年よりマイナス百人なだ。
とっても観客にとっても演出、 国本浩康)を、十十人ほどだったが、口コら10%の千円を、マイナ問い合わせは、 アート
公演期間が短いこと。週八日から五月六日まで計ミで評判が広がり、最終ス二百人なら20%の二千 コンプレックス 1928
末の三日間、四ステージ 二十六ステージ上演す週には大入り満員、入場 円を援助してもらい、残 (075-254-6
コというのが平均的で、一
520)
が伝わるころには公演 ●●劇団「電視遊戲科学館」が26公演 ●●
が終わってしまっている
ことが少なくない。演劇る。 仕込み、 リハーサル しきれない客も出るよう額を返却する。
ア 人口の拡大を阻む要因ににも十日以上かけておになった。「公演回数を基本的には自力興行を
もなっている。そんな現、完成度の高い作品づ重ねることで、役者は成 前提に、赤字になった場
状に風穴を開けようと、くりを、劇場側が全面的長し、作品も成熟しま合のみ援助してもらうこ
同劇場が昨年初めてロンにバックアップする。 す」と小原。それまでの とから、「セーフティー
グラン公演を企画した。 同劇団は昨年、二十六 劇団の動員実績の倍を記 ネットのメセナ」と呼
ダイナミックで作り込
まれた舞台美術に定評が
ある劇団「電視遊戲科学

2003.04.02

『ロングランへの挑戦』朝日新聞/2003年4月2日

小劇場で活動する若手劇団の公演
といえば、上演期間は週末の3日間
というのが相場だ。しかし、京都の
「電視遊戲科学館」の新作「牡丹燈篭」
(作・演出は国本浩康)は4月18日か
5月6日までの3週間近く上演さ
れる。昨年に続く試みで、上演劇場
の「アートコンプレックス192
8」(京都市中京区)のプロデューサ
―小原啓渡が劇団に提案した。
小原は「いい作品でもすぐに終わ
るから観客が増えず、一部の熱心な
ファンだけのものになってしまって
いる。小屋(劇場) 側としても歯が
ゆかった。ロングラン公演への足が
かりにしたい」と話す。大がかりな
ロングランへの挑戦
舞台美術など、スペクタクル性では
評判の電視遊戲科学館に白羽の矢を
劇場入りしての準備は普通
立
は1、2日程度だが、これにも1日
間費やす。
昨年の公演では、初日の観客は10
人ほどだったが、2週目にはほぼ満
席、最終週には入場できない客が出
るまでになった。観客動員は165
0人。劇団の実績の倍だった。
今年はさらに、制作費の援助を呼
びかけている。1口1万円を募り、
昨年と同じ動員を達成すれば全額返
達しなければ動員数に応じて返
却する。今のところ、経済人など30
人ほどが援助している。これがうま
くいけば、将来は、公演が成功すれ
出資者に見返りがある「投資」の
形にする計画だ。 ブロードウェーの
システムにヒントを得たという。
昨年の公演は2月だったが、今年
はゴールデンウィークに設定した。
「観光客にも見てほしい。将来は京
都名物にしたい」
劇場閉鎖が相次ぐ関西で、 生まれ
つつある新たな試みを追った。
(鈴木京一)
昨年の公演「ノスフェラトゥ」 から
かわい
劇場の試み ①

2002.03.01

『電視游戲科学舘 ノスフェラトゥ』STUDIO VOICE/2002年3月

STUDIO. VOICE
MULTI-MEDIA MIX MAGAZINE
www.intas.co.jp
3
VOL.315
MARCH
2002
680Yen
電視游戯科学舘『ノスフェラトゥ』
小劇場ロングランの可能性を探る!
アートコンプレックス1928の
噂は聞いていた。行きたいとも思っ
ていた。そこから届いたリリースに、
「良い作品を、より多くの人に見ても
らうための方策としてロングラン公
演」 とあった。真摯な姿勢が気持ち
良かった。 常に妥協を余儀なくされ
突貫工事的な公演を強いられてい
る現状。 京都に限らず演劇に限らず、
その繰り返しが日本人の
文化度を薄めてきたのは
周知の事実だ。それでも
まだ雑多な人の棲む東京
はなんとかなる。だから
結局、東京は変わらない
が、どうにもならなくて
京都は変わったと、後か
ら言われるかもしれない。
劇場はリスクを負い、 ス
ペクタクル性に富むと言われる地元
新鋭「電視遊戲科学館」に賭けた。
演出家いわく、「単に我々が格好良い
と思い、楽しいと思うものを創って
きただけなのだが、原寸大の戦車や
体長22メートルの大蜘蛛を登場させ
てみたり、舞台上に数トンの水を降
らせてみたりと、(中略) つい作品が
派手になってしまうのである」。
ノスフェラトゥ
wwwwwww
2/7~27、アートコンプレックス 1928
075-254-6520) にて。 前1800円、
当2000円。 京都の新しい観光資源

2002.02.14

『悩む小規模劇団 応援へ試み続々』朝日新聞/2002年2月14日

朝
悩む小規模劇団
応援へ試み様々
新
京都芸術
センター
開
第3
3週間のロングラン
事前、評論家らに試演
アートコン
プレックス
経済的な負担が大きい
ために数日しか公演でき
ず、「おもしろい」と評
判になるころには終了し
てしまっている。そ
んな小規模劇団の悩み
を解消しようと、劇場側
が主催してロングラン公
演を開いたり、事前に劇
評家やファン向けの試
演をしたりという試みが
京都市内で実施されてい
る。
中京区のホール 「アー
トコンプレックス192
8」は7日から7日ま
で、劇団「電視遊戲科学
「舘」による「ノスフェラ
トゥ」を上演している。
大正時代の帝都・東京
を舞台に、不死身の体
持つ兄弟とその間でほん
ろうされる女性らの人間
模様を描く時に浅草に
立つ塔になったり、法廷
に早変わりしたりする階
段など、 大道具を効果的
に使ったスピーディーな
展開が見物だ。
3週間、計25ステージ
の公演は、小劇場演劇と
しては異例の長さとい
う。「これまで劇場は貸
会場にすぎなかった。
でも、それでは劇団側の
負担が大きく、劇場の個
性も打ち出せない。ロン
グラン公演は、より質の
高い演劇を作るための試
「みです」。 アートコンプ
レックスのプロデューサ
小原啓さん(4)は
話す。
料金は当日2千円、前
売り1800円。 高校生
以下1500円、5回分
7500円。 問い合わせ
はアートコンプレックス
1928 (075-25
46520)。
一方、中京区の京都芸
術センター(0752
13・1000) は、 劇
団公演の前に、評論家や
マスコミ、 一般モニター
向けの「試演」を開いて
いる。試の結果を参考
に、本番までもう一度作
品を練り直すことができ
るなど、メリットがある
電視遊戲科学館の「ノスフェラトゥ」の1場面=中京区のアートコンプレ
ックス1928で

2002.02.05

『小劇場でロングラン 若手劇団「電視游戲科学舘」』京都新聞/2002年2月5日

掛ける。 特に注目され
小劇場でロングラン 若手劇団「電視游戯科学舘」 るのは舞台美術、仕掛
勢いある京の若手劇団電視遊戲
科学館による『ノスフェラトゥ」
京都市中京区三条通御幸町東
入ルのホール「アートコンプレッ
「クス1928」で、関西小劇場演
劇界としては異例の三週間上演さ
れる。快挙か、冒険か、無謀かー。
小劇場の可能性を探るロングラン
に熱い期待が集まっている。
興行的に厳しい長期公演。 会場
使用料や時間の制約で、制作上妥
協したり、評判が出たころには公
演が終わることが少なくない。 同
ホールの小原啓プロデューサー
「じっくりと制作した質の高い
舞台こそ、京都文化の活性化につ
ながる」と会場を提供。前作で舞
上に数の雨を降らせた、こだ
わりの姿勢と平均二十三歳の勢い
を買って、同劇団を選んだ。
「電視―」は、京都精華大演劇
一部出身者を軸に一九九八年に結
成。 国本浩康が主に作・演出を手
京都の演劇シーン変えたい
3週間公演を行う劇団電視遊戲科学館
快挙? 冒険? 3週間公演に熱い注目
けの凝りよう。 原寸大
の戦車や体調十二の巨大グモを
登場させた。 美術系出身の芸術セ
ンスを光らせている。
今回上演の『ノスフェラトゥ」
は、旗揚げ作品のリメイク版。 舞
台を初演時のヨーロッパから大正
時代の日本へ移した。 近代化する
日本のやみを背景に、不死の兄と
不治の病の弟、二人に翻ろうされ
る女のドラマを、群舞や殺陣を交
えて描く。
もちろん大仕掛けも用意。 「一
枚一枚が絵を見るような場面の連
CG以上の驚きをみせる」と
国本。「二十六回公演なので、作
品がこなれていくはず。インディ
ーズが音楽を変えたように、京都
演劇シーンを変えたい」と自信
あふれる。
二月七二十七日。 前売り千八
百円。五回分回数券七千五百円。
問い合わせは同ホール2075
(254) 6520°

2002.02.01

『電視游戲科学舘 スペクタクル劇を上演』毎日新聞/2002年2月1日

電視遊戲科学館
スペクタクル劇を上演
7日から
中京
かわ 小劇場では異例の3週間
今回も大掛かりな舞台装
置を見せたいという。
開演は平日は午後7
京都精華大出身者を中間程度だが、今回は2日の大蜘蛛の造形物をステ
心に結成された劇団のをはさんで延べ26 ージに登場させており、
視遊戲科学舘」は7日~ステージを行う。また、過
27日、中京区三条御幸町 去の公演で数の水を噴
のアートコンプレックス 出する装置や、体長1
1928でスペクタクル
劇 「ノスフェラトゥ」を
上演する。98年の旗揚げ
公演以来、8回目の今回
は、小劇場としては異例
の3週間のロングラン公
演を予定している。
電視遊戲科学舘は同名
の劇を公演してきたが、
大幅に内容を変え、まっ
たく新しい劇として上演
する。脚本・演出は国本浩
小劇場での公演は通
常2~3日、長くて1週
一時、土日祝日は午後2時
と7時。1日、2日休演。
入場人員を各回30人に制
限して立ち見が出ないよ
うにする予定。日時指定
の一般前売り1800
円、 開演1時間前に会場
受付で発売する一般当日
は2000円。高校生以
下は前売り 当日とも1
500円。 【松沢敬介】
ノスフェラトゥ
「ノスフェラトゥ」のポスターより

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