メディア情報

2003.12.01

『三条御幸町ブロードウェー化計画指導!』マンスリーきんき/2003年12月

【三条御幸町ブロードウェー化計画始動!
アートコンプレックス 1928-】
京都市三条御幸町の南西門にある京都市の指
定歴史建造物 旧毎日新聞社京都支局は築70年
以上。 今もなお建築当時を偲ぶモダンな香りを
漂わせる魅力的な建物です。 この建物が劇場
「アートコンプレックス1928」 としてリニュー
アルしたのが1999年の12月、 以来、 キラリと光
る高い芸術性とエンターテイメント性を兼ねた
様々な公演、イベントを発信し続けています。
「京都三条御幸町ブロードウェー化計画」 は
アートコンプレックス1928が取り組む最も挑戦
的で壮大なプロジェクトであり、アートコンプ
レックス1928の所在地を含む京都の中心地に劇
場群を作り、 また、 国際観光都市としての「京
都」 ブランドを生かしながら外国人観光客をも
取り込んでいこうというものです。 更にアート
コンプレックス1928の事業において注目すべき
ことは、同劇場におけるロングラン公演に対す
る投資システムの導入です。
京都で創作活動をするアーティストのための
宿泊施設、 ダンス 演劇などの批評を集めたフ
リーペーパーの発行、 FMラジオ番組制作など
「コンプレックス」 の名の通り複合的な活動を
幅広く展開し、それらの相乗効果によって更な
る芸術環境を整備し、 新たな観客層の取り込み
を進める、アートコンプレックス1928のプロデュー
サー小原啓渡氏にお話を伺いました。
【エンジェルシステムの段階的導入】
アートコンプレックス1928では、ロングラン
公演に対し投資を募り、 ヒットすれば配当を出
すシステムを導入され、注目を集めていますが、
導入経緯についてお聞かせください。
小原氏: ブロードウェーでは、 エンジェル或い
はパッカースと呼ばれる投資家達が劇場制作
に投資し、ヒットすれば配当を得る 「エンジェ
ルシステム」 というシステムがあります。 そ
れを導入しようとしたのです。
エンジェルシステム導入への第一歩は2002
年に行った1回目のロングラン公演でした。
とはいえ、この時は外部からの資金調達を行っ
ておりません。 外部からの資金調達無しでど
マンスリーきんき 2003.12
小原 啓渡 (こはら けいと) 氏
アートコンプレックス1928プロデューサー。 兵
庫県出身。
1983年より照明技術者として舞台に関わる。 91
舞台技術制作会社リッジクリエイティブ株式
会社設立。 99年, アートコンプレックス1928を立
ち上げ、プロデューサーに就任。
10.25.
11.13.
当ビル3F
BAROTICA
今回の投資の対象となった 「キュピキュピ グランド歌謡ショー
キャバロティカ会場入口」
こまでやれるのかを確認するために、劇場と
劇団がリスクを分け合って、 自力で長期公演
を打ったのです。
そして翌年、 前年に行った自力での長期公
演に手ごたえを感じての第二段階のロングラ
ラン公演を打ちました。 この時には、前回の自
力での公演経験から損益分岐点を算出し、
「セーフティネットとしてのメセナ」 という
形で出資を募ることにしました。 出資金は一
一万円、 前回の動員数に達すれば全額返却
となりますが、それに満たない場合は100名
ごとに10%ずつ出資金の中から頂く、という
システムです。 出資者には招待券と出演者ら
を変えた交流パーティへの招待を特典としま
したが、収益があがった場合でも配当はあり
ません。 損得の問題ではなく、 文化的な事業
に協力した、ということに意義を見出してい
ただいていたように思います。 尤も、 最終的
には1回目を300名以上超える動員があり、
出資者には全額返却することができました。
そして、今年のアートコンプレックス1928
の3度目のロングラン公演 「キュピキュピグ
ランド歌謡ショー」 において、エンゼル証券
(株)と連携し、 エンジェルシステムを導入する
ことになりました。 スキームとしては、アー
トコンプレックス1928が特別目的会社 (SP
C) として、有限会社 「京都三条御幸町ブロー
ドウェー化計画 [KSGBWP]」 を立ち上
投資家と匿名組合契約を結ぶかたちをとっ
ています。 1口2万円で100口募りました。
前回も今回も、 小口投資にこだわっています。
小口の方がリスク感が少なく、 多くの方の参
加が可能です。 投機ではなく、 サポーター的
感覚で参加していただけるように設定しまし
た。 細かな取引相手が多くなってしまうので、
証券会社の業務も大変なものになりましたが、
趣旨に賛同してもらえました。
出資者を募ったのはインターネットを通し
てのみであったにもかかわらず 12万円
の100口が 二週間ほどで完売となりました。
このシステムを導入したことが新聞。 テレビ
などで報道されたことも影響しているとは思
いますが、 インターネットの普及によるとこ
ろは大きいと思います。
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マンスリーきんき 2003.12
【クオリティ向上のためのファンド】
小原氏 注意しなければいけないのは、 お金が
無いからSPCを立ち上げる、 というやり方
では主催者側の責任が問われかねない、とい
うことです。 今回のエンジェルシステムは、
もともと自己資金だけで公演可能なところを
投資家にお手伝いして貰い、舞台のクオリティ
を向上させるためのファンドです。
また、このシステムは、 舞台制作側の顧客
意識の向上にも役だっています。 匿名組合な
ので出資者からとやかく言われることはない
とはいえ、人様からお預かりしたお金で制作
をし、 しかも配当を出せるようにしなければ
ならないのですから、 成功に賭ける意気込み
も変わって来ます。 そもそも質の高い文化芸
術を提供するには資金が必要であり、 資金調
達にはマネジメント能力、 ビジネスマン的バ
ランス感覚が必要なのです。
【今後の見通し】
文化・芸術産業の今後の見通しについてどう
お考えでしょうか。
小原氏: これからは感動を売る時代だと思いま
す。 そもそも、今まではモノを売る時代だっ
た と言いますが、 それにしてもモノが売れ
るのはそこに感動があるからです。 感動を売
るには、創造性が一層重要となってきます。
文化 芸術産業こそ、そんな創造性や感動さ
せる力を最も発揮できる場となりえるのでは
ないでしょうか。
それに、 文化・芸術産業は大きな経済効果
をもたらします。 舞台を観に来る人は、近く
で飲食もし、場合によっては宿泊もし、 また、
近隣の別の場所へも行くでしょう。 国際観光
元気になるのです。 小さくても文化が元気で
ある実例を育てていかなければならないと思
います。
【最後に】
舞台芸術 芸能は、観る人の心を打つだけで
なくその人から自己表現能力を引き出す効果を
も持っています。 よって、 高齢者福祉 児童教
. 障害者へのリハビリ等医療分野等、 幅広い
ニーズが考えられます。 JCDNの活動は、そ
こういった幅広いニーズを掘り起こし、アーティ
ストたちの事業マインドを喚起するものと言え
るでしょう。
とはいえ、 舞台芸術 芸能の産業としての確
立発展には、 まだまだ乗り越えなければならな
い課題が多くあります。 なかでも、事業として
自立するためのビジネスモデルの構築は、最も
重要な課題の一つです。 公演ごとにファンドを
組み、 配当を出せるようにするアートコンプレッ
クス1928の活動は、この課題解決の一つのモデ
ルケースと言えるでしょう。
今回は京都の事例をご紹介いたしましたが、
そもそも関西は深い文化的土壌を持つ土地であ
り、目の肥えた顧客が多く暮らす土地です。 こ
の地の利を生かし、よりクオリティの高いサー
ビスを提供する産業として、 舞台芸術産業が
醸成されるよう、 私たち経済産業局も応援して
いきたいと思います。
※註① コーディネート活動支援事業についての詳細は、
中小企業庁ホームページ (http://www.chu
sho.meti.go.jp/chu_top.html) の以下
RLをご参照。 http://www.chusho.meti.
go.jp/koubo/020410sinkiseltyou.htm
都市としての京都というブランドも活用した、 ※註② 匿名組合とは、 営業者と匿名組合員の2当事者
こういった経済活動をより盛んにできるはず
です。
河合文化庁長官もおっしゃっていますが、
文化が元気になると人も元気になり、経済も
の契約であり、匿名組合員の出は、営業者に
とっては預かり金と認識されます。 損失額が出
額を超えた場合、匿名組合員が出資額を超え
て損失の負担を分担することはありません。
マンスリーきんき
2003.12
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日々の生活の中で、優れた絵画や音楽、楽しい映画や舞台などに触れることは、 私達の生活
を豊かにします。 このような文化・芸術活動は、これまで経済活動とは一線を隠したものと捉
えられてきました。 しかし、 我が国経済社会の大きな変化につれ人々の価値観が多様化し、従
来の社会カテゴリーの辺縁があいまいになり、 今までになかった分野同士の接触、 異業種交流
が生まれ始めている中で、 文化・芸術活動と経済活動の関係もまた変わりつつあります。
このコーナーでは、 優れた文化・芸術活動の創造性が、 低迷する消費の活性化や地域コンテ
ンツ産業の振興、ひいてはアートとテクノロジーの融合による新事業の創出やソフトウェアに
よる都市再生などにつながっていくことを期待しつつ、これまで当局が出会った新しい文化産
業の取り組み事例を順次紹介していきます。
31

2003.12.01

『個性を担う民間小ホール』上方芸能/2003年12月

アートコンプレックス 1928 劇場都市は 劇場文化を むか Tel.075-254-6520 京都市中京区三条通御幸町角 1928ビル3階 個性を競う民間小ホール 二〇〇三年三月、関西小劇場のシンボル的存在だった扇町ミ ュージアムスクエアの閉館は関西小劇場界に衝撃を与えた。 しかし、関西にはまだ数多くの民間ホールが存在している。 キャパシティが一〇〇前後の、規模は大きくなくとも運営に 独自のこだわりを滲ませるホールは今脚光を浴び始めている。 そんな個性豊かな民間ホールの魅力と活動を紹介する。 複合的な芸術体験の場 アートコンプレックス192 8は、アール・デコ で七 十五年の歴史をもつ毎日新聞の 京都ビルを、一九九九年一 二月、リニューアルオープンし た。 地下一階、地上階のビル には、オーナー直営の劇場、レ ストラン、ギャラリー、FMラ ジオカフェが入り、コンプレス クスアート (複合的な芸術)を 体験できる場として名づけられ 行うために長 ギャラや公演費用、会場費に充て、余れば投資家 に配当として払われる仕組みになっている。 出資 額は公演ごとに違う。 投資家には、一口につき一 枚の招待券がつき、 先行予約が取れて、出演者を 交えたパーティーへの参加可能という特典があ る。 劇場プロデューサーの小原啓渡さんは、「制作 や創造的な活動にサポーター的な感覚で関わると 期で滞在するアーティストたちに向けた格安の宿 泊施設「アーティスト・イン・レジデンス京都」 の運営、二ヶ月に一回、フリーペーパーによる演 ダンス批評誌の発行、劇場以外での公演 ロデュースなどを行っている。 アーチ型形状の舞台と、可動式の客席をもつ 場では、演劇、ダンス、ファッションショー、コ ンサート、パーティーなどに幅広く利用されてい る。舞台に携わる技術スタッフは八人。 主な自主 事業は、東京などで活動するダンスカンパニー・ コンドルズの関西公演と、小劇場のロングランシ ステム公演である。 通常、小劇場では二、三日し 公演できない芝居も、良いものを作って約三選 いうような参加意識の方を大切に考えているの で、投資家があまりリスクを感じない範囲の金額 にしています」と話す。 京都が持っている新しい 可能性を引き出すために、今、ショップやカフェ の出店で賑わいつつある、三条通にブロードウェ のような劇場群を作りたいというのが目標であ る。 新しい芸術文化産業にしていけるような試 みを続けている。 公演することによって、口コミで観客が増え、 役者もクオリティが上がり、作品が熟成していく と考えたことによる。 十月末から行われる三度目 のロングラン公演で、証券会社と提携し、公演を 証券化する形が実現した。 このロングランシステムは、ニューヨークのブ ロードウェーの「エンジェル・システム」を参考 に、「京都三条御幸町ブロードウェー化計画」(K SGBWP) という特別目的会社を設立し、個人 投資家からインターネットなどで慕った出資金を 〈キュピキュビ〉 の公演 51

2003.11.01

『レ・アポストロフィ ア・コール』Lmagazine/2003年11月

20061224-200311lmagazine.jpg

2003.11.01

『アート集団キュピキュピ 京でロングラン公演中』京都新聞/2003年11月1日

アートコンプレックスでの昨年の舞台より
Kyup
Kyupi
up
Куца
映像と音楽、パフォーマ
ンスを組み合わせたアート
集団「Kyupi Kyu
pi(キュピキュピ)」が、
京都市中京区のアートコン
プレックス1928で『キ
ャパロティカ」をロングラ
公演中。きらびやかな照
明がまたたき、ど派手な歌
歌手がうなり、魚人間が
くねる。 空間は、爆笑と愛
とエロスとざわめきに満ち
る。“R-1指定 ちょ
ちっと大人の娯楽の趣なの
アート集団「Kyupi Kyupi」 京でロングラン上演中 |
upi Kyupi
10
Idn
Kyupi
Kyupi
だ。
°
(河村亮)
異質の交錯が鮮烈
「アートコンプ
レックスはほど
よい空間。 客席
映像作家石橋義正ら京都
プどい」正
市立芸大出身者が、九六年
に立ち上げた映像パフォー
人間し持石
マンスユニット。さまざま
対係話なアートを横断するスタイ
ルで、海外からも注目を集
ディナーショー形式の
「歌謡ショー」が基本。 魚
型の頭をした「フィッシュ
エロスとざわめきと
Fank
Ky
-
ヘッズ」、スーパーダンサ
―「よしこさん」ら石橋の
映像でおなじみのキャラク
ターが出演する。 今春初め
ロンドン、パリで公演。
喝采を背にしての凱旋公演
は、「さらに最新式の照明
を入れた。ミュージカル的
に、ショーをスムーズにし
た」という。
会場中を駆ける電光は、
盛り場のネオンの風情だ。
「電飾が好きなんです
接光そのものを見ている
「感じが」と石橋。客席と舞
台の間に、テーブル特別席
もある。ワインを片手に、
リラックスしながら楽しん
でもらう趣向だ。 その横に
アコーディオン、バイオリ
ン、ベースの楽団がスタン
バイする。
デジタルなコン
り、踊る。
ピューター音楽と照明が降
り注ぐ。映像に現れる人々
も妙だ。ひたすら体をくね
らす女、マイクにしがみつ
き熱唱する女
満を持して歌手分島麻実
コテコテの
がステージへ。
自作衣装で、オリジナルか
昭和歌
ら美空ひばりまで、
幅のにおいをかもし出す。
バックで激しく踊るダンサ
たち。中でも肉感的な「よ
しこさん」は、視線を絡め
取って離さぬ強引さだ。
ナンセンスでベタされ
「映
ど見た目だけでない。
コ
像は一秒三十フレーム。
ンマ何秒の間のずれが気に
なる」と、ち密な計算と高
度な技術の上に成立させ
た。 瞬間くもりガラスにな
り、映像の奥で踊って見え
る特殊ガラスの使用も今回
初めて平面と立体が交錯、
デジタルとアナログがせめ
ぎ合う。その質感 手触り
が鮮烈だ。
今回の公演は一般出資
者の資金を元手にロング
ランする同劇場初の試み。
石橋は「映像は残るが、ラ
イプはそれで終わり。 ロン
グランだと全員で、内容を
十三
充実させていける」。
日まで。テーブル席完売、
シート席三千五百円。同劇
壁面には、極彩色の映像 場 075(254)65
が映し出される。 文字が走 20

2003.11.01

『レ・アポストロフィ ア・コール』leaf/2003年11月

Stage
ヌーボーシルクの最先端
文化庁芸術点形成事業
『ア・コール』
レアポストロフィ
ふたりのソリストのために一
今、「ヌーボーシルク=新しい
「サーカス」から目が離せない。
アクロバティックな技だけでな
く、音楽やダンスを融合した
オリジナリティあふれる幻想的
なステージは、欧米を中心にす
ごい勢いで進化している。日
本人に一番よく知られている
のは、「サルティンバンコ」 「キ
「ダム」などで人気の「シルク・
ドゥ・ソレイユ] かも。そんな
大規模公演ではないけれど、
だからこそ濃密な空間が楽し
めるステージが今秋フランスか
らやって来る。
「ア・コール』に登場するの
は、一人のミュージシャンと一
人のパフォーマーのみ。奇妙な
風貌の男が鮮やかなジャグリン
グを次々と繰り広げたかと思
うと、ピタリとやめて自問し、
さらに予想を超えた動きを続
ける。一方、ミュージシャンは
この男とは別次元に存在して
いるようで、手探りしながら
多彩な音楽を紡ぎだしてゆく。
一つの舞台にいながら交わ
りを見せない二人の関係が、
とてもユニーク。この公演をプ
ロデュースしている、アートコ
コンプレックス1928のプロデ
ユーサー・小原啓渡さんは、
「あらゆるカテゴリーを超えた
最上質のパフォーマンス」と絶
賛している。
芸術性が高いにも関わらず、
頭をひねることなくその世界
へと入り込める、極上のエン
タテインメントと言えそう。
●京都府立府民ホール
公演DATA
075 441
アルティ
1414
10月9日 (木) 20:00
一般前売3000円、
当日3500円(発売中)
劇場、チケットぴあ 0570
029999 ローソンチケッ
0570000409、
アートコンプレックス1928
2075
254 6520, th

2003.10.28

『キュピキュピ初の長期公演』朝日新聞/2003年10月28日

アートかエロかお笑いか アキ 歌姫・ダンサー・楽団が1曲熱唱80分間 キュピキュピ 初の長期公演 斬新な映像とパフォーマ ンスで時に爆笑を誘う 「キャバロティカ」 ライブ「キャバロティ 電子音のビートに同調し、壁面に投影された映 像が激しく動く。舞台に目を移すと、美空ひばり 叶子を思わせる衣装の歌手が1曲を熱唱す る。バイオリン、ベース、アコーディオンの楽団 を従え、バックには、魚のマスクの男性や全裸に 近い女性ダンサー。 「夢見るシャンソン人形」や 「天城越え」といった選曲も、どこかセンチメン タルでセクシーである。 「力」(1月1日まで)。 分あふれる 観客席から婚声と爆笑 が絶えない。 コンピューターで完璧 制御された舞台なの に、人肌のぬくもりがあ る。 アートなのか、お笑 いなのか、エロなのか。 そう思うと、メンバーか ら「キュピキュピという 新しいジャンルなのであ る」と諭された。 キュピキュピは、京都 市立芸術大出身の4人が 98年に結成した の 島麻実さんは染織、映 像の石橋さんがコン セプチュアル・アート (森本俊司) 京都市中京区三条御幸 8」で、映像とパフォー 町の旧新聞社ビル 「アーマンス集団「キュピキュ グラフィック・デザイン の江村耕市さんは意匠、 トコンプレックス192 ビ」が初の長期公演に挑奇抜な衣装を手がける木 村真束さんは彫刻を、そ れぞれ専攻した。 根っこはみな「芸術 家」だから、国内外の美 術館での受けがいい。 今 年のベネチア・ビエンナ ーレにも出展中だ。 石橋さんが「展覧会は プロモーションの場」と 言うように、現代美術に 足を残し、子どもが目 をキラキラさせるたわい もない遊びみたいな創作 例えば裸の女 を続ける。 の人がこんなことをすれ ばおもしろいだろうな、 見て楽しいだろうな・・・ 無なのだ。 そのく ... せ、今回は1歳未満入場 不可。大人はずるい。 資金集めに、ベンチャ ビジネスの手法を取り 入れたのも話題になっ た。「エンゼル」と呼ば れる個人投資家を「歌 姫」で引きつける。 3500円。8日、11 月1、10日休演。問い合 わせは電話07526 46520 (会場)

2003.10.14

『ロングランファンド』プレイボーイ/2003年10月14日

20061224-20031014playboy.jpg

2003.10.11

『ヌーボーシルク フランス生まれの新感覚サーカス』神戸新聞/2003年10月11日

フランス生まれの新感覚サーカス・
ヌーボーシルク
マンス「アコール」
の一場面
一九八〇年代にフランスで生まれた「ヌーボ
シルク」と呼ばれる新しいサーカス。 その第
一線で活躍するカンパニー「レアポストロフ
ィ」によるパフォーマンス「ア・コールー二人
のソリストのために」が、十一日午後二時から、
神戸新開地の神戸アートビレッジセンターで
上演される。音楽、ジャグリング (お手玉) な
どを融合させた独自の舞台だが、その洗練され
表現には、日本の能や文楽の影響も。公演を
企画した兵庫県宍粟郡千種町出身のプロデュー
サー・小原啓さんに魅力などを聞いた。
(堀井正純)
小原さんによると、又がれるだけで衰退の一途
ボーシルク誕生の契機をたどっていたが、国立
の一つは、一九八五年の学校が広く門戸を開いた
フランス国立サーカスため、多彩な才能が流入。
学校の設立。 それまで伝 新感覚の現代サーカスが
統的なサーカスの芸は、生まれた。
一座内で家族的に受け継 「ヌーボーシルクは、
きょう神戸で上演
音楽、演劇、舞踏など融合
サーカス芸に現代アート
やダンス、映像、文学な
どさまざまな芸術を融合
させた複合芸術」と小原
さん。日本ではまだなじ
みが薄いが、公演企画や
ホームページでの情報発
信を続け、その魅力の紹
介に力を注いでいる。
レアポストロフィに
は二年前、フランスで出
会い、その舞台に感銘し
日本へ呼ぶことを決め
たという。ヌーボーシル
クの最先端を走るカンパ
ニーで、メンバーは天才
的なジャグラー、マルタ
ン・シュウィツケと、現
代音楽家ジェローム・チ
ュアジャンの二人。音楽
とジャグリングが中心だ
が、演劇や舞踏の要素も
文化
取り入れている。
小原さんは「たった二
人の舞台だが、その空間
は現実と幻想を行き来し
ながら果てしなく広がっ表現力を絶賛している。
ていく。 コミュニケーシ同センター 078-5
ョン、人とモノとの関係 12・5500
性の問題などを深く考え
させる。あらゆるカテゴ
リーを超えた最上質のパ
フォーマンス」と二人の

2003.10.08

『レ・アポストロフィ ア・コール』朝日新聞/2003年10月8日

新しいサーカス
仏グループ公演
あす府民ホール
伝統的サーカスとは
を異にするフランスの芸
術的身体表現 「ヌーボー
・シルク」のグループ
「レ・アポストロフィ」
の初来日公演が9日、上
京区の府立府民ホール・
アルティである。
ヌーボー・シルクは仏
語で「新しいサーカス」
の意味。空中ブランコや
動物芸といった従来のサ
カスが衰退し、現代ア
ートやダンス、衣装、音
楽などの表現と、人間の
身体曲芸とが融合したエ
ンターテインメントとし
仏を中心に80年代に
生まれ変わった。
レアポストロフィは
ジャグリング(西洋のお
手玉)や舞踏のパフォー
マーと、ギターや打楽器
などを演奏する音楽家の
2人組で、99年に結成さ
れた。今回の来日では京
都に続いて1日に神戸で
公演する。
京都公演は午後8時か
ら。 一般3千円、学生・
5歳以上2500円(
ずれも当日500円
増)。問い合わせは同ホ
ール(075441
1414) へ。

2003.10.08

『ヌーボーシルク公演』読売新聞/2003年10月8日

ヌーボーシルク公演
アクロバットに芸術性加味
ヨーロッパで活躍する二人
組のヌーボーシルク・カンパ
ニー、レ・アポストロフィの
公演 「A CORPS|ふた
のソリストのために・・・・・・」
=写真=が、京都と神戸で行
われる。ヌーボーシルクはフ
ランス語で"新しいサーカス"
の意味。アクロバットに芸術
性を加えた新しい舞台表現と
ボして、欧米で人気がある。
京都と神戸で
パフォーマーのマルタン・
シュウィッケと、ミュージシ
ャンのジェローム・チ
ュアジャン。自宅で一
人、ギターやシンセサ
イザーを奏でる音楽家
にパフォーマーが絡
み、ユーモラスなダン
スや多くのボールを自
在に操るジャグリングを盛り
込みながら、創造の喜びと苦
・悩を幻想的に表現する。
フランスでは一九八〇年代
初めに国立サーカス学校が設
立、現代美術や舞踊などと融
合したヌーボーシルクが生ま
れた。現在では三百余りのカ
ンパニーが活動中という。
京都公演は九日午後八時、
京都府民ホール・アルティ
(上京区)で。神戸公演は十
一日午後二時、神戸アートビ
レッジセンター(兵庫区)で。
入場料は、いずれも三千五百
円など。

2003.10.06

『キュピキュピ キャバロティカ』ぴあ/2003年10月6日

Baby rank
Pl
Idn
UKyu
Kyupi
dn
Kyupi
Syupi K
dn
Whyupi
Kympi
Jen
キュピキュピが京都の夜を染め上げる
極彩色のパフォーマンス
と同じです。ただし、ステージに特殊な
「ライブの内容は、基本的な構成は以前
実験と考えています」(江村)
すし(コラム参照)、将来に向けた重要
したけど、資金調達の新手法も導入しま
「今回は3週間という期間限定になりま
ラン公演をしたいという野望を持つ彼ら。
期限を切らずに本当の意味でのロング
ブラッシュアップさせたかった」(江村)
は、その感触が残っているうちに
やろうと話してきたんだけど、僕らとし
デューサーとは、近い将来に次回公演を
「アートコンプレックス1928のプロ
ブッキングしてもらいました」(石橋)
それを更に完成させる機会として、急遽
階に来た、という感触を持てたんです。
とつの作品としてパッケージ化できる段
アップを実感したというか。ライブをひ
「パリ、ロンドン公演を終えて、レベル
の石橋義正と江村耕市に聞いた。
ングラン! その詳細について、メンバ
28でライブを行う。しかも3週間のロ
日より京都のアートコンプレックス19
出品と大忙しだった彼らが、10月25-
でのライブ、そしてヴェニス・ビエンナ
での個展&ライブ、テート・モダン (英)
ョー」以後、パレ・ド・トーキョー(仏)
れるキュビキュピ。 今年3月の「歌謡シ
強烈な映像&パフォーマンス活動で知ら
ハイセンスとモンドをごった煮にした
3週間のロングラン!
形態ともに進化させて
パフォーマンス、興行
んじゃないかな」(石橋)
こ の機会、見逃すわけにはいかない。
アップされたエンタテインメントになる
進化したキュピキュピのお披露目とな
テンポアップして、今までで一番ショー
なったので、相当インパクトが増すはず。
ます。照明もバリライトを使えることに
ンスと映像が一層クロスしたものになり
曇りガラスを用いることで、パフォーマ
インタ
ーネット上で102
秋の京都で紅葉狩りのお供にどうぞ
キュキュビグランド歌謡ショー
CABAROTICA (キャバロティカ)」
9/25(木)発売 Pコード412-963
※4PMの回があるのは、10/26(日) 11/2(日) 11/3(月) 11/9(日)のみ。
10/ 11/6(火)11/10(月)は休演日。
テーブル特別席5000円 (ワイン・ハーフボトル、簡単なオードブル付)
シート 3500円(トリ満入場不可。
TOPICS news column
今後日本で広がりそうな
新規の興行スタイル
本公演では、劇場と
証券会社が手を組め
1
1日~11月13日/7:30PM
定。ただしスタンディングになる場合があります。
アートコンプレックス 1928 075(254)6520
京阪 「三条駅」西へ、地下鉄「市役所前駅」 南西へ、それぞれ約5分、
御幸町三条
部を賄う。 興行が成
功すれば、出資者に
日本の文化振興を支
える有効なシステム
日
KET
13 取材・文:本誌・小吹隆文 本公演への投資については、 ホームページ http://www.pan-kyoto.com/ac1928/を参照。

2003.10.01

『キュピキュピ キャバロティカ』SAVVY/2003年10月

例えていえば、21世紀のキャバレーショー。
演歌も着ぐるみも、ここではすべてがキュピキュピテイスト
キュピキュピ『グランド歌謡ショー キャバロティカ』
ホー
9月25日(木) チケット発売
R-12指定 問い合わ
10月25日 (土) ~ 11月13日 (木) 午後7時半 10/26・11/2・3・9 午後4時・午後7時半 10/29・
11/4・10・休演 アートコンプレックス1928 (地下鉄東西線京都市役所前駅下車南へ5分、 1928ビル3F)
S・テーブル特別席 5,000円 (ワイン&軽食付き) Aシート3,500円(ドリンク別)
075-254-6520 【アートコンプレックス 1928
エロで下世話でモンドでポッ
そもそもユニット名からして、
何やら”予感"を感じさせて
秀逸な、キュピキュピ。 主宰
の石橋義正が、ヤノベケンジ
や束芋らを輩出しているキリ
ン・コンテンポラリーアワード
受賞者のためか、アートにカ
テゴライズされることが多いけ
ど、その中身はほんとに具だ
くさん。映像、サウンド、デ
ザイン、パフォーマンス、その
それぞれが一丸となってキュピ
キュピワールドに奉仕、新世
代の歌謡ショー"を見せるのだ。
世界の名だたる美術館や劇
場で作品を披露してきただけに、
常にチケットは即完売だったが、
今回は何と3週間のロングラ
ン公演。R-124指定にも何だ
心がときめきます。
(Lマガジン誌/竹内厚)

2003.10.01

『ヌーボー・シルクの真価』TheCard/2003年10月

サーカスから統合芸術へと昇華した
ヌーボー・シルクの真価
「キダム」は2003年2月7日~12月7日、東京・
名古屋・大阪・福岡の特設テントで上演されます。
Photo:Al Seib Costumes:Dominique Lemieux
©Cirque du Soleil Inc.
一九八〇年代半ばから
めた新しいサーカス(ヌーボー・
シルク) の潮流は、伝統的なサー
カスのテクニックを骨幹にしつつ、
演劇や音楽、美術といった他ジャ
ンルと融合し、多岐にわたる複合
的な進展を見せてきた。世界各国
でオリジナリティーあふれる数多
くのパフォーマンス集団が登場し、
新しいエンターテインメントとし
その位置を獲得している。中で
もカナダを本拠地とするシルク・
ドゥ・ソレイユは、世界最大級、
最高峰のスペクタクル集団である。
九二年の『ファシナシオン』、
九四年の「サルティンバンコ」、
九六年の『アレグリア」に続き、
二〇〇〇年の「サルティンバンコ
2000』 では、日本五都市で総
百二十四万人の観客を動員し、
未曾有の絶賛をあびた。
はるかに見上げる高所で演じら
れる空中パフォーマンスや、十数
人が一糸乱れぬ動きで作り上げる
技のアクロバット等、身体能力
極を表現する卓越したサーカ
ステクニックは、国境・人種を超
えて観客の度胆を抜き、言い知れ
ぬ感動を与える。しかし、シルク・
ドゥ・ソレイユの真骨頂は、それ
にも増してショー全体を貫くアー
ティスティックでコンテンポラリ
な演出にあると言えるだろう。
観る人を日常生活から引き離し、
非日常な異次元へと導いて行く
密な演出は、観客が巨大テントに
入場する時点から始まっている。
マジカルな舞台装置、エキゾティ
ックで前的な音楽や衣装、
的 効果など、作品を構成す
るすべての要素に、洗練されたセ
ンスと創造性が満ちあふれている。
そのシルク・ドゥ・ソレイユが、
他の作品よりもストーリー性を持
たせ、パフォーマンスとの要
素をより深く統合した作品 『キダ
ム」を引っさげて来日する 。
サーカスという分野を超越し 、
従来、相容れないと思われてきた
芸術性とエンターテインメント性
あいい
バランスで融合した統合
芸術の枠は、 今回も観客の知的欲
求を満たしてくれるに違いない。
劇場プロデューサー 小原啓

2003.08.31

『小劇場におけるロングランへ公演への挑戦』セゾン文化財団ニュースレター/2003年8月31日

[article
小劇場におけるロングラン公演への
挑戰
小原啓渡
|アートコンプレックス1928
БЛОГА
1928年に建造された毎日新聞社京都支局が、 「アートコンプレック
ス1928」としてリニューアルオープンしたのが1999年12月。 京都市の
指定歴史建造物となっているビル自体は、 70数年の歴史を重ねてい
ますが、 劇場スペースとしては、 まだ4年足らずの新参です。
活動のコンセプトは、劇場名が示す通り 「コンプレックス」つまり「複
合」 です。 杮落し公演は、 ダンスと演劇・映像等を複合的に取り込ん
だカンパニー 「コンドルズ」。 アート性とエンターテイメント性を兼ね備え
またコンプレックスアートの発露と、劇場として複合的な芸術環境の整備
をどう進めていくかをテーマに活動を続けています。
具体的には、 京都で創作活動をするアーティストのための長期滞在
者向け、 格安宿泊施設 「アーティスト・イン・レジデンス京都」の運営。
ダンス・演劇などの批評を集めたフリーペーパー 「パンプレス」の発行。
FMラジオにおけるステージ情報番組 「ステージ・アバンギャルド」 の制
作。 当劇場以外での公演プロデュースなど、 複合的に相乗効果を生
むであろう可能性を持つ芸術環境の整備と、 新しい観客層を取り込む
ためのアウトリーチに力を注いでいます。
これら一連の活動の中で主軸において取り組んでいるのが、「京都
三条御幸町ブロードウェー化計画」 京都にブロードウェーのような劇場
群をつくろうという夢のような計画です。これは、 当劇場が京都の中心
地にあるという事もありますが、何より世界的な国際観光都市としての
ポテンシャルを持つ「京都」を十二分に生かし、地域に文化的な影響
を与えるだけでなく、大きな経済効果をもたらしていく活動としてアート
コンプレックス1928が取り組んでいる挑戦的なプロジェクトです。
|エンジェルシステム
調べを進めるうちに、日本において「エンジェルシステム」が定着し
ていない理由として、 1. 日本では米国と比べ一般の人達の間で「投
資」 という直接金融の考え方が希薄である事。 2. 舞台を鑑賞するとい
う習慣が日常生活の中に根付いていないこと。 3. 映画ファンド等今ま
でに行われてきた試みのほとんどに、 方法論的な問題があること、など
が浮き上がってきました。 この内、最初にあげた2点に関しては、ある
意味長期的な課題と言えますが、3点目に関しては過去の失敗例を具
体的に検証し、より実現可能な方策を考え直してみることは意義ある
事だと考えました。
過去の事例における失敗要因は、いくつも考えられましたが、 中で
も投資家にとってのリスクが大きいと思える事、 投資対象となる作品に
関する具体的な情報が少ない事、目標の投資額が集まらなければ、
プロジェクト自体が動きださないような収支計画によっている場合が多
い事などが大きな要因に思えました。 とにかく必要な資金を集める事の
みが目的になり、 新しい投資市場でのその成否が、 後続する企画に
対して大きな影響を及ぼすことや、単発イベントではないシステムとして
の持続性などは考えていない場合が多いように思えました。
もちろん、ブロードウェーにおいても、投資家が利益を得る確率は25
%程度と言われ、 投資である限りリスクは発生します。 しかし、あまりに
も失敗例ばかりが続くと投資熱は当然のごとく下がってしまいます。
最初のロングラン公演
| 2002年2月に行った1回目のロングラン、 京都の新鋭劇団 「電視游
科学館」による26公演は、 エンジェルシステム構築における最初の
ステップとなりました。
この公演では資金を集めることはせず、劇場と劇団がリスクを分か
ち合い、自力でどこまで長期公演を打てるのかを試みました。 目標の
資金が集まらずに頓挫した失敗例などから、 まずは外部からの資金調
無しで、 どこまでやれるのかを確かめる意味と、 今回の結果が次回
出資を募る際に具体的な基準となり、 信用を高める情報となるだろうと
いう考えがありました。 前例のないもの、 成功例のないものに対して二
の足を踏む、日本の一般的な社会通念を考えると、いきなり実績も知
名度もない舞台に対する投資を募っても順調にいくとは思えなかったか
らです。
ブロードウェー化計画の第一ステップとして、最初に始めたのが「エ
ンジェルシステム導入」を具体化するための試みでした。 このエンジェ
ルシステムとは、エンジェルあるいはバッカースと言われる投資家達が
舞台制作に投資し、 ヒットして利益が出れば配当が得られるという、 ブ
ロードウェーで用いられている投資形態です。 このシステムの導入を
本気で考えるきっかけとなったのは、 ブロードウェーで今もロングランを
続けている「ブルーマン」 の公演でした。
「ブロードウェーでやってるブルーマンというパフォーマンスがすごい
人気だ」そんな評判を聞いて渡米し、 公演会場を訪ね、 まず驚いたの
が客席数400程度の決して設備的にも十分とは言えない、 その劇場自
体の規模でした。 「こんな小さな劇場でも、コンテンツさえ良ければロン
グランが出来る」 まさに 「目からうろこが落ちる」 という感覚を味わいまし
た。
帰国後、 「エンジェルシステム」について調べ始めると同時に、「な
ぜ、日本でこのシステムが定着していないのか」という検証を始めまし
た。 インターネットを使って情報検索を進めていくという方法を取りまし
たが、これはかなり有効でした。
0viewpoint no.26
劇場と劇団、双方で何度もミーティングを重ね、 どうすれば質を落と
さず、経費を極力節減して長期公演が打てるかを話し合いました。 実
施時期を2月に設定したのも、 貸小屋としての需要がもっとも低い月、
つまり年間で最も売り上げが低い月であるという理由からでした。
徹夜続きの24時間態勢での仕込みに10日間、 公演期間21日、 小
劇場としてはきわめて稀な合計26公演を敢行し、 劇団にとっては過去
最高動員数の2倍以上、 京都では記録的な1650名の集客となり、 本
格的なロングラン公演成立に向けて、 十分な手ごたえを感じることがで
きました。
2度目のロングラン公演
2度目のロングラン公演の試みは、翌年2003年の4月から5月の連
体にかけて、1回目と同じく「電視遊戲科学館」を起用しました。 前回
より2日多い12日間の仕込みと21日間の公演期間、前回と同じく26公
演を行いました。 私が再度、 電視遊戲科学館を選んだ理由は、 作・演
出を含めたスタッフ達の、 より完成度の高い作品を創ろうとするこだわ
2002年2月 科学館
「ノスフェラトゥ」
2003年4月、電視遊戲科学館「牡丹灯
りの強さにありました。 例え、仕込み期間を増やし、資金を注入しても、
作品の完成度が上がらなければ意味がないからです。
1回目からのステップアップとして、 前回の動員数1650名をベイライ
ンに掲げ、「セーフティーネットとしてのメセナ」 という新しい文化サポー
トの形を提案し、 出資を募ることにしました。
一口1万円の出資金は、 前回の動員 (1650名)に達すれば全額返
却するが、 前回の動員に満たない場合は100名単位で10%ずつ、 出
資金の中からメセナして頂くというシステムです。 例えば総動員数が
1000名だった場合、 前回の動貝1650名から650名のマイナスとなり、
出資金の65%を援助していただくことになります。 つまり1万円を出資
された方は3500円しか返却されないことになります。
出資者には、1日につき1枚の招待券と出演者や作・演出家などを
交えた交流パーティーへの招待を特典としましたが、もし昨年の動員
を大きく超えて収益が上がった場合でも配当はありません。 しかし、出
資者の方々は、損得の問題ではなく、個人として文化の担い手となれ
る実感を味わうことに意味を見出しておられる方がほとんどで、実績と
しての前回のデータや今回の基準となる具体的な情報が揃っているこ
とへの信頼感、 出資額をポケットマネーの範囲ともいえる1万円に設定
したことなどがリスク感の軽減につながったためか、出資の相談に皆
さん快く協力して下さいました。
最終的に私募 (公募に対して私的に出資金を集める形式)の限度
数でもある49名から72万円が集まりました。 ほとんどの方は私の個人
的な知り合いでしたが、劇場プロデューサー、 大学教授、 企業の経営
者、医師や神社の宮司など多岐に渡り、公演期間中どうしても都合が
つかなかった数名を除いて、ほぼ全員が公演を見に来て下さいまし
また中には小劇場で演劇を見るのは初めてという方も多かったのです
が、観劇後は皆さん高揚された雰囲気で喜んでおられ、 知り合いの
方々に次々と公演を紹介してくださり、一人で30数名のお仲間を連れ
て来られる方まで現れました。
実際、集まった出資金によって、 チラシの製作や舞台美術、 衣装な
ど、 小屋入り前に必要な制作経費の持ち出しに苦慮することが減り、
よりクオリティーの高い製作物を作る事ができたばかりでなく、多くの
方々に出資頂いたことで、 つまらないものは見せられないという、いい
意味でのプレッシャーが、 全スタッフの創作エネルギーを高めることに
つながったと思います。
結果、最終動員数は1936名、1回目を300名以上上回ることがで
き、出資頂いたお金は全額お返しすることができました。
そしてこの小さな成功は「セーフティーネットとしてのメセナ」というシ
2003年3月、キュキュビ「スーパーメガヒッツ」
ステムが過去に例を見ないものであったことも含めて、少なからず話題
となり、新聞、雑誌、テレビなどの取材が続きました。 それも文化面だ
けでなく社会面、経済面での扱いが多く、 舞台に対する投資というシ
ステムが、コンテンツファイナンスという新しい投資市場において注目を
集めるきっかけとなりました。
3度目のロングラン公演
現在、インターネットの爆発的な普及とネットを用いた証券取引の登
場によって、 株売買の手間が簡素化され、 個人投資家の存在がク
ローズアップされてきています。こうした社会的な潮流にも影響を受け
る形で、 2003年10月に行ないます3度目のロングラン公演は、証券会
社と連携し、 エンジェルシステムを導入する事に決定致しました。
作品の証券化は、映画ファンドなどの形で以前から試みがつづけら
れてきましたが、利益を上げて配当に及んだ成功例は非常に少なく、
舞台公演に至っては試みられた前例さえほとんどありません。 しかし、
2002年12月に東京で行われた中国雑技団公演 「ゴールデン・ライオ
「ン」において公募された2億円分の証券が2週間で完売した事実をみ
でも、こうしたコンテンツに対する投資に興味を持つ方がけっして少な
くないということが分かります。 「ゴールデン・ライオン」に関しては、結
局投資額の半分程度しか返却されず、投資対象としては失敗例とな
りましたが、 舞台公演に投資をするという法的なスキームが証券会社
を介して確立し、実施されたという意味で価値ある試みであったと思い
ます。
実際、3度目となる次回の映像&パフォーマンス集団「キュピキュビ」
によるロングラン21公演は、このスキームを用いて実施します。 アート
コンプレックス1928が特別目的会社 (SPC) を立ち上げ、 投資家との間
に匿名組合契約を結ぶという形です。
今回は目標額を200万円に設定し、 1日2万円、 インターネットを用い
て公募します。 既に100万単位での投資希望もありますが、あえて小
口投資にこだわりたいと、 最高5口までと致しました。 あくまで現段階で
は、 投機的な意味合いよりもリスクの少ない形で、 より多くの方々がサ
ポーター的な気持ちで舞台制作に参加していただければと願っていま
す。 投資を機会に、これまで演劇やミュージカルなどに無縁だった
方々が少しでも多く舞台芸術に関心を持たれ、 実際に足を運んでくだ
されば、新しい観客層の開拓につながります。 これは、社会に対する
アウトリーチの一形態としても、大きな可能性を含んでいると思います。
viewpoint: no.26-0
効率のみを優先した近代資本主義と物質文明は、地球を破滅的な
状況に導いてきました。 そんな中、 物質の豊かさより、心の豊かさを求
める価値観が急激な広がりを見せています。 人々は、自然や民族な
どあらゆる関係性における調和の精神と、心の豊かさの大切さに気づ
き始めています。
どんな価値観を持った人も、感動に涙を流す瞬間はみな同じです。
同じ至福の瞬間を味わう事ができます。 感動は心の豊かさに通じる扉
です。そして劇場は、 より多くの創り手や観客が、 何度も何度も感動と
いう心の扉を開けて、 本当の豊かさの中へ入って行ける機会を創り、
提供し続ける場所でなくてはなりません。
いつか京都にブロードウェーのような劇場群が出現し、感動的な舞
台がロングランで公演を続けている。 昼は寺社仏閣など伝統文化に親
しみ、夜は現代的な舞台芸術を楽しむ、そんな心豊かな生活を求める
人々が日本各地から、世界中から集まってくる。 そんな未来のすばら
しい京都の姿を夢に描きながら、 意欲あるスタッフと、 文化芸術の重要
性を理解してくださる方々の協力を糧に、地道に、誠実に活動を続け
てゆきたいと思います。
小原啓(こはら・けいと)
アートコンプレックス1928プロデューサー。 兵庫県
出身 同志社大学法学部政治学科中退。 1983年
より照明技術者として舞台に関わる。 91年、 舞台
制作会社リッジクリエイティブ株式会社設立。 92
年から98年まで、 日仏共同プロジェクト [MATOMA」
テクニカルディレクター。99年、アートコンプレックス
1928 を立ち上げ、 プロデューサーに就任。 長期滞
在アーティストのための宿泊施設 アーティスト・イ
ン・レジデンス京都の運営をはじめ、フリーペーパー
「パンプレス」の発行等、 芸術環境の整備に関わる
活動を続けている。 また、ヌーボーシルク (新しい
サーカス)のプレゼンテーションに力を注いでおり、
2003年10月にはフランスから 「アポストロフィ」を招
し、 神戸と京都での公演をプロデュースする。 同
10月から、映像×パフォーマンス集団「キュピキュ
ビ」によるロングラン公演を、12月には「コンドルズ」
5度目の京都公演を主催する。
BEST on dem SEPTE

2003.08.25

『小劇団支援の活路となるか』週刊京都経済/2003年8月25日

News & Analisys 小劇団支援の活路となるか コンプレックスアートグループ 「Kyupi Kyupi(キュピ キュピ)」の公演活動にファンドが創設された。 同グル ープは、映像や歌、 パフォーミングアートを組み合わせ 国内外で高い評価を得ている。 しかし、 小グループゆえ に長期の公演活動を実施するには資金的な余裕を作り出 しにくいのも事実。 数多くある小劇団のスタッフでまと もに“食え”ている人はほとんどいないとも言われる。 今回の文化・芸術活動に対するキャピタル投資が活路と なるのか。可能性と課題を探った。 (1面に関連記事) 過剰な“投機”にしない運営が課題 「小劇場で行う小劇団公演のよさは なんといってもその臨場感」。 アート コンプレックス1928の小原啓渡プロ デューサーはこう話す。 1928 は、 京都を代表する小劇場。 多 くの若手演劇家やアーティストがその 活動の舞台に選ぶ。 客席数は、 椅子を 並べて最大250席。立ち見を含めて 300人も入れば、たちまち押し合い へし合いの状態になる。 それだけに、 演者の息づかいまで手にとるように分 かるというわけだ。 関西にはこうした小劇場が少なくな い。 しかし、 若手アーティストや新興 劇団には、 資金的余裕が乏しい。 チケ ットの販売収入で経費をまかなうこと から、事前に舞台芸術などへ十分な “投資” ができないこともある。 キャピタル投資を行うメリットは、 この点にある。 劇団側には “初期投資” を得る点が、 劇場側には会場の利用収 人を拡大するチャンスになる点がそれ ぞれにある。 一方、投資家の側から見てみると、 キャピタルゲインをどう得るかという 命題になる。 より集客力のあるコンテ ンツに投資しようとする力学が働く。 劇団や劇場にとってはより魅力的なコ コンテンツ作りに向かう競争原理を生み 出すことになるわけだ。 しかし、このキャピタルゲインへの 関心が行き過ぎると、 投機バブルを招 くことになる。今回の取り組みでも、 「一番気をつけたのは、一過性の投機 につながらないようにすること」 (小 原プロデューサー) という。 投資額を 一口あたり2万円に抑えたのはこの ためだ。「必要以上の資金は集めない」 (同)ことも徹底した。 投資と投機の境目は、常に揺らぐ。 こうしたリスクを管理するには、 文化 ・芸術活動そのものの意味を見据えた マネジメントが必要だ。 アートコンプレックス 1928 プロ デューサーの小原啓渡氏に、 キュピ キュピファンド創設の経緯と狙いを 聞いた。 (聞き手は井上朋一) ■どういう経緯でファンド 創設に? 「米ニューヨークで『ブルー マン』 というパフォーマンス のステージを見に行った。 エ ンジェルやバッカースと呼ば れる投資家が舞台制作に投資 してロングランを続けている」。 「これを見たときにいいコ ンテンツがあれば、 自分でお 金を用意しなくても長期公 演ができることが分かった。 すぐにファンドを作るわけ には行かなかったので、 メセ ■なぜ直接金融の手法を? 「そもそも間接金融には無理があ る。 信用力も何もない小劇団が融 資を受けることは考えられ ない。一方、直接金融で資金 調達するといっても、 日本の 場合、 そもそも投資の考え方 が希薄。 舞台鑑賞の文化も層 が薄い。 段階的にステップア ップすることで、 逆に舞台鑑 賞や投資を日常に根付かせ ることができると考えた」。 条御幸町に ブロードウェーを作る」 ナ的な要素を取り入れたりる して試行してきた」。 「そんな中、 エンゼル証券 の人と知り合い、協力していただけ ることになったので、ファンドを作 ることにした」。 ■今後はどうする? 「三条御幸町にブロード ウェーを作りたい。つまり、 持続性のある劇場文化の街 を作りたいということだ。 産 業的にも意味のある取り組 「みに成ると思う」。 このプッア |小ロク | 原デスト 啓ュコ 渡19ン 氏サ2プ 18レ

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