ART COMPLEX 1928 - メディア情報

2017.09.06

「ノンバーバル劇 続々台頭」朝日新聞 朝刊・2017年9月6日発刊

文化・文芸 bunka@asahi.com 月曜~土曜掲載 ノンバーバル劇 続々台頭 セリフなし 音楽・映像・ダンスで表現 演劇と言えばセリフの応酬をイメージする人も多い中、セリフがない劇「ノンバーバルパフォーマンス」が台頭している。 東京・有楽町に今夏、専用劇場もオープン。 音楽やダンス、パントマイムなど様々なパフォーマンスを見せ、言語や年代を超えアピールする。 2020年。 東京にタイムスリップした戦国武将アラタと、OLこころが出会う。 アラタはクラクションに驚いたり、公衆便所の便器を壊したりとハプニング続き。 劇はほぼセリフがなく、音楽に合わせ、映像、激しい殺陣、ダンス、フライング、イリュージョンが展開する。 狙うは外国人客 東京・有楽町に7月、ノンバーバルパフォーマンス劇場「オルタナティブシアター」(462席)がオープンした。 スタジオアルタが映画館を改装、20年の東京五輪・パラリンピックも視野に外国人観光客の集客を狙う。 客層は20代女性が多く、12月まで劇作家横内謙介さん作の70分間のサムライ・エンターテインメント「アラタ~ALATA~」を上演する。 来年度は10万人動員、5億円の売り上げを劇場の目標にする。 田沼和俊社長(56)は「国境や言葉の壁を越え、世界を笑顔にしたい」と話す。 米国進出も視野に入れる。 構成・演出の岡村俊一さん(55)は「物語をセリフではなく、肉体の動きで翻訳した」。 場面ごとに心情や状況を表現する音楽でつなぎ、心象表現の高いダンスで物語を表す。 セリフがない分、テンポも増す。 背景の映像を俳優の動きと逆方向に流すなどの工夫でスピード感を出す。 言葉を使わない無言劇は欧米ではパントマイムで発達、日本の歌舞伎でも暗闇の中で探り合う「だんまり」の場面がある。 近代では「転形劇場」を主宰した太田省吾の作・演出で1981年に無言の「水の駅」を初演、身体性を重視した「沈黙劇」を確立した。 ノンバーバルは、より複合的な要素で構成される。 顔を青く塗った3人組の米国のショー「ブルーマングループ」(91年初演)や、韓国の「ナンタ」(97年初演)が有名だ。 日本でも京都市の100席の小劇場でおもちゃの人形と人間型ロボットが登場する「ギア-GEAR-」が2012年からロングランを続け、観客動員は14万人を突破。 10月に公演2千回を達成する見込みだ。 ノンバーバルの台頭について、演劇・映画評論家の萩尾瞳さんは「感覚的で体感的なので、SNSやユーチューブなど、視覚的・聴覚的な情報伝達に慣れた若い層にも受け入れられやすいからでは」と分析する。 29日から始まる横浜市の神奈川芸術劇場と小野寺修二さん(50)主宰の「カンパニーデラシネラ」の新作「WITHOUT SIGNAL!(信号がない!)」は日韓共同製作だ。 「国境や言葉を超えた創作にノンバーバルは合う。 言葉にならない感動を観客に与えられる」と小野寺さん。 広がる解釈の幅 手塚治虫の漫画が原作の「W3(ワンダースリー)」が11~12月に東京のDDD青山クロスシアターで上演される。 構成・演出を手掛けるウォーリー木下さん(45)は「宇宙人と地球人の異文化交流の物語です。 セリフだと意味が限定的になるが、ノンバーバルの面白さは解釈の幅が広がることです」と話す。 7月のプレ公演を見た川崎市の大学生船山このみさん(20)は「セリフがなくてもダンスや音楽、映像、身近にある道具で場面を表現するのが面白かった」と話した。 (山根由起子) 意識 覚醒する感覚 詩人・作家 小池昌代さんの見方 ノンバーバルを、言葉を磨く異ジャンルの文化人はどう見るか。 詩人・作家の小池昌代さん(58)に「アラタ」を見てもらった。 感動に浸るというより、意識が芽生えて覚醒するという感覚を味わいました。 アラタとこころが小指を絡め合う場面では、カキーンという金属的な音をあてていたので、「かたい約束」という意味ではと解釈し、楽しめました。 セリフがない部分を激しい音楽や映像、身体表現など様々なパフォーマンスで埋め尽くしていたので、沈黙の豊かさや息づかいが感じられなかった。 見えない物が見えてくるパントマイム的な表現を深めてもいいかもしれません。 全体的にサムライの殺陣が日本文化のイメージを代表し、スマホの画面を見るしぐさやダンスの振りが、世界との共通性をアピールしていて、来日外国人を意識した、面白い「観光劇」の仕上がりになっていると思いました。 「アラタ~ALATA~」のスピード感ある殺陣=阿久津知宏氏撮影、オルタナティブシアター
朝日新聞全国版 文化・文芸面にて、『ギア-GEAR-』が取り上げられました。

2017.08.17

「せりふのない舞台 続々」読売新聞 朝刊・2017年8月14日発刊

Now オン せりふのない舞台続々 訪日外国人旅行客を意識した夜のエンターテインメントとして、せりふがほとんどなく、表情や動作で見せる「ノンバーバル(非言語)」の舞台公演が活発になっている。 京都では人気のロングラン公演が6年目に突入し、東京・有楽町にも今夏、専用劇場が生まれた。 洗練されたパフォーマンスや映像効果で観客を魅了している。 (浅川貴道、松本由佳) マイムやダンスで物語 北米の「シルク・ドゥ・ソレイユ」や「ブルーマン」、韓国の「ナンタ」など、アクロバットやマイムを駆使したノンバーバル・パフォーマンスが世界で人気を集めている。 日本でも2020年の東京五輪を見据え、オリジナルの舞台が模索されている。 中でも先駆けといえるのが、京都・三条通のレトロなビル「アートコンプレックス1928」内の専用劇場で公演されている「ギア GEAR」だ。 10年の試験公演を経て12年に同劇場で公演を始め、7月24日に1900回を突破した。 約100席の会場は連日ほぼ満席で、これまで14万人を動員している。 客の2~3割は外国人で、半数以上を占める日もあるという。 統括プロデューサーの小原啓渡さんは「いつでもやっている、という印象が肝心」とロングランにこだわってきた。 舞台は荒廃した近未来。 人間型ロボットが働く元おもちゃ工場に、かつての製品だった人形「ドール」が現れ……。 せりふは全くなく、最新鋭のプロジェクションマッピングと、日替わりの出演者が披露する日本トップレベルのマイムやブレイクダンス、マジック、ジャグリングが詩的な物語を紡ぎ出していく。 忍者や芸者といった「日本趣味」は一切登場しない。 だが、「外国人は『ベリー・ジャパニーズ』と褒めてくれます」という。 歌舞伎公演などで照明の仕事を担ってきた小原さんは「複合芸術である歌舞伎の本質を現代風に作り直したかった」と語る。 パフォーマンスを組み合わせコンパクトに詰め込んだ「幕の内弁当」的な魅力こそ、外国人にまねできない日本らしさだと考える。 「見るたびに進化している」と、国内のリピーターが増えているのもロングランの産物だろう。 満員電車など日本の「今」 一方、東京・有楽町には7月、訪日外国人観光客をターゲットとしたノンバーバル劇場「オルタナティブシアター」(462席)がオープンした。 こけら落とし公演「アラタ~ALATA~」でロングランを目指している。 2020年の東京にタイムスリップした戦国時代の武将アラタが、OLのこころと交流しながら、怨霊たちと戦う冒険物語。 アラタを早乙女友貴、こころをElinaが演じ、全編を通してハイレベルな殺陣と、切れのいいダンスを繰り広げる。 劇場を運営するスタジオアルタの田沼和俊社長は、東京はナイトライフを楽しむ場所が少ないという訪日客の声を聞き、「日本語が分からない人でも楽しんでもらおう」と劇場設営に踏み切った。 「幼い頃から劇団で育ってきた早乙女さんや、義務教育でダンスを習ってきた若い世代のレベルの高さを感じてほしい」。 作品には、満員電車や温水洗浄便座など、海外の人の目を引く要素も盛り込まれている。 伝統文化だけでなく、日本の「今」も感じられる作品になっている。 ロビーでは忍者姿のパフォーマーたちが待ち受け=写真=、劇場全体での「おもてなし」を目指している。 ノンバーバルの舞台はほかにも、東京の明治座や大阪のOSK日本歌劇団が昨年から今年にかけて手がけており、今秋は手塚プロダクションが東京・渋谷で「W3(ワンダースリー)」の公演を予定している。 上 ドール(中央)とロボットたちが繰り広げる「ギア」の幻想的な舞台 下 マジック(左)やマイム、ブレイクダンスなどのパフォーマーがロボットを演じ、得意の技で楽しませる(写真・岸隆子) オルタナティブシアターで上演中の「アラタ~ALATA~」。 ハイレベルな殺陣を披露する(写真・阿久津知宏)
読売新聞にて、『ギア-GEAR-』が取り上げられました。

2017.07.21

「インバウンド関西 境界を壊せ?」日本経済新聞 朝刊・2017年7月21日発刊

京滋 インバウンド関西 境界を壊せ③ 夜と早朝 新たな鉱脈 空白の時間帯、魅力磨く セリフのないパフォーマンスを興行する京都市中京区の劇場「ギア」。 夜の部は午後7時に開演し、5人の役者がマジックやダンスを1時間半ほど披露する。 夜の娯楽を求める外国人客でにぎわい、世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」が発表する外国人に人気の観光スポットのランキングで2016年は28位に入った。 「京都の神社仏閣は夕方に閉まり、夜の楽しみは川沿いのレストランから景色を眺めることだけだった。 こういう娯楽はありがたい」。 6月末、ゲストハウスで薦められ観劇したオーストラリア人女性のマギー・バーグさん(49)は語った。 宿坊で宗教体験 日中は観光地を巡り、夜と早朝はホテルや旅館でゆっくり過ごす――。 そうした行動パターンを覆すように、日中以外も観光や食事、観劇へとアクティブに繰り出すインバウンド(訪日外国人)客が増えてきた。 インバウンド人気が高まる世界遺産の高野山(和歌山県)。 恵光院が雨天を除いて実施する奥之院へのナイトツアーには毎晩20~30人の外国人が参加する。 樹齢数百年の杉や諸大名の墓石が並ぶ暗闇の中、御廟(ごびょう)までの約2㌔を歩く。 「日本観光で最も神秘的な夜だった」。 6月末に参加した米国人女性のスーザン・スパンさん(45)は感激した面持ちで語った。 恵光院では早朝の護摩祈祷(きとう)などへの参加も受け付けており「宿坊で多くの宗教体験ができる」と近藤大玄住職。 和歌山県によると16年に高野町に宿泊した外国人客は7万6千人泊と前年比約4割も増えた。 夜と早朝の観光資源が宿泊需要を喚起している。 観光庁によると16年に観光・レジャー目的で関西を訪れた外国人の平均泊数は4.1泊と関東の4.8泊を下回った。 1人あたり平均消費額も4.6万円と関東の6.8万円に水をあけられている。 宿泊客数の伸びでは全国を上回る関西だが、滞在時間や消費額はなお拡大の余地がある。 一因と指摘されるのが夜と朝の娯楽に乏しいことだ。 「米ブロードウェーのミュージカル、米マウイ島の日の出鑑賞など世界を代表する観光地は夜や早朝に有力なコンテンツがある。 関西はこの時間帯のマーケットを開拓しきれていない」と大阪府立大の橋爪紳也教授(都市観光論)はみる。 朝観光を促す試みも広がる。 京都市は飲食店サイト大手のぐるなびと組み、朝から足を運べる飲食店や寺社、朝市を紹介している。 市の担当者は「日中の混雑を緩和し、朝観光の楽しさを発信することで京都に前泊してもらえる」と一石二鳥の効果に期待する。 異なる夕食時間 お好み焼き店「千房」を運営する千房ホールディングス(大阪市)によると大阪・道頓堀などの店舗では夜の早い時間帯に中国人、夜9時以降に韓国人が訪れる傾向がある。 「国によって夕食の時間帯が違う」(同社のマーケティング担当者)。 こうした行動パターンを踏まえればより幅広い時間帯に誘客できる。 格安航空会社(LCC)の深夜・早朝便が多く発着する関西国際空港でも対応は進む。 3月に開業したホテル「ファーストキャビン関西空港」は価格帯をビジネスホテルとカプセルタイプの中間に設定し、訪日客に人気を集める。 空白だった時間帯の魅力を磨き、消費を促す知恵が問われる。 インバウンドの滞在時間と消費の底上げが課題 消費単価(左軸) 平均泊数(右軸) 東京 大阪 京都 (注)観光庁調べ、16年、観光・レジャー目的 夜に高野山奥之院を訪れる恵光院のツアー(和歌山県高野町)
日本経済新聞【インバウンド関西】コーナーにて、『ギア-GEAR-』が取り上げられました。

2017.04.22

「モダンの回顧とコンテンポラリーの円熟、時代の節目に社会と向き合うダンス」/国際演劇年鑑2017

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日本の舞台芸術を知る ●社会的弱者とダンス 2020年東京オリンピック/パラリンピックに向け、様々な取り組みが始まっている。 インバウンドも期待され、京都では日本初の舞踏専用劇場「KYOTO舞踏館」がオープンし、倚羅座の今貂子がロングラン公演を開始した。 やはり京都で異例のロングランを続ける『ギア-GEAR-』のプロデューサー・小原啓渡の企画である。 『ギア』は、パントマイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリングをストーリー仕立てで魅せるノンバーバル・パフォーマンスで、プロジェクションマッピングやLEDの光るドレス、レーザービームなどの最新技術を同期させた演出で好評を博している。 2012年に開幕し、2015年は1,000回公演を達成、2016年は来場者数のべ10万人を突破。 セリフがないため、子どもから大人、外国人まで楽しめ、インバウンドの成功事例となっている。 近年注目されるのが最新テクノロジーとダンスのコラボレーション、そして障害者とのアートである。 「ON-MYAKU 2016」は、ピアニスト・中川賢一の演奏と白井剛のダンス、様々なセンサーデバイスがリアルタイムに共鳴する試み。 高谷史郎は2015年に世界初演した『ST/LL』を日本初演し、『CHROMA』も再演した。 ベルリン在住の川口ゆいは映像作家・石橋義正と共作した『MatchAtria』を日本凱旋ツアー。 鼓動に同期し振動する心臓型デバイスや心音の立体音響、3D映像を通して、観客がダンサーの身体性と密接に繋がる体感型の公演だった。 国際交流基金はTPAMで「障害×パフォーミングアーツ特集2016」を開催し、YCAM(山口情報芸術センター)が安藤洋子と研究開発したRAM(Reactor for Awareness in Motion)のデモ公演をした。 RAMはダンサーの働きをキャプチャーし、映像や音響など様々なデバイスへリアルタイムにアウトプットする変換システムで、2016年はツールキットも公開された。 開発段階では砂連尾理も身体障害者との実験的なリサーチに取り組んでおり、障害者の動作をキャプチャーし可視化することで、健常者との相互理解や共感が進むと期待されている。 砂連尾はこの年、京都の特別養護老人ホームで身体の動かない入所者と取り組んだワークショップの記録『老人ホームで生まれた〈とつとつダンス〉』も出版した。 身体障害者の劇団態変は、12年ぶりの東京公演で『ルンタ(風の馬)~いい風よ吹け』を再演。 主宰の金満里をはじめ、セリフのない身体動作のみの表現は固定概念を覆し、国内外で高く評価されてきた。 しかし、7月に神奈川県相模原市の知的障害者施設で刃物による大量殺人事件が発生し、加害者が優生思想を持つ同施設の元職員だったため、社会に衝撃が走った。 金は追悼と鎮魂、傷ついた全国の障害者へ激励の思いを込め、ソロダンス『寿ぎの宇宙』を踊った。 聴覚障害のアーティストも注目された。 牧原依里と舞踏家の雫境が共同監督した映 Co.山田うん『いきのね』 撮影:羽鳥直志 CONTEMPORARY DANCE and BUTOH ART COMPLEX『ギア-GEAR-』 撮影:井上嘉和
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公益社団法人 国際演劇協会日本センターが発行している「国際演劇年鑑2017」で、『ギア-GEAR-』とKYOTO舞踏館が取り上げられました。

2017.04.22

「ナイトライフの魅力創出」観光文化/2017年4月号

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特集◉外国人観光客の消費を地域経済活性化につなげるには 特集3 地域資源を活かした訪日外国人消費促進――観光地での消費活動別に見た取り組み 事例紹介5 体験 ナイトライフの魅力創出 Point ■日本人の日常的な商業地域での過ごし方を体験してもらうためのきっかけをつくることで、夜間の消費促進を図る ■ノンバーバルパフォーマンスのロングラン公演という新たな魅力づくりによって、舞台鑑賞による消費機会を創出する 日本の弱みは「ナイトライフ」 旅行者の時間の過ごし方から消費促進の可能性を考えてみると、現在あまり消費が行われていない時間帯に、消費活動を行ってもらうという方向性を導き出せる。 訪日外国人旅行者にとっての具体的な時間帯は「夜間」だろう。 かねてから、日本には「ナイトライフ」の楽しみが不足していることが指摘されてきた。 日本政策投資銀行と当財団が外国人を対象に共同で実施したアンケート調査でも、日本のナイトライフに関する評価は、タイを下回っていた(「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(平成28年度版)」結果より)。 本稿では、こうした現状の中で、ナイトライフの充実につながっている2つの先進事例を紹介する。 日常的な生活スタイルを体験してもらう 「ナイトライフの楽しみが不足している」とはいっても、日本に住んでいる私たちが夜間に全く消費をしていないかというと、そんなことはない。 確かに美術館・博物館などは欧米の都市に比べると営業終了時間が早いかもしれないが、居酒屋やバーでの飲食や、深夜まで営業している小売店でのショッピングなど、選択肢は多くある。 公益財団法人東京観光財団が2013年(平成25年)に実施した「TOKYO YOKOCHO Week」というイベントは、こうした日本人の日常的な生活スタイルを体験してもらうことで、訪日外国人旅行者の消費促進を図る先駆け的な取り組みであった。 具体的には、東京を訪れた外国人旅行者に「YOKOSO DISCOUNT PASSPORT」という名前のパスポートを配布し、これを持参した人には①有楽町産直飲食街内の2店舗を利用するとギフトを贈呈、②有楽町エリアのオーセンティックバーでのカバーチャージを無料、③ドン・キホーテ銀座本館での割引とギフト贈呈といった特典を提供した。 このエリアには、ペニンシュラ東京や帝国ホテルといった外国人利用率の高い宿泊施設が複数あったことから、イベント参加者は2カ月間で1300~1400人を記録した。 店舗側の意識という観点からは、(2013年当時は有楽町・銀座といえども現在ほど多くなかった)外国人旅行者受け入れへの抵抗感を払拭し、インバウンドを大きなビジネスチャンスとして前向きに捉えてくれるようになったという効果が見られた。 変化・進化を続けるノンバーバルパフォーマンス 「ナイトライフ」という言葉から連想される体験としては、飲食やショッピングの他に、舞台鑑賞が挙げられる。 ノンバーバルパフォーマンス「ギア-GEAR-」は、訪日外国人旅行者から大きな支持を受けている代表的な公演である。 公演回数は先日1700回を達成し、これまでの観客動員は約12万人に上る。 「ギア-GEAR-」は、京都市の専用劇場において、2012年(平成24年)からロングラン公演が行われている。 舞台は、4体の人間型ロボット「ロボロイド」が働き続ける元おもちゃ工場。 そこに、かつて工場の商品だった人形「ドール」が現れることで、物語が展開していく。 劇中では言葉が一切使われないため、外国人や小さな子どもでも楽しむことができるようになっている。 また、パントマイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリングのパフォーマンスが繰り広げられるとともに、プロジェクションマッピングなどの最新技術を活用した演出が融合されている。 100席のいわゆる小劇場の規模での公演ということもあり、舞台と観客席の距離が近く、臨場感あふれるところも魅力である。 ロボロイドとドールを演じる役にはそれぞれ複数の俳優がいて、公演ごとにその組み合わせは毎回変わる。 公演内容も、観客のアンケート結果などを反映しつつ徐々に変わっており、現在は「バージョン4.0」となっている。 このように、常に変化・進化を続けていることが国内外のリピーターを魅了し、ロングラン公演の継続につながっている。 出演者には関西在住者が多く、地域の雇用を生んでいるという点においても経済効果を高めている。 統括プロデューサーの小原啓渡氏は、「オリンピックの金メダリストは地方になかなかいないかもしれないが、オリンピック種目ではない分野のチャンピオンは地方にもたくさんいるし、彼らの活躍の場は少なかったりする」と語る。 さまざまなジャンルのトップクラスの人材を活用することが、質の高いパフォーマンスを生み出す原動力となっている。 小原氏によると、外国人客が増えたきっかけは、トリップアドバイザーやSNS上でクチコミが広がったところにあるという。 劇場入り口には英語の案内文がついたインターホンが設置されており、当日券を求める外国人客からの問い合わせにも対応している。 既存の地域資源活用と、新たな魅力創出 2つの事例は、「ナイトライフ体験の向上による消費促進」に異なる角度から光を当てている。 「TOKYO YOKOCHO Week」は既存の地域資源を活用したものであり、「ギア-GEAR-」は小劇場のロングラン公演という新たな魅力を作り出したものである。 もっとも、「ギア-GEAR-」の例にあるように、新たな魅力づくりを進める際にも、人材をはじめとした地域のさまざまなストックを活用していくことが重要である。 取材・執筆:観光経済研究部 研究員 外山昌樹 有楽町産直飲食街 「ギア-GEAR-」の公演風景(撮影:岸隆子) 「ギア-GEAR-」専用劇場外観
公益財団法人日本交通公社が発行している機関紙「観光文化」内で、ナイトライフの魅力創出事例として『ギア-GEAR-』が取り上げられました。

2016.11.18

「間口広く、個性放つ演者」日経MJ/2016年11月18日

エンターテインメント 中本千晶のレビューれびゅー 間口広く、個性放つ演者 ■京都発、非言語パフォーマンス「ギア」 京都でやっている「ギア」というパフォーマンスが面白いらしいと聞いた。 2010年1月からのトライアウト公演を経て、12年4月からは専用劇場でロングランしている。 約7年も続いている秘密は何なのか知りたくて、足を運んでみた。 三条通のレトロなビルの3階にその劇場はある。 座席数は約100席。 どの駅からも10分近くかかるが、歩いて楽しいアーケード街だし、チケット代も2700~4200円と高くないから観光ついでに足を運びやすい。 入り口では通りすがりの人に熱心に呼び込みが続けられていたが、中に入ると平日昼間でもほぼ満席だった。 90分ノンストップの、ノンバーバル(非言語)なパフォーマンスだ。 チラシを見ると「演劇でもない、ミュージカルでもない、サーカスでもない! 新感覚エンターテイメント!!」とある。 劇場はレトロだが、ひとたび幕が上がればプロジェクションマッピングやレーザー光線など最新の技術を駆使した幻想的な世界が広がる。 物語の舞台は荒廃した未来の、機能していないロボット工場だ。 毎日無目的に働き続けるロボロイドたちがある日、かつてその工場で生産された人形をよみがえらせる。 文字で描くと陳腐にも聞こえるストーリーに観客を引き込むのはパフォーマーの力だ。 4人のロボロイドにはマイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリングを得意とするパフォーマーが日替わりでふんする。 それぞれの特技を披露する場もふんだんに設けられているからショー的要素も強く、観客を飽きさせない。 ちょっとした仕草や間のおかしさで笑わせる手法は「関西っぽい」と言っていいのだろうか。 客席への絡みも容赦がないが、対するお客さんのノリも良く、客席から次々と声がかかったりする。 舞台など普段は見たことのなさそうなお客さんの反応が素朴だ。 一方で前の方の席はリピーターが占めている様子だったが、私も次第にその気持ちがわかってきた。 4人のロボロイドとドール役、計5名のキャストは単に技が優れているだけではない、個性が際立っているのだ。 舞台好きとしては、これを別のキャストがやったら全く違うものになるだろうという勘がすぐに働き、興味がわいてくる。 じつはマイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリングといったややマイナーなジャンルのパフォーマーは、第一人者といえども発信の場が少ないという現状もある。 「ギア」はそうした才能あふれる若い人材にチャンスを与える場にもなっている。 スタッフ一覧の一番上の「演出 オン・キャクヨウ」という名前が目を引くが、何とこれは「お客様」のこと。 実際、客席ではアンケート用紙の記入が熱心に促されていた。 「ギア部」というファンクラブ組織や「誕生月プラン」など、「もう1回見てみようかな」と思った人をぐっと引き込むユーモアあふれる仕掛けにも事欠かない。 これまでノンバーバルの「ギア」は外国人観光客にも受けるという文脈で評価されることが多かったようだ。 だが、現在は外国人観光客は減少傾向にあり、リピーターが2割弱を占めているという。 評判が広がった今、急に思い立って見ようとしてもチケットは売り切れという状況も生じがちなため、毎公演あえて当日券を残すようにもしている。 だから開幕直前まで入り口で呼び込みをやっていたのだ。 間口は広く、でも舞台好きの心もとらえて離さない。 二重の入り口を維持し続けるきめ細やかな工夫の積み重ねがロングランの底力のようだ。 結局、奇策があるわけではなかった。 かくして私も正月の帰省のついでに立ち寄って、違うキャストで再び見てみようと心に決めた。 何しろチケットはお手ごろだし、ついでに京都観光だっててきるのだから。=敬称略 (ジャーナリスト) 撮影・井上嘉和
日経MJのエンターテイメントのコーナーにて、『ギア』のレビューが掲載されました。

2016.11.12

関西テレビ「ウラマヨ!」にて『ギア』が紹介されました。

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関西圏を中心にオンエアされている、
ブラックマヨネーズ司会の人気バラエティ番組
「ウラマヨ!」にて『ギア』が紹介されました。
また、『ギア』出演中のマジシャン新子景視が
スタジオに出演し、
秋にまつわるパフォーマンスを披露しました。

2016.05.26

「Fodor’s Travel Japan」/2016年4月発行

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米国最大手の旅の出版社Fodor’sが発行する観光ガイドブック「Japan」にて『ギア-GEAR-』の情報が掲載されました。

2016.03.08

インバウンドビジネス入門講座 第2版 訪日外国人観光攻略ガイド・2016年3月発刊

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第6章 インバウンドビジネスの取り組み事例 21 観光スポット ギア専用劇場(京都府・四条河原町) 誰もが楽しめる非言語パフォーマンス 世界屈指の観光地として、多くの観光客が訪れる京都。 一方で、寺社仏閣以外のスポットや、雨天時や夕方以降に出かけるスポットが少ないと感じる観光客もいるようです。 そうしたニーズに応えているのが、京都の繁華街、四条河原町から歩いて10分ほどのギア専用劇場です。 [言語を使わないパフォーマンスで誰もが楽しめる] 2012年から始まったノンバーバルパフォーマンス・『ギア』の公演は1000回を超えました。 「国籍や世代を超えて楽しめる」をモットーに、演出家を「オン・キャクヨウ」と書き(「御客様」の意味)、お客様目線に立った演出と小劇場ならではの行き届いたホスピタリティで海外からの観光客も魅了しています。 『ギア』のプロデューサー小原啓渡さんは、ブロードウェイやヨーロッパの観劇文化に触れ、日本でも観劇の機会を増やしたいと思ったそうです。 京都という土地柄、観光客をターゲットにした「国籍や世代を超えて楽しめる=ノンバーバル(言語を使わない)」パフォーマンスの着想につながりました。 多様な歯車が絶妙なバランスで調和する社会への願いをこめて、英語で「歯車」を意味するギア(gear)と名付けました。 インバウンドの取り組みで大きなカギを握るクチコミですが、「ネガティブな情報ほど広まりやすい。 クチコミにはそういった怖さもある」と小原さんは言います。 ロングラン公演前には、トライアウトを通じて何度も練り直し、一定の評価をもらえるレベルにまで品質を引き上げました。 若手からベテランにいたるまで、世界大会の優勝者をはじめ、ニューヨークやパリの舞台を経験したキャストを採用しました。 マジックやダンスなど、ひとつのジャンルを75分間通して観てもらうことは難易度が高いのですが、組み合わせや魅せ方を工夫することで、質の高いコンテンツを創り出しています。 [チケットの購入から公演まで英語でフォロー] 訪れる外国人観光客のほとんどがアメリカやヨーロッパ、シンガポール、香港、台湾からの個人旅行客で、ファミリー層も多いそうです。 ノンバーバルならではのわかりやすさに加えて、家族4人で1万円以内に設定した価格などが支持されて、国籍、年代問わず楽しめる作りとなっています 各客席に配布されるパンフレットやアンケートには英語を併記、開演前のスタッフアナウンス中は、同じ内容が舞台上の電光掲示板に英語で流れるなど、チケット購入から公演までの言語フォローも充実させています。 インバウンドに取り組む多くの事業者が悩んでいるのが「キャンセル」の問題です。 『ギア』の場合も、予約をしたのに来ないお客様が発生していました。 対策として、多言語ウェブサイトで、ペイパルやクレジットカードを使って予約時に決済ができるようにしました。 また、公演日が近くなるとリマインダーメールを送っています。 2015年11月からモスクワでロシア版『ギア』が公演されるなど、現地キャストによる公演も積極的に進めています。 「調和」のコンセプトはそのままに、ローカライズ版の公演によって、それぞれが「ここでしか見られない」価値を維持し、国内外のファンやリピーターにつながると考えるからです。 いつかはブロードウェイで日本発のオリジナル作品として『ギア』が上演されること――スタッフみんなが共有する目標だそうです。 まとめ ▶京都という土地柄だから、国籍や世代を超えて楽しめる=ノンバーバルパフォーマンスを着想した ▶外国人観光客へは、チケット購入から上演前まで、言語フォローを工夫している ▶日本版コンセプト「調和」を維持しながら、海外へも進出し、ファンやリピーターを増やす ノンバーバルパフォーマンス「ギア」 専用劇場 URL http://www.gear.ac/ 住所 京都市中京区三条通御幸町角弁慶石町56 1928ビル3階
「インバウンドビジネス入門講座 第2版 訪日外国人観光攻略ガイド」で、『ギア』がインバウンドの取り組み事例として掲載されました。

2016.02.24

トリップアドバイザー 外国人に人気の日本の観光スポット(旅行 ガイドブック)・2016年2月発刊

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独自性のある演劇は魅力に満ち、面白く、創造的です。 小さな劇場なので役者と観客の距離感が近く、一体感があってとても楽しめました。 (FluffyBunnyFeetさん/カナダ) 19位 2014年 - 位 2013年 - 位 2012年 - 位 京都府京都市 MAP P.141 E-2 ギア専用劇場(ART COMPLEX 1928) ギアせんようげきじょう(アートコンプレックス 1928) 口コミ評価 ◉◉◉◉◎(←◉の半分のような形のマークです) 口コミ数 149件 ギア専用劇場(ART COMPLEX 1928) ハイパフォーマンスに、子どもも大人も大興奮!京都の新たな一面を楽しもう 2010年の初演以来、じさじわと人気を集める新感覚エンターテイメント「ギア」。 セリフを一切使わず、世界大会で優勝を収めているパフォーマーがダンスやマジック、ジャグリングを繰り広げ、ストーリーが展開していく。 プロジェクションマッピングを駆使した光と映像による演出もさらに舞台を盛り上げる。 こぢんまりした舞台ながら超絶技を体感することができるスポット。 基本データ 075-254-6520 京都府京都市中京区三条通御幸町角 弁慶石町56 1928ビル3階 阪急電車河原町駅または京阪電車三条駅から徒歩8分 URL www.gear.ac 外国人にココが人気! Like 壮大なセット、激しいアクション、ユーモアとわかりやすい筋書き…… それらは誰もがパフォーマンスを楽しめるように作られていた。 パントマイムやマジックなど、75分間、驚きと楽しさの連続! (Karen Sさん/オーストラリア) When 京都で雨が降ったとき、ギアを見たのは最高の選択でした。 ショーが始まる2時間前にインターネットから予約し、魅惑的なショーを堪能しました。 (WAWSydneyさん/オーストラリア) Check 神社や寺院、庭園といった京都観光の定番から離れて、気分転換するにはいい場所。 (TravellingKnight75/アメリカ) 言葉を必要としないパフォーマンスによるショーなので、日本語がわからなくても楽しめます。 (kspaceさん/シンガポール)
ランキングテーマを「行ってよかった観光スポット」に絞り、外国人の口コミで選ぶ日本の観光スポットを50位まで紹介するガイドブックに、ギア専用劇場が掲載されました。

2015.12.10

「外国人に大人気の爆旅スポットへ行こう」女性セブン/2015年12月10日発行

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外国人に大人気の爆旅スポットに行こう! ニッポン新名所 なぜか来日客がひっきりなしに訪れる、意外な場所がある。 だったら、きっと日本人が行っても楽しいはずガイド! 京都、浅草など定番の観光地は、外国人にとってはもう古い? ということで、SNSや口コミサイトで広まり、海外からの旅行客でにぎわう最新の日本の新名所を徹底取材。 私たちが見たらこんな所が!?という場所もありますが、きっと行ったら楽しめること間違いなし! 新しいニッポンを発見しちゃいましょう! 日本語がわからなくても楽しめるショー 『ギア-GEAR-』 パントマイムなど言語を一切用いないパフォーマンスなので、外国人にも人気(◎◎◎◎大人◎◎◎◎円◎◎)。 レティシアさん(フランス出身◎写真)は「日本語がわからなくても楽しめました。 いろいろな仕掛けがあって、あっという間でした」とニッコリ。 住 京都府京都市中京区三条通御幸町角弁慶石町56 1928ビル3F 問 0120・937・882 営 公演日程、時間はhttp://www.gear.ac参照 日本人にはここがオススメ! 舞台に立つのは世界チャンピオンクラスのパフォーマーで、プロジェクションマッピングなどが加わるステージは圧巻。
小学館発行女性セブンの巻頭「外国人に大人気の爆旅スポットへ行こう」にて京都ロングラン公演中の『ギア-GEAR-』が紹介されました。

2015.11.30

「食玩買 終極天書」香港長空出版/2015年11月発行

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京都分區 河原町/烏丸 42c 舞蹈+魔術+雜技 ギア「GEAR」 談起古都京都的表演,説來説去幾乎只有歌舞伎等傳統演出。 想看與別不同的表演的話,其實在三条的舊大樓1928內,有一個讓人驚喜萬分的選擇! 大樓頂樓的小劇場,雖然佔地不大,卻是公演場數破千、京都發迹的新生代表演「GEAR」的專用劇場。 GEAR以默劇形式作為賣點,將舞蹈、魔術、雜技完美地融為一體。 就算不會日語,也絲毫不影響你被出色的舞台設計、3D投影及燈光效果,以及演員投入的演出擄去心神。 當中加插許多互動環節,最後一幕更是高潮迭起,難怪在TripAdvisor廣受好評,是到京都務必一看的演出! information 地址:京都市中京区三条御幸町角 1928ビル3F 電話:+81-75-254-6520 演出時間:不同日期各異,可參考官網 休息:不定休,可參考官網 收費:預先購票特別席¥4,200、一般席¥3,700; 當日票各加¥500 網址:www.gear.ac/cht 註:可於官網填寫表格購票;5歲以下小童需要預約,每月第一個周六為「Kids day」,可供3歲以下小童入場。 故事講述已廢棄的工廠內,仍繼續運作的4個機械人突然遇上一個擁有特殊能力的人偶。 透過與人偶的接觸,機械人漸漸變得有人類感情…… 售票處就位於1928大樓門口處。 強烈建議先預約,以確保座席又可享有優惠! 雖然表演中全無對白,演員們表情精準生動,精彩度遠勝對白冗長的電視劇。 舞台設計既點題又細緻,更內藏不少機關,隨著劇情發展讓觀眾歎為觀止。 演出完結後更可在劇場外購買紀念品。 演員都來頭不小,部分更曾於日本甚至世界比賽中優勝,難以想像小小的劇場內居然匯集了一流的表演者。
香港で人気のガイドブック「食玩買 終極天書」に『ギア-GEAR-』の情報が1ページにわたって掲載されました。

2015.11.18

「訪日客が満喫 ナイトライフ」日経MJ/2015年11月18日

つかむ インバウンド消費 訪日客が満喫 ナイトライフ 「ホテルから外へ」演出競え 日本の観光で未熟なもののひとつが、ナイトライフだ。 欧米の観光都市のような夜に楽しめるショーが少なく、アジアの主要都市より百貨店なども早く閉まる。 訪日客をホテルに引きこもらせてはもったいない。 娯楽、飲食、ショッピング。 各分野で夜を新たなゴールデンタイムにする動きを追った。 夜の京都。 市役所に近い裏通りの小劇場に外国人が次々と入っていく。 上演される「ギア」は、ロボットや人形という設定の5人の演者が、ダンスや手品を通じて物語を見せる。 オランダ人のニコ・ワーヘナーさん(61)は「色々なパフォーマンスが融合してずっと山場だった」と絶賛する。 昼は寺社など観光資源にあふれた京都も夜は選択肢が乏しい。 統括プロデューサーの小原啓渡さんは、当初から観劇文化を持つ欧米人客を狙った。 セリフのない無言劇とし、さらに「外国人がギリギリ分かる笑いのネタを探っていった」。 例えば「だるまさんが転んだ」のしぐさは外国人も沸く。 一方で「刑事がカツ丼を食べさせる」シーンは省いた。 昨夏から口コミサイトで評価が高まり、多い日は100席の3割が外国人で埋まる。 日本で小劇場に通う客層は限られるが、旅行者は常に入れ替わり新たな客となる。 「評価さえ高ければロングランが可能になる」。 外国人の夜の消費力を取り込み、公演回数は小劇場では異例の1100回に達した。 吉本興業は1980年代末、大阪で欧米のような夜のショーに挑戦したが頓挫した。 足元の訪日客の急増をテコに、再び挑むのが9月に興行した「THE舶来寄席」だ。 お笑いの専門劇場「なんばグランド花月」がある大阪・ミナミはアジアの観光客であふれる。 劇場に引き込みたいが「漫才や新喜劇は間とアドリブ。 翻訳や字幕は難しい」(戸田義人取締役)。 THE舶来寄席は外国人の演者がシャボン玉やシーソーを使った言葉の要らない芸を披露する。 外国人の団体客は約3週間でまだ数十人程度。 来年夏からの通年興行を目指し、日本的要素や笑いを入れた「吉本らしいショー」への脱皮を進める。 戸田取締役は「東アジアの訪日客の1割をつかめば年中満員にできる。 日本のショービジネス全体の課題だ」と話す。 地方都市でも挑戦が続く。 7日夜、福岡市のバー。 「おしゃれでしょ胸のチーフ。 引っ張るとポケットの裏地ってばれちゃうんだけどさ」。 英国人のボケに笑いが沸く。 今年から始まった「コメディフクオカ」は、演者一人の英語お笑い芸だ。 主催者のオリー・ホーンさん(24)は九州大学の大学院生。 日本で英語の娯楽を楽しめるのは「映画館かクラブだけ」。 今の客は福岡に住む外国人が中心だが「ひとつの文化として根付かせ、観光客や日本人にも来てもらいたい」と話す。 札幌市では13日夜、JTB北海道がショーを開いた。 訪日客アンケートで「夜の観光」に祭りや伝統芸能が求められていたことを受け、アイヌ民族の踊りや空手の演武を45分に凝縮。 YOSAKOIソーランの演舞が終わると会場は興奮に包まれた。 インドネシアからの留学生フレッディさん(34)は「ここだけでしか見られないのがもったいないほど」。 今回は道内に住む外国人らを招いたテスト開催。 来年前半の本公演を目指す。 飲食店があふれる東京。 ただ、テラス席など開放的な店が多い欧米に対し「東京は地下やビルの2階に店があり入りづらい」。 東京に住む米国人、ブレット・バーグハウアーさん(32)は「安心」に商機を見た。 「ウエルカム・トゥ・トーキョーパブクロール!」。 六本木のバーに集まった約80人の外国人が「ヒーハー!」と応える。 バーグハウアーさんたちが運営するイベント「東京パブクロール」は毎週金・土に、バーやクラブを3~4軒はしごする。 参加費は2千~3千円。 一昨年に会社を設立して事業化した。 この日は約半数が旅行者。 アイルランドのショーン・ブロークさん(27)は「昨夜は新宿ゴールデン街に行ったけど、少し怖かった。 このイベントには明日も参加するかも」。 会場となったバー「プロパガンダ」の杉崎宏哉オーナーは「人の少ない早めの時間帯に大人数で助かる」と話す。 ショッピングも夜に花開く。 7月に開店した東京・新宿のドラッグストア、アインズ&トルぺ新宿東口店。 この店のピークタイムは、閉店間際の夜10時台だ。 「昼間はツアーなどで観光していた家族連れが夜になると増える」(神智範統括店長)。 免税売り上げの半分を午後7時~閉店までの夜の4時間で稼ぐ。 その秘密は、夜に重点配置した外国人パートたちだ。 約10人が店内に散らばり、グループ客を「専 札幌 よさこいや忍者のショーをテスト公演 東京・六本木 「東京パブクロール」は集団でバーのはしご 東京・新宿 「アインズ&トルぺ」は外国人パートが専属接客 大阪 吉本興業「THE舶来寄席」は外国人が演者 京都 無言劇「ギア」はダンスや手品で物語を伝える 福岡 英語の1人コメディーは客席との掛け合いも
日経MJの一面に、「訪日客が満喫 ナイトライフ」として『ギア』の記事が掲載されました。

2015.11.02

「京都のちいさな美術館めぐり」GB出版/2015年10月22日

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MUSEUM 23 同時代ギャラリー アートコンプレックス1928 さまざまなアートの形態が雑居するビル 地元の人や観光客でにぎわう三条通りに建つ、アール・デコ調のレトロなビル。 1928年、武田五一の設計で大阪毎日新聞社京都支局として建築された。 星形の窓枠、社章をモチーフとしたバルコニー、玄関のランプカバーのデザインなど、思わず写真を撮りたくなるビジュアルが80年を経たいまも残っている。 3階にあるアーチ型形状が特徴的なホールは1999年、「アートコンプレックス1928」として生まれ変わった。 2012年4月から、エンターテインメント公演『ギア-GEAR-』がロングランで上映中。 マイムやダンス、マジック、ジャグリングなどを融合したパフォーマンスは外国人にも支持されている。 1階には「同時代ギャラリー」。 その名の通り、同時代を表現したアートが展示されている。 作家の作品を展示即売するショップ「コラージュ」、ギャラリーセレクトの若きクリエイターによる「実験ショップ」など、作家に近づけるスペースも魅力的。 こだわりポイント!! 地下のカフェもアーティスティック! ビルの地下には「カフェ・アンデパンダン」。 こちらもまた、音楽やライブペインティングなどのイベントが開催されるアーティスティックな空間。 ランチやスイーツが充実しているので、シチュエーションによって使い分けできる。 data 同時代ギャラリー どうじだいぎゃらりー ART COMPLEX 1928 あーとこんぷれっくす1928 京都市中京区三条通御幸町東入弁慶石町56 1928 ビル 1F ※ART COMPLEX 1928の公演期間・時間・料金はウェブサイトを要確認 075-256-6155(同時代ギャラリー) 075-254-6520(ART COMPLEX 1928) 12:00~19:00(日曜~18:00) 休 月曜(祝日の場合は開館) \ 入館料無料 市営地下鉄東西線京都市役所前駅から徒歩4分 http://www.dohjidai.com/gallery/ (同時代ギャラリー) https://www.artcomplex.net/ac1928/ (ART COMPLEX 1928) カフェ・アンデパンダン 075-255-4312 11:30~24:00(L.O. 23:30) 休 無休 言葉を使わず観客の五感に訴えかける『ギア』。 まるでおもちゃ工場のような舞台セットも見もの。 ©Inoue Yoshikazu 「同時代ギャラリー」での村山春菜個展「お・で・か・け―ちょっと圏外まで―」(2012年11~12月)の展示風景(写真右上)。 「コラージュ」での「自然と人間の冗談な関係について」展(写真右下)。 撮影スポットとなっている外観(写真左)。 抹茶のチーズケーキはおすすめのスイーツメニュー。
是非知らざれる古都の一面紹介する「京都のちいさな美術館めぐり」で『ギア-GEAR-』が紹介されました。

2015.10.16

「日本再発見!リ・バウンド」日経MJ/2015年10月14日

日本再発見!リ・バウンド つかむ インバウンド消費 訪日客のSNS拡散 「お墨付き」日本人動く 訪日外国人の「インバウンド消費」が加速する中、彼らの消費行動が日本人にも影響を与えている。 訪日客に人気と交流サイト(SNS)などで取り上げられたことをきっかけに、日本人から改めて評価されたり再注目されたりする店やモノが目立ち始めているのだ。 各地に広がる「リ・バウンド」現象を追った。 「カフェの本場から来た外国人が評価するなら、きっとおいしいと思って」。 9月下旬、東京・渋谷駅から徒歩7分ほどの街中にあるコーヒースタンド、「アバウトライフコーヒーブリュワーズ」に初めて訪れた都内在住の会社員、木住野舞さん(26)は、いれたてのコーヒーを手に話す。 「いつも欧米人でにぎわっているのを見て気になっていた」と木住野さん。 「想像どおりの味わい。 これからも利用したい」と満足げに店を後にした。 その間にも旅行客風の外国人やスーツ姿の日本人が次々に訪れる。 同店は14年5月にオープン。 豆と入れ方にこだわったコーヒーをテークアウト主体で提供する「知る人ぞ知る店」だった。 小さなコーヒースタンドが客足の絶えない人気店となった背景の一つには、訪日客の存在がある。 半年ほど前から「インスタグラムやフェイスブックに英語で積極的に店の情報を投稿していた」(神戸渉店長)。 それを見て訪れた外国人が感想をSNSに投稿し、評判が拡散。 6月に米大手口コミ情報サイト、イェルプが発表した「外国人に人気の東京スポットベスト30」にランクインし、認知度が高まった。 口コミは日本人にも波及。 東京・下北沢でバーを営む宇野徳浩さん(53)は外国人のSNSの投稿を見て来店し、今や「週に3~4回利用する」常連だ。 外国人の列を見て立ち寄る日本人も増え、客数はこの1年半で倍以上に伸びたという。 欧米の観光客に人気の京都。 ここにもリ・バウンド現象が見て取れる。 京都市東山区に昨年オープンした「サムライ剣舞シアター」。 詩吟に合わせて刀や扇を使って舞う伝統芸能「剣舞」の鑑賞や体験ができる施設だ。 「少しずつ日本人の体験客も増えてきた」。 代表の鉤逢賀(まがり・おうが)さんは話す。 明治初期に生まれたとされる剣舞だが、昨今は「流派や生徒も減少傾向」(鉤さん)。 危機感から何とか認知を高めたいと始めたのが訪日客向けのショーや剣舞体験だった。 英語での指導が好評で外国人の間で話題となり、年間3千人もの体験者が訪れるように。 世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」が6月に発表した「外国人に人気の日本の観光スポット」ではトップ10に入った。 「以前は月に一組ほどしか来なかった」という日本人の注目も集まってきた。 「外国人が関心を持つなら、子供にも楽しめると思って来ました」。 3日、向井秀太君(9)と晴太君(6)兄弟を剣舞体験に連れてきた会社員の父親(40)は話す。 2人が刀の扱いやお辞儀の仕方を学ぶのを見て「日本ならではの立ち居振る舞いはやはり魅力的」と評価する。 「旅慣れた訪日客の発信力が日本人を動かしている」。 観光コンサルティングなどを手掛ける合同会社フォーティR&Cの水津陽子代表は指摘する。 今や訪日客の6割はリピーター。 「彼らは買い物だけでなくもっとディープな観光を求める」。 新しい日本を発見し、発信したいという訪日客のニーズがリ・バウンド現象の源泉とみる。 今はまだ観光地に集中するが、日本人が気づかない魅力が訪日客により明らかになるケースは「今後、地方でも広がる余地が大きい」と水津氏は話す。 訪日客対応のコンサルティングを手掛けるやまとごころ(東京・新宿)の村山慶輔代表は「欧米人の集まるスポットに洗練を感じる日本人は多いほか、美術館でも建築物でも『世界的に評価を受けた』と言われると日本人は行きたくなるもの」と、日本人の"舶来信仰"を指摘する。 アートイベントで有名な香川県の直島など「海外のメディアに取り上げられ、国内でも著名になった例は少なくない」。 リ・バウンド現象はとりわけSNSをよく使う若い世代に顕著だ。 「今、行きたいのは浅草の『花月堂』。 ネットで外国人がジャンボめろんぱんを食べているのを見て」。 そう話すのは東京都江戸川区在住の大学生、白杉有紗さん(19)。 都内に住む女子高校生(16)は、最近、外国人向けのガイドブックや口コミサイトを見て遊びに行く場所を決めるという。 東京タワーに行ったり人力車に乗ったり、都内の温泉施設で女子会もした。 「原宿や渋谷は行き尽くしたので、メジャーな場所が逆に新鮮」 「20代の女性グループなど10年前には考えられなかった」。 東京・秋葉原の中古ゲームソフト専門店「スーパーポテト」の北林洋平店長は驚く。 レトロゲーム雑貨を拡充したことから訪日客が増加。 それに伴い日本人の女性客も増え始めた。 同店を訪れた中野区在住の女子大学生、常千鶴さんは「外国人がゲームを楽しんでいる様子が見たかった」と笑顔。 埼玉県在住の男子大学生(18)もネットで外国人の書き込みを見て先月、サークルの仲間と同店を訪れた。 「珍しいゲームがたくさんで新鮮だった。 レトロな日本を教えてもらった気分」という。 (田島亜紀子、服部良祐、伊神賢人) 京都市の「サムライ剣舞シアター」で剣舞を体験する向井君兄弟 訪日客などに人気の「アバウトライフコーヒーブリュワーズ」でコーヒーを楽しむ女性客(東京都渋谷区) こんなところにも「リ・バウンド」 観光地・エンターテインメント 伏見稲荷大社(京都) 千本鳥居などを塗り直したところが外国人先行で参拝客が爆発的に増加 無言劇「ギア」(京都) パントマイムなどが口コミで外国人に話題になり日本人客増加 ■空中庭園展望台(大阪) 14年の来場者数は12年比1.5倍の97万人。 日本人の再評価目立つ 日本文化 人力車「時代屋」(東京・浅草) 英語対応の強化などにより、外国人を連れてくる日本人客が増加 ■大宮盆栽美術館(さいたま市) 14年度の入場者数は前年度比2割増。 外国人に人気となり、若い人も関心 飲食店、物販、宿泊施設など デザインポケット(大阪) 食品サンプル販売や制作体験。 訪日客に注目され、雑貨として日本人にも再人気 ■花月堂(東京・浅草) ジャンボめろんぱんが訪日客に人気となり、日本人も呼び込む。 ここ3年ほど来店客は約2割ずつ増加 (注)街頭インタビューなどで「訪日客に人気と聞いて訪れた・訪れたいスポット」として名前が挙がった施設
日経MJの一面に、「日本再発見!リ・バウンド」として『ギア』の記事が掲載されました。

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