投資関連(エンジェルシステム) - メディア情報

2004.03.18

『変わる舞台 ファンド』京都新聞/2004年3月18日

第3種郵便物認可 第1部 京 新 (夕刊) 2004年(平成16年) 3月18日 木曜日 (日刊) 発行所 〒604-8577 京都市中京区烏丸通夷川上ル 京都新聞 ファンド チョウ 「資者募集」 「デンユウファンド出 小劇場「アートコンプ レックス1928」(京 都市中京区) のホームペ ジに二月、こんな一文 が載った。募集主は「京 都三条御幸町ブロードウ ェー化計画」。デンユウ とは、京都の若手劇団「電 「視遊戲科学館」のこと。 実は、五月に三週間かけ て行う新作公演への出資 の呼びかけだった。 一口3万すぐ完売 一口三万円、計五十口 はすぐに完売した。 「京 都三条御幸町」は、同 劇場の小原啓渡プロデュ ーサーらが、公演に対し 市民の投資を集めるた めに作った会社。 運営が 厳しい劇団にとって、公 演前に集まる資金は舞台 舞台上だけでなく、劇 場自体の実験が試みら れる(京都市中京区・ アートコンプレックス 1928) 観客増、作品にも完成度 京都新聞社 夕刊 京都新聞社 2004年 The Kyoto Shimbun Co, Ltd 以下なら出資者は元金割 れのリスクを背負う。こ の公演では二千五百人を 動員したため、1%を配 当した。一口当たりでは 二千四百円になる。 出資者はファンド自体 に興味のある人、文化を 支援したい人が大半だっ た。演劇に無縁な人が多 く、劇場はいつもと異な る層が客席を埋めた。 作品に参加した気分 建築業田中光一さん (五)北区も久しぶり に足を運んだ一人だ。「こ んな面白い世界があった なんて作品づくりに参 加した気分で、いろんな 友人に声をかけた」 ファンドの狙いは、 出 資金を元手にした長期公 演、ロングランだ。小劇場 界では週末に数公演行う のが一般的。ロングラン は観客の増加が見込め、 本番を重ねることで作品 の完成度も高まる。 小原 さんは「三週間を超えて 初めてロングランといえ る。これ が低迷す 劇場へ の刺激に なるは ず」と強 調する。 左京区 の小劇場 「アトリ わる舞台 ⑤ 舞 る 装置や道具類の購入、劇 場の確保にも費やせ、準 備を充実できる。 出資者も公演がヒット すれば、配当が得られる。 この「エンジェルシステ 台ム」は、米国のブロード ウェーなどで盛んだ。 海 外の劇場で舞台制作をし ていた小原さんは、劇場 が活性化されるさまを直 に目にし、日本に根づか せたいと取り入れた。 試験公演を経て、昨春、 初めてファンドを募っ た。デンユウが三週間の 公演で動員した千六百五 十人を指標に、これ以上 なら段階的に配当が出 出資金もとに長期公演 めて、九 日間の異例のセミロング ラン公演を行う。 岸田戯曲賞作家の松田 正隆さんの新作だが、動 員が少なければ経済的な 負担も増える。あえて挑 むのは、閉そくした演劇 の形を変えたいとの思い からだ。「不安はあるが、 役者の体力や能力を高め る場として展開したい」 と劇研の杉山準プロデュ サーは意気込む。 ロングラン公演は、観 劇する機会が増えるなど 市民にとっても利点が大 きい。新たな舞台づくり に向け、小劇場の挑戦が 始まっている。 「エ劇研」 も今年初 読者谷室 5421 社会報道部 6119: 写真報道部 6135 案内 総合受付 (075)241-5430 購読お申し込み 0120-464-468 直通(075)241- 滋賀本社 (077) 523-3131

2004.03.08

『リスク分散で若手アート支える』週刊京都経済/2004年3月8日

第635号
2004年(平成16年)3月8日 (月曜日)
週刊京都経済
News & Analisys
活動に取り組む若手アーティストらを対象に、リスク分散型の支援
体制を作ろうとする動きが活発化してきた。 小規模劇団の公演に出資する
ファンドの枠組みが軌道に乗り始めたほか、 関西経済連合会 (関経連、 大阪
市北区中之島、 会長: 秋山喜久関西電力会長) は交流組織を立ち上げ、 支援
体制の模索に乗り出した。 大阪には、バーやカフェの運営自体をも表現活
動の1つとして捉え、リスク分散で運営する枠組みがある。 若手アーティ
ストの活動環境はどうなるのか探った。 (1面に関連記事=井上明一)
■「初日で売り切れ」
小原さんが立ち上げた投資ファンド
はこれまで2つ。 第1号は、 パフォー
ミングアートを行う「Kyupi Kyupi
リスク分散で
若手アート支える
(キュピキュピ)」の公演を投資対象と
して組成したものだ
この第1号ファンドでは、集めた資
金を公演の告知活動や舞台芸術の準備
などの資金として使い、 損益分岐点と
なる観客動員数を設定。 設定数を上回
る客数があれば配当を出す。 公募総額
は200万円で、 資者は一口2万円か
ら投資できるようにした。 公演が終わ
ってみると、観客動員数は設定数より
大幅に上回り、 12%の配当になった。
第2号ファンドは、小劇団の 「電視
「遊戯科学館」の演劇公演に資金を募る
もの。 このファンドも、資金用途や配
当の仕組みは前回と同じ。 公募総額は
150万円。一口3万円で、1人あたり5
口を限度とした。 ただったのは、2
月15日に公募を開始して「1日で売り
きれた」 (小原さん) だった。
こうしたファンドを組成した背景と
して小原さんは「事前の活動資金が不.
足しているために質の良い公演ができ
ないグループが多い」 と説明する。
小劇団やアートグループで資金難に
直面していないところはほとんどな
い。 こうした劇団は、スタッフが他に
アルバイトをしながら稼いだ金を活動
につぎ込む構造。 当然スタッフ自身の
生活もギリギリのところでなんとかし
ているという状況だ。
ギリギリの資金繰りの中、 公演に人
を呼ぶための告知活動が十分にできな
いことが悪循環にもなっている。 ファ
ンドではこうした悪循環を解消しよう
という狙いがあるわけだ。 「数億円規
多くの
模のファンドを立ち上げれば、
劇団に分散させて投資できる。その中
の1つが大当たりすればロングラン公
演に切り替え収益が上がる。 ファンド
としては十分に成り立つと見ている。
リスクを低減させながら若手の発掘に
取り組むことで、 アート活動そのもの
を活発化させられるほか、 世界に発信
できるコンテンツを作り出すことがで
きる」 (小原さん)

2004.02.20

『ここまでできる市民応援の「匿名組合」』週刊金曜日/2004年2月20日

金曜日
2004 No. 496
2 20
年一〇月二五日、ここで刺し
二〇日間におよぶロング
が始まった。
多くの
団員のバイト
ち出して金をやりくりし、少ない時
をしています。
には
もう銀行には頼らない
ここまでできる
市民応援の「匿名組合」
それが成功したので今、本格的
名組合でのロングランに取り
んだんです」
書付
いことだ。
樫田 秀樹
の寄付ではない、事業があ
たれば配当が出る「匿名組合」と
いう仕組みを使って出資し、市
応援する事業が続々と実現
している銀行なんかに頼らず
に、ここまでできるのだ。
してくれたのだと思います」
部さん)
匿名組合に危うさがあるとすれば、
への届出がなく
をしなくてもい
きる。実際、インターネットでは
しげな名組合を目にする。
|週刊
小劇場でロングラン
基づいた十分な
十分な資金に
その
名組合で集めました」
こう語る劇場プロデューサーの
小原 さん(四三版)は数年前、
話題になった公演「ブルーマン」を
見にニューヨークに行ったとき、そ
が名による資金で成り立っ
ていることを知り驚いた。
支援よりも、市民の
でいた。
入り
小原さんは、パフォーマンス集団
「キュビキュピ」の公演に対して
名組合を利用し、 一口二万円で一〇
○口
キュピキュビ
した。
出しても出すから
を望ん
まとまった金が
できる。
だが、ここで紹介した
者に対してすべてのリスク
公開していた。そのリス
理解した上で
そして一一月一三日にロングラン
が、その二 二の
分配金の支払いが出者に通知され
た。 つまり成功したのである。だが
さんはこれで満足はしない。
「匿名組合は今
は、この互いの姿勢こそが、 今まで
欠けていた出費への 思
失敗したはずのDL
はその
「そのシステムのことは知っていま
した。 でも、二〇〇〇人とかの大
思っていたんです。 とこ
ろが、「ブルーマン」はうちと同じ
〇〇
されてい
NPOなどでも応用できると思う。
この仕組みをして広めるた
これからも名を
たんです」
増していきます」
小劇場が市民からの出費で支えら
れている事実
多くの観客が
をすべきか。
の高いものを作れ
事実。劇場は何
さんは
京都の小劇場 アートコンプレ
rak-g](http://www.
pan-kyoto.com/1928neweb/)。 昨
を中心に金を集め 三週間の
ロングランを二回試してみた。
アートコンプレックス
プロデ
ユーサー
ウェーのよう
色づけていると
ある。 たとえば昨年末の中国雑技
日本公演では名組合で一口
一〇万円を集めたが集客が
伸びず 四八もの
だが、窓口になった「DLJディ
レ
http://www.
クトSFG証券
djdirectsfg.co.jp/)には、クレー
ムが入っただけだという。
「私たちは、事業
失うどころか、「コンテン
(ゲーム、
テレビ番組製作など)から、行
金を貸してくれない なんとかその
ノウハウを教えてほしい」と
が相次いでいる」(池田さん)。
私たちが何気なく
預ける金は、何の相談もなく、
ダム
れる。だが名組合では、自分
自分
で自分の
したいものにできる。 した
に共通するキーワードは、「応援」
だ。社長は名組合をこう言い
表した「資本主義」の位置
ツールです」。
にホームペ
ージや書画で、リスクがあることを
すべて説明してきました。 それを背
ってでも応援したい人が
写真/筆者
かしたひポライター。
組合には失敗例も
2004.220 (496)

2004.01.22

『関西の小劇団劇団 新方式で活路開く』神戸新聞/2004年1月22日

「劇場の閉鎖など、暗いニュースが続く関 グラン公演といった新機軸によって、 ファ
西演劇界。その閉そく状況を打破しようと、 ンのすそ野の拡大、演劇シーンの活性化を
従来にないユニークな試みが小劇場演劇界 無指している。神戸、京都の例を中心に動き
で相次いでいる。任意料金制の導入やロンをまとめた。
「新方式」で活路開≪
関西の小劇場劇団 試み続々
交わす...
ファン拡大
満足度に応じ料金は後
長期公演実現
証券化し出資者を募集
ロードウェーでは「エンジ
「ェル・システム」と呼ばれ
珍しくないが、国内ではま
れ。「収益を出し、配当を
行った成功例は、おそらく
日本で初めて」(エンゼル
証券)という。
劇団員が、福袋を手に売や中劇場の公演では全国的二百席程度)を中心に活動の中、「ヨーロッパ企画」中でも、三週間のロング
子姿で舞台から客席に珍しく、計四回のステーする劇団の公演日数は、大(京都)や「劇団ひまわり」ラン公演実現のため、実験 同劇場を経営する小原啓
劇場出口の売り場でもスタジは、毎回九割近くが埋ま半が二、三日止まり。質の(大阪)など、一部劇団や的な手法で話題を呼んだの さん(三)兵庫県宍粟郡
ッフが声を張り上げる。り、二千人以上が観劇、高い作品でも集客は限ら、劇場で、ロングラン公演やが、京都市内の小劇場「ア 千種町出身は「出足は悪
ちょっとしたお祭りムード うち八割が福袋を購入しれ、採算が合わないことも長期の巡演への挑戦も自立ートコンプレックス192かったが、後半は口コミも
の中が笑顔で福袋を買った。売れ筋は二千円と三千 少なくない。こうした状況つ。
い、役者らと言葉や握手を円 五千円、一万円の袋を
神戸の人気劇団「劇団赤いたという。
購入したファンも百人近く
が、この、十一月、 仕掛け人の同劇団プロデ
新神戸オリエンタル劇場でューサー・高見健次さん
開いた公演の終演後の光(三神戸市は、「失敗
同公演では、話題づく すれば解散覚悟の試みだっ
りと「普段芝居を見ない人たが、予想以上の成果。観
にも見てほしい」との狙い 客アンケートを見ると、初
から、料金後払い制を採用。めて来てもらった人もかな
入場無料にした上で、満りいて、ファン拡大にもつ
足度に応じ、「満足袋」とながった」と満足げ。 「ラ
名付けた劇団グッズ入りのイバルは映画やスポーツな
福袋(二千円から)を買っど娯楽全般。演劇をもっと
「身近なものに」と意欲を燃
てもらった。
料金を任意にする試み やす。
は、小劇場や野外での公演
ではまれにあるが、大劇場 関西では、小劇場(百
任意料金制を採用した 「劇団赤鬼」の新作公演=神
・戸市中央区、新神戸オリエンタル劇場
8」。昨年夏、長期公演実あって、大きく伸びた。 や
現に向けた資金集めのたはりいい作品を選ぶことが
め、大阪の証券会社「エン重要」と分析。次に証券化
ゼル証券」と手を組み、海 する舞台も決め、目下準備
外でも評判を呼んだパフォ中で、「将来は京都・三条
ーマンス集団「キュピキュ周辺をブロードウェーのよ
ピ」(京都)の舞台を「 うにできれば」と夢は大き
した。
一口二万円の出資者をイ
ンターネットなどで募った 関西の劇場文化を研究す
ところ、百口のファンドはる佐藤友美子・サントリー
三週間足らずで完売。集ま不易流行研究所部長は「関
ちった資金は、公演の広告 西は東京以上に状況が厳し
などに充てた。損益分岐点く、こうした動きも出てく
となる動員数は二千二百人るのだろう。劇団赤鬼の例
に設定していたが、およそなど、失敗を恐れない試み
二千五百人を動員し、12% や実験が活性化に
の配当も確保した。
演劇への投資は、米ブ期待している。
つながるはず」と

2004.01.01

『発想と行動で突破口開く』週刊京都経済/2004年1月1日

時代が 「答え」 を求めている。 個人から企業、 国家まで、
今までの常識が通用しなくなった。 新しい枠組みを模索し
続けてもどこかピッタリ来ない。 そう感じる人々が、京都
にその答えを求め始めている。 それに対して京都には十
分な回答があるのか。 深い経験の上に新しい発想を重ねて
突破口を開こうとしているさまざまな動きを追った。
発想と行動で
京都
突破口開く
の
答え
■アートは皆が支える
「配当12%」。 低金利に苦しむ国内の
投資家から見るとよだれが出そうな高
利回りの金融商品が、 小劇場から誕生
した。
中京区三条御幸町角の 「1928ビル」
で小劇場を運営する 「アートコンプレ
ックス1928」の呼びかけで昨年夏に
登場した 「キュピキュピファンド」。 映
像とパフォーマンスを行うアートグル
ープ「Kyupi Kyupi (キュピキュピ)」 の
活動を支援するために、エンゼル証券
(大阪市) と組んで一口2万円で200
万円を公募した。
損益分岐点となる観客動員数をおよ
そ2000人に設定。 20日間の21公演
2000人以上の観客動員があれば、
それに呼応する形で、 京都の芸術系
大学には全国から優秀な学生が続々と
集まる。 「有名国立大なんかよりよっ
ぽど優秀だ」。 ある芸術系大学の非常
勤講師は本拠の総合大学と比較してこ
う語る。
ところが、 芸術系大学の弱みは卒業
後の進路 学生たちは 「自分で食べる
よ」と意に介さないが、 「独り立ちで
きるようになる30歳までに、 いかに
経済的基盤をつくるか」 が、 古くて新
しい課題だ。
古くは王侯貴族、 戦前までは事業に
成功したオーナー経営者が芸術家のス
ポンサーになった。 しかし、 所得の平
等化が進んだ今、彼らを支えることが
できる大金持ちは少ない。
そこで着目したのが、 層の厚い観客
層だ。 彼らに入場券を買ってもらうだ
けでなく、ファンドも買ってもらお
う、小原さんはこう考えた。
「金額的には小さいが、大きな実
験になった」 と小原さんは語る。
1928 ビルで開かれた Kyupi Kyupi の公演
配当が出る仕組みを取った。
年末に締めてみたら、 一割を超える
高配当になった。
大学の街・京都。 というと大規
模な総合大学の動きに注目が集まりが
ちだが、このところ活性化著しいのは
むしろ芸術系大学だ。 舞台芸術をメー
ンテーマに据えて次々と新機軸を打ち
出す京都造形芸術大や、 マンガ学科で
一世を風靡する京都精華大をはじめ、
各大学が知恵を絞る。

2004.01.01

『三条御幸町にブロードウェーを』週刊京都経済/2004年1月1日

昨年8月、 京都市中京区の三条通
と御幸町の角で小劇場を運営する
アートコンプレックス 1928 が
「キュピキュピファンド」の募集を
始めた。
このファンドは、 同劇場で行われ
る公演の準備資金を得るため
に創設されたもの。公募金額は
総額200万円。 出資者は一口
2万円から出資できる。 公演に
あらかじめ決めた一定数以上
の観客を動員できれば配当が
出る仕組み。 逆に一定数以上に
達しないと、 足りない分だけ出
資額から差し引かれる。
このファンドを仕掛けたの
が、アートコンプレックス
1928 代表の小原啓渡さんだ。
ファンド発案のきっかけにな
ったのが、小原さんが訪れた米
ニューヨークでの経験だった。
アートコンプレックス代表 小原啓渡さん
ル証券の人と知り合い、協力
していただけることになった
ので、 話が進んだ」 (同)。
条
御フが制作費を持ち出して公
従来小さな劇団は、スタッ
御幸町にブ
『ブルーマン』 というパフォ
ーマンスのステージを見に行
った。エンジェルやバッカー ク
スと呼ばれる個人投資家が舞
台制作に投資してロングラン
を続けている現場を目の当た
りにした。 「それを見たときに
いいコンテンツがあれば、 自分
でお金を用意しなくても長期
公演ができることが分かった」
と小原さんは話す。
ツ
1928 F
まずは試行的に日本でも公演
ごとにお金を集められるか何か
を確かめた。 出資者を「メセナ」 とし
て位置付け、 出えん金を募集。 公演
には、予想していた以上の観客動員
があり、ファンドとして成り立つこ
とが分かった。 「 そんな中、エンゼ
演を開始。 公演で得られるチ
ケット収入で、運営をまかな
っている。 しかし、 どの劇団
も収益基盤が弱くチケット
収入があるといっても赤字
が続く。 このため、 公演に向
けた制作費を満足に使えず、
思うような舞台製作ができ
ない悪循環に陥ってしまう
という。
このファンドはこうした悪
循環を、出資という直接金融
で断ち切ろうというものだ。
ファンドの枠組みを使えば、
小口で多くの人から資金をあ
つめることができるほか、 出
資者が観客となっていく。
小原さんは今後、 「三条御
幸町にブロードウェーを作
りたい」と話す。 「つまり、 持
続性のある劇場文化の街を
作りたいということ。 小劇団があち
こちでユニークな公演を行う町に
したいんです。 実現できれば、 産業
的にも都市政策的にも非常に意味
の大きい取り組みになると思う」。
1
を

2003.12.27

『投資資金で演劇公演』毎日新聞/2003年12月27日

投資資金で演劇公演
京都市中京区の小劇場「アート
コンプレックス1928」の運営
会社が、個人などから1口2万円
の出資を募る「投資資金」方式で
開いた長期公演が成功し、出資者
全員に1%の高配当が支払われ
る。ノウハウを提供したエンゼル
証券(大阪市)によると、小劇場
でこの方式を活用したのは初め
12%高配当
不況で演劇活動が厳しい運営ットなどで出資者を募った結果、
を強いられる中、注目される。 約70人が申し込み、100口計2
プロデューサーの小原啓渡さん 00万円が集まった。公演は延べ
(4)が、演劇文化を根付かせよう 約2500人が入場する盛況ぶり
米国のシステムを参考にした。 で、1口2万円が2万2400円
対象は、今年10~11月に計2回 になって戻る計算になった。
開いた前衛的公演。観客数が採算
ラインを上回れば出資金を配当金
とともに返す契約で、インターネ
出資者もチケット購入や知人へにある。
このPRで動員に貢献。 出資し、鑑
賞した関西経済連合会文化・観光
委員長の津田和明・サントリー相
談役は「少しでも自分でお金を出
すと関心が高まる。多くの人が盛
り上げていくのは小劇場運営の理
想」と評価している。
同小劇場は、
局ビルを改装した「1928ビル」
毎日新聞旧京都支
【高瀬浩平】
京都で
小劇場運営に光板の試み

2003.12.04

『求むプロデューサー』日経新聞/2003年12月4日

一
求むプロデューサー
高度経済成長期に「経済だけ一流」と諸
外国から言われたことが忘れられない。 豊
かな文化国家には、伝統芸能やクラシック
音楽など、一定の評価を得ているものだけ
ではなく、諸々の芸術芸能を包容する懐の
サ深さが要求される。そのためには若者にチ
ャンスを与えるプロデューサーの有無が大
きなポイントとなる。ニューヨークのブロ
ードウェイやロンドンのウェストエンドが
今日のように有名になったのは、プロデュ
ーサーたちの存在によるところが大きい。
日本でも小劇団の数は多いが、劇団員の
生活を支えるだけの収入を得ている劇団は
ほとんどないだろう。 不況の余波を受けて
大阪では上演する劇場さえ閉鎖が続いてい
る。
ブロードウェイでは「エン
あすへの
ジェルシステム」といって小
話題 劇場の舞台公演に民間人が投
資するシステムがある。当た
れば百倍、二百倍になって返
ってくることもあるそうだ。
京都でこのシステムに挑戦
しているのが小原啓渡さんだ。 インターネ
ットを利用して自ら企画した公演に対する
個人投資家を募集している。収容数約二百
人の小ホールだが、市の有形文化財にも指
定された旧新聞社支局の建物の吹き抜けを
利用したユニークなものだ。先日、その公
演を見に行ったが、平日なのに満席で立見
も出ていた。客筋もいいので今回も投資は
回収できそうだ。これが成功例となって三
条通に劇場が並ぶと京都版ブロードウェイ
が実現するかもしれない。
都会には夜も楽しめる観光資源が必要
だ。旅行会社も小原さんの活動に注目して
いるそうだ。パトロン気分も味わいながら
育てる文化の種。是非とも成功させたい。
サントリー相談役
津田 和明

2003.10.14

『ロングランファンド』プレイボーイ/2003年10月14日

20061224-20031014playboy.jpg

2003.08.25

『小劇団支援の活路となるか』週刊京都経済/2003年8月25日

News & Analisys 小劇団支援の活路となるか コンプレックスアートグループ 「Kyupi Kyupi(キュピ キュピ)」の公演活動にファンドが創設された。 同グル ープは、映像や歌、 パフォーミングアートを組み合わせ 国内外で高い評価を得ている。 しかし、 小グループゆえ に長期の公演活動を実施するには資金的な余裕を作り出 しにくいのも事実。 数多くある小劇団のスタッフでまと もに“食え”ている人はほとんどいないとも言われる。 今回の文化・芸術活動に対するキャピタル投資が活路と なるのか。可能性と課題を探った。 (1面に関連記事) 過剰な“投機”にしない運営が課題 「小劇場で行う小劇団公演のよさは なんといってもその臨場感」。 アート コンプレックス1928の小原啓渡プロ デューサーはこう話す。 1928 は、 京都を代表する小劇場。 多 くの若手演劇家やアーティストがその 活動の舞台に選ぶ。 客席数は、 椅子を 並べて最大250席。立ち見を含めて 300人も入れば、たちまち押し合い へし合いの状態になる。 それだけに、 演者の息づかいまで手にとるように分 かるというわけだ。 関西にはこうした小劇場が少なくな い。 しかし、 若手アーティストや新興 劇団には、 資金的余裕が乏しい。 チケ ットの販売収入で経費をまかなうこと から、事前に舞台芸術などへ十分な “投資” ができないこともある。 キャピタル投資を行うメリットは、 この点にある。 劇団側には “初期投資” を得る点が、 劇場側には会場の利用収 人を拡大するチャンスになる点がそれ ぞれにある。 一方、投資家の側から見てみると、 キャピタルゲインをどう得るかという 命題になる。 より集客力のあるコンテ ンツに投資しようとする力学が働く。 劇団や劇場にとってはより魅力的なコ コンテンツ作りに向かう競争原理を生み 出すことになるわけだ。 しかし、このキャピタルゲインへの 関心が行き過ぎると、 投機バブルを招 くことになる。今回の取り組みでも、 「一番気をつけたのは、一過性の投機 につながらないようにすること」 (小 原プロデューサー) という。 投資額を 一口あたり2万円に抑えたのはこの ためだ。「必要以上の資金は集めない」 (同)ことも徹底した。 投資と投機の境目は、常に揺らぐ。 こうしたリスクを管理するには、 文化 ・芸術活動そのものの意味を見据えた マネジメントが必要だ。 アートコンプレックス 1928 プロ デューサーの小原啓渡氏に、 キュピ キュピファンド創設の経緯と狙いを 聞いた。 (聞き手は井上朋一) ■どういう経緯でファンド 創設に? 「米ニューヨークで『ブルー マン』 というパフォーマンス のステージを見に行った。 エ ンジェルやバッカースと呼ば れる投資家が舞台制作に投資 してロングランを続けている」。 「これを見たときにいいコ ンテンツがあれば、 自分でお 金を用意しなくても長期公 演ができることが分かった。 すぐにファンドを作るわけ には行かなかったので、 メセ ■なぜ直接金融の手法を? 「そもそも間接金融には無理があ る。 信用力も何もない小劇団が融 資を受けることは考えられ ない。一方、直接金融で資金 調達するといっても、 日本の 場合、 そもそも投資の考え方 が希薄。 舞台鑑賞の文化も層 が薄い。 段階的にステップア ップすることで、 逆に舞台鑑 賞や投資を日常に根付かせ ることができると考えた」。 条御幸町に ブロードウェーを作る」 ナ的な要素を取り入れたりる して試行してきた」。 「そんな中、 エンゼル証券 の人と知り合い、協力していただけ ることになったので、ファンドを作 ることにした」。 ■今後はどうする? 「三条御幸町にブロード ウェーを作りたい。つまり、 持続性のある劇場文化の街 を作りたいということだ。 産 業的にも意味のある取り組 「みに成ると思う」。 このプッア |小ロク | 原デスト 啓ュコ 渡19ン 氏サ2プ 18レ

2003.07.24

『サポーター感覚で投資』日経新聞/2003年7月24日

日本經濟新聞
2003年(平成15年) 7月20日 (日曜日)
劇場公演、ワイン、音楽
CDなど様々なイベントや
商品に投資する個人向け商
品が相次いでいる。出資者
として事業を応援できるう
え、うまくいけば大きな利
益を得られるのが魅力だ。
・半面、投資家保護の仕組み
が未整備で元本割れリスク
もある。ファン気分で楽し
個性派ファンドの現状を
探った。
現在募集中の主なファンド
取扱您口
損益分岐点
「京都にブロードウェー
のような劇場街を根付かせ
たい」。着物の元を営む
岡本就介さん(38)は八月
五日から募集が始まる地元
劇場公演への投資ファンド
に出する。
投資額は一口二万円。演
劇グループ「キュピキュピ」
が十月下旬から一カ月弱、
市内の小劇場で公演する前
衛的ミュージカルが投資対
象だ。 期間中の来場者が
二千五百人を超えれば、投
保全管理する。
資家は利益を得られる。
この商品(総額二百万円 「不景気を吹き飛ばすほ
以上)は小劇場の運営会社 ど楽しいCDに仕上げまし
「一九二八」(京都市)がつ
大手
た。応援よろしく」。
くったもので、チケット販 制作会社に属さないインデ
売枚数が多いほど配当が増 ィーズ系五人組バンド「バ
える。七月末に特別目的会 ジル」はまだ見ぬ出資者へ
社(SPC)を設け、資金をこう呼び掛ける。
を刻むのも魅力と語る。
%の値上がり益が目標で、
来春は五億十億円まで募
集を増やしたい」とファン
ド取扱会社の北田朝雪代表
は意欲をみせる。
で同様の動きが広がってい クホク顔。 「一昨年、百万
自然エネルギー市民 円投資して、まず五万円の
広がる設定
ファンドの鈴木亨代表)。 配当を受けた。市中銀行の
自然エネルギー市民ファ 今春、恐竜展イベントフ 預金より、はるかに高利回
ンド(東京・新宿)は九月 アンドを募ったイー・トレ
この商品はた
」と話す。
十六日まで鰺ヶ沢町と秋田 ード証券には現在「複数のる詰め、瓶詰めのフランス
県天王町の風車への出資をファンド提案が舞い込んでワインを買い付け、一定期
募っている。 出資金を風車いる」。映画や書籍で出資 間後に売却する。 「年一〇
を運営する地を募ろうとの動きもある。
元非営利組織 手軽に幅広く募集できる
(NPO) 「グ めインターネット証券が売
リーンエネルり出すケースが増え、 これ
ギー青森」が設定を後押ししている。
ケ沢町)など
■元本割れも
バジル初のミニアルバムに貸し付け、NPOは電力
「ワレワレ」へ投資するの会社に売電して利益を稼 ただ過去の実績をみる
ぐ。十年かけて元本と利 と、投資家の表情は悲喜
一・五%分が戻る仕組みで もごもだ。
原則途中解約できない。
出資者の多くは環境問題
に敏感な二、三十歳代で、
「静岡、北海道、宮城など
サポーター感覚で投賛
運用の結果
まだ出ず。損益分岐
投資対象
仕組み・計画
購入単位 (募集総額)
劇場公演
音楽CD
チケットの売り上げに応じ
CDの販売枚数に応じて
2
入場者が少ないことに
主なリスク
よる元本割れ
二八(京都市)
1万円単位 (63万円)
元本割れ、信用
風車の建設
風車運営主体に融資し金利
と元本部分を4年後、10年後
10万円単位(各1億円)や議などの自然 自然エネルギー市民
投资对象
仕組み
購入单位(募集総額
過去の主なファンドと戦績
恐竜イベント チケットなどの売り上げに
50万円単位(15億円)
イー・トレード証券(東は入場者約85万-90
仏ワイン
現地業者経由でたる詰め、
詰めのワインを
2001年は100万円単位
(8000万円)、2002年以
位 (2001年は8000万円
2003年36200万円
2001年に募集分
東京
は今年5月に5%
ゲームソフト ズ2本の出荷本数に応じた収 10万円以上1万円単位
「ときめきメモリアル」シリー
マネックス
1.05%
中国雑技団のチケット販売などの公演収入 10万円単位(2億円)
アイレクト SFG
47.1%の損失
劇場公演、ワイン、CDファンド・・・
高利回り期待は禁物
がアーティスト育成ファン
ド。いくつかのバンド育成
ファンドを手掛けてきたミ
ュージックセキュリティー
(東京・港)がつくり、
二十二日まで一口一万円単
位で資金を募る。 来年一月
末までのアルバム売り上げ
千百二十一枚が損益分岐点
だ。一万円投資した場合、
売り上げが五百枚だと四千
五百円程度しか戻らない
が、一万枚売れれば約二万
七千円が手元に返る。
東京都三鷹市の望月隆良
さん(72)は今春、「孫世
代に、化石燃料を使わない、
きれいな空気を残したい」
青森県鰺ヶ沢町の風車に
二十万円投資した。 「リス
クは承知の上。 半分は献金
の気持ち」という望月さん
は風車の支柱に孫二人の名
ファンドの仕組み (中国雑技団公演の場合)
名組合契約
雑技団公演
チケット収入
設立、出資
事業主体
東京ファイナン
DLJディレクトSFG証券
出資金・利益配分
個人投資家(出資者)
最も成功したと評される
のはマネックス証券とコナ
ミが開発したゲームファン
ド「ときめきメモリアル」。
ゲーム出荷本数に応じて償
還額が決まるが、利回りは
一〇五%と必ずしも高く
「ご迷惑をかける事態と
なったことを深くおわび申
し上げます」。今年三月、
ただ投資額十万円以
ない。
DLJディレクトSFG証上でゲーム画面の最後に投
が募集した 資家の名前が載り、二十万
中国雑技団公円以上で限定版ゲームがも
演出資者らえる特典がマニアらの人
にこんな知気を集めた。
らせが届い応援ファンドには事業失
た。期待ほど敗、資金募集の未達成のほ
の来場者がなか「イベント中の食中毒事
く、十万円投故」など様々なリスクがつ
資しても五万きまとう。 恐竜展ファンド
三千円程度 の説明書には二十のリスク
か戻らなかっ
ファンド
が並んだほどだ。
た。
に詳しい藤沢久美ソフィア
逆にワイン バンクディレクターは「リ
ファンドに投 スクが多く株式ほどの利回
資した川崎市は期待薄。 応援したい商
番場保一さ品やイベントへの投資を楽
ん (6) はホしむ余裕が必要」と話す。
埋めに使う恐れもある。公れば事業者が倒産しても出
認会計士の伊藤雅之氏は 資金は原則SPCに分別
「投資を決める前に事業者 保全されるからだ。
第二に注意したいのが情
信頼できるか、過去に成
(ディスクロージャ
ない」(ジャパン・デジタル・功実績があるかなどを見極報開示
算報告内容などもできるだ
け確かめよう。
経済産業省は「現在の
名組合による投資商品につ
いては、投資家を保護する
のみを引き受ける。
|中公
一口に応援ファンドとい
っても玉石混交なので、投
資に際して最低限の知識
押さえておきたい。 ほとん
どのファンドが低コストで
設定できる匿名組合をつく
出資者を募る方式を採っ
ている。 そもそも匿名組合
出資者になるとはどうい
うことか。出資者は事業者
と一対一の契約を結ぶ。出
資者には利益分配請求権
けがあり一定の利益や損失
匿名組合に出資する最大
の問題は「倒産した場合、
出資者へお金が戻る保証が
法制度が事実上整っていな
ファンド 実績
実績、情報公開カギ
いのが実態」と指摘。「今
後、採算の見通しが甘く、
長)点だ。出資金は事業者
の持ち分になるため、事業
者が別の事業で失敗し、フ
見分け方
コンテンツの土井宏文社 めることが大切」と話す。 1) 姿勢。 投資信託の目論金集めだけを目的とした団
第一のポイントはSPC 見書に似た説明書を投資家 体が出てくる恐れもある」
SPC設に配り、 収益をシミュレーと業界に自主ルールの策定
があるかどうか。
置には通常、数百万円の負ションしているかどうかをを促している。
アンド資金をその損失の穴 担がかかるが、SPCが確認したい。事業主体の決 (マネー&ライフ取材班)
メールはmoneylife
okyo.nikkei.co.jp

2003.07.24

『求むエンゼル 公演を証券化』中日新聞/2003年7月24日

2003年(平成15年) 7月24日 (木曜日)
中日新聞東海本社2003
(日刊)
CULTURE
個人投资家。
氷むエンゼル
劇
京都の公演を証券化
「エンゼル」 という言葉をご存じですか。 普通なら
「天使」 だが、ベンチャー企業などに資金を提供する
「個人投資家」の意味も持つ。米国では、ハリウッド
映画やブロードウェーの舞台など娯楽・芸術の分野で
もエンゼルの存在は大きい。 日本でもエンゼルを増や
そうと、 京都市の小劇場が証券会社と組み、 1口2万
円と小口化して出資者を募る取り組みを始めた。
「振興の切り札」 として、 全国の劇場関係者から熱い
視線を浴びている。
(花井 勝規)
出資を呼び掛けているのは、京
都市中京区三条通御幸町の小劇場
「アートコンプレックス192
8」。同劇場の小原プロデュ
ーサーは「共同馬主制をヒント
に出資金を小口化してエンゼル
リスクを軽くしようと考え
た。一口二万円ならばポケットマ
感覚で投資できる。 出会が参
加意識を高め、演劇ファンのすそ
野を広げる効果も期待できる」と
話す。
出資金を小口に
下旬から二十日間行われるパフォ
ーマンス集団 Kyupl Ky
対象となるのは、同劇場で十月
ファン層拡大も狙い
「アートコンプレックス1928」 の前で創
場版の投資について語る同劇場のプロデ
ューサー小原啓
さん=京都市中京区で
劇場版投資対象「Kyupi
Kyupi」の舞台ーアート
コンプレックス1928で
uDI (キュピキュピ)の公演
約一千万円の制作運営費のうち、
二百万円程度を資金の受け皿会社
に集め、広告宣伝費などに充て
る。 公演終了後に、興行収入か
経費を差し引いた利益を出資
に応じて投資家に分配、 配当は
チケットの売れ行きで変わる。
公演が低調なら元本割れの可能
性もあるが「採算ラインは著しく
低く設定した」 (小原氏)とい
い、順調に観客が入れば100%
以上の配当になる可能性もある、
と強気だ。同劇場にノウハウを提
供しているエンゼル証券 (大阪
市)も「不動産などの投資ファン
ドに比べ、高いリターンが期待で
きる魅力的な案件」(同社資本
成事業部)と期待する。
中日新聞
資金難にあえぐ小劇場では、公
赤字の場合 劇団員の
ち出しでしのぐケースが多い。
出資金は赤字 になり、
場経営の安定化につながるメリッ
トもある。「出資する以上、公演
よい意
に対する目は厳しくなる。
味で劇場との間に緊張感が生まれ
るのでは」と作品の質の向上に期
する出資者もいる。
関西経済連合会の劇場文化研究
会のチームリーダーを務める佐藤
友美子サントリー不易流行研究所
長は「企業メセナの時代が終わ
りかけているなか、エンゼル投資
は文化振興に市民を参加させる有
効な仕組みの一つになり得る」と
来年から同劇場も含めた関
注目。
西地区の劇場を対象に「劇場エン
ゼルシステム」の試行を検討して
おり、有力作品数本を選んで投資
家の前で投資を募るオーディショ
も計画している。
作所 中日新聞東海本社
45
TA250350 U 063-821) 771

2003.07.01

『新しい出資システム』関経連経済資料/2003年

新しい出資システム
「本格的エンジェルシステムの確立を目指して
アートコンプレックス 1928
プロデューサー 小原啓
アートコンプレックス1928では、
昨年2月に続き、今年4~5月にか
けて劇場主催のロングラン公演を行
った。ロングランといっても実際は
3週間 (26公演) 公演日数が事前に
定められた長めの公演という事であ
って、ブロードウェイ等で成立して
いる本格的なシステムにはほど遠い。
昨年は劇団との協力体勢で試み、
1650名の動員を得て、なんとか持ち
出しをしないという意味でのペイラ
インを達成できた。 2度目の今回は
昨年と同じ公演数に設定し、昨年の
動員に達することができれば、出資
していただいたお金は全額返却する
という「セーフティーネットとして
のメセナ」 というシステムを打ち出
し、出資を呼び掛けた。 あくまで自
力でやる事を基本に、赤字になった
場合にのみメセナをお願いするとい
う形だが、最終的には約50名の方々
から出資金が集まった。
出資していただいたお金は、小屋
入り前の大道具、小道具、衣装やチ
ラシ等、通常なら事前の持ち出しに
よってしか賄えない経費に当てさせ
て頂いたが、実際これは予想以上の
効果を挙げた。 製作物のクオリテ
イーが上がった事はもちろんだが、
たくさんの方々に出資をして頂いた
事が、 作者をはじめ役者やスタッフ
にいい意味でのプレッシャーを与え、
昨年以上の意気込みがみなぎってい
「たように思う。
今年の最終動員数は1938名、 昨年
の動員を300名近く上回り、 出資金
は全額お返しできる結果となった。
出資頂いた方々のほぼ全員が実際に
観に来られ、 終演後は一様に興奮さ
れた面持ちだった。 単なる観客とし
てではなく、自分自身がこの公演に
参加した感覚を持たれたが故ではな
いかと想像する。
ロングラン公演には、 現在の舞台
制作環境が抱える問題を打開する多
くの可能性が含まれている。 例えば、
通常2、3日の公演ではその評判が
伝わる頃には既に公演が終了してお
り、新しい観客の獲得に繋がりにく
いという現状を改善する効果、役者、
スタッフのスキル向上を促進させる
ばかりでなく、作品自体を成熟させ
る効果などが挙げられる。 「通常の
短期公演の時は初日が開いた時点で、
なんだかもう終わったような気分に
なるんですが、 今回は初日が開いて
から役者として、本当の試行錯誤が
始まりました」 打ち上げの席で、あ
る役者がこう話してくれた。実際今
回の公演では、初日から26ステージ
を経た楽日の舞台は見違える程の成
熟を見せていた。
また、ロングラン公演というと、
公演期間の長さだけが取りざたされ
る場合が多いが、 見落としてはなら
ないのが仕込み、舞台稽古などに必
要な準備期間の問題である。 昨年は
この仕込みに10日を使い、 今年は12
日間、24時間体制で臨んだ。作品の
傾向 脚本の質などは別にしても、
作品の完成度という意味でこの仕込
み期間は非常に重要である。 初日ま
でに舞台の立て込みや技術サイドも
含めた通し稽古に、 どれだけ時間が
取れるかが作品の完成度に大きな影
響を及ぼすからだ。お金を取る限り、
突貫工事的な完成度の低い作品は観
客に対して失礼である、というのが
私の基本的な考えである。 そういっ
た意味からも、十分な仕込み期間と
公演日数、経済的な採算制、 舞台関
係者が自立した生活を送ることを可
能にするロングラン公演、そしてそ
れを支える 「エンジェルシステム」
が今、必要なのだと確信している。
アートコンプレックス1928は、 大
劇場ではリスクが大きくて踏み切れ
ない実験的な試みを続けていく事こ
そが小劇場の存在価値であると認識
し、将来的にはインターネット証券
を介した、リスクの少ない個人投資
(エンジェルシステム)による舞台
公演が、この日本でも定着していく
ことを目指して、活動を続けている。
いつか日本のどこかでブロードウェ
イのような劇場群を創りたい。 これ
が私の夢である。

2003.06.05

『小劇団の経営自立支援』日経新聞/2003年6月5日

芸術に酔う
京都にある私設劇場「アートコンプレックス1928」
が、小劇場系劇団の経営の自立を促す仕組み作りに動き
出した。劇場の自主制作として、ロングラン公演、劇団
の赤字補てんするセーフティーネットを実験的に導
入。今後、劇団を投資対象とする小劇場公演のビジネス
モデルを提案する。
「小劇場文化として根
付かせるには、米プロード
ウエーのようにヒット作を
長期公演できるロングラン
システムと、文化活動を後
する出資者の存在が必
櫻」。アートコンプレック
スの小原プロデューサ
は、小劇場系劇団の公演
採算取れるような上演
システムを打ち出した。
ロングラン公演の第一弾
は、昨年二月七日から三週
間。京都の劇団「電視游戯
科学館] が、がまん延
する大正時代を舞台にした
「ノスフェラトゥ」を、二
十六回上演し、千六百五十
人の観客を集めた。
小劇場系劇団では、一作
の公演でも週末ニー三日ど
まりがほとんどで、百人
劇場では観客動員数も
合計五、六百人程度に限ら
れる。観客が少ないときは、
入場収入で経費を賄いきれす。
ず、舞台装置や広告など
資金で赤字を補てんする仕
ロングラン公演の第二弾 組みだ。実際には四十九人
小劇団の経営自立支援
アートコンプレックス1928
劇団員
する場合も
多い。電視游
科学舘
する国本浩
康は「小劇場
劇団はロコ
ミ宣伝効果が
大きく、新し
いお客さんが
来てくれるま
で一二週間
かかるので長
期公演はあり
がたい」と話
として、同劇団が山奥の
館で起こる怪奇事件を描い
た「牡丹灯籠」を、今年四
月十八日から五月六日まで
上演した。 主催したアート
コンプレックスは、公演
用の赤字を補てんするセ
ーフティーネットシステ
公演に先立ち、
ムを導入。
一ロ一万円で、招待券を付
けて出資者を募集した。
採算ラインとする昨年の
観客動員数、千六百五十人
を達成した場合、出資金を
返却し、採算割れしたら出
京都市中京区
京都の私設劇場
千九百三十
が出資したが、
八人の観客が訪れ、出資金
は返却できた。
電視遊戲科学館の国本は
「任意団体で融資を得にく
劇団に出資までして期待
してくれる人とつながりが
できて何よりうれしい」と
語る。 サントリー不易流行
研究所部長で、出資に参加
佐藤友美子さんは「企
葉のメセナ活動が後退する
なかで、個人として文化の
担い手になれる楽しさが実
感できる」 と、その効用を
公演長期に
赤
字補てん
出資者募る
アートコンプレックスのセーフティーネ
「
演
最初のロングラ
指摘する。
ン公演から小劇場演劇
見始めた会社員の岡本就介
さんも「参加が強くな
り、より深く鑑賞できる。
次回もぜひ出したい」と
好評だ。
科学館」の公
ット、 を使った
て、小劇場劇団やパフォ
ーマンス集団の公演を投資
の対象に、小口の出資者を
募集めた出資金に応じ
入場料収入から 舞台
装置や出演料などの必要
経費を差し引いた剰余金分
を上乗せして、出資者に再
配分する。 現在、集客力の
ある人気パフォーマンス集
団や、コンテンツ・ファイ
ナンスに関心を示す証券会
社と交渉を進めている。
このほか、高額な宿泊費
公演の障害になっていた
海外劇団や遠隔地の国内劇
団のために、宿泊施設「7
ーティスト・イン・レジデ
ンス」 (AIR)を六月か
本格オープンした。 元民
間企業の社員寮だった三階
建てビルを借り上げ、 十一
部屋で十四十五人を受け
入れ、宿泊費も一泊千五百
円程度に抑えた。三月から
試験的に利用を開始してお
り、フランス、韓国、タイ
などの俳優や音楽家らが
在した。
財源不足が常化してい
る小劇団に、新たな資金
が加わることで、舞台づく
一方、出資
りは安定する。
期待に応えるよう、 公
アートコンプレックスは の質と集客力を一段と高
投資家が配当を得られるピ めていく努力も問われそう
ジネスモデルも模索してい だ。
林隆之)
る。証券会社に協力を求め(大阪・文化担当

2003.06.05

『演劇の都 投資で築け』朝日新聞/2003年6月5日

ないが、日本ではまだ
京都の小劇場と証券会社が手を組み、舞台公演の資金集めに投資のシス
テムを導入することになった。 秋のでまず1千万円を募り、興行収
入で投資者に利益をする
対象にするのは米国では珍しく
関係者は、ミュージカルの本場、米・ブロー
につくることも夢見ている。
配当を出したい
劇場の持ち出しや一部の
企業の協賛だけで、安く
質を落とすとい
ドウェーのような演劇の街
悪を打破したい」
と話す 瀬戸公
介・常勤監査役も「京都
京都の小劇場、証券会社と「共演」の創造性を発信できるチ
全額返金できた。
投資システムを計画し
ているのは、京都市中京
区三条通御幸町小劇場
「ブロードウェーのよう
街を目指すためには、
もっと幅広いがい
る」と感じ、小劇場公演
システムづくりに
踏み切った。
小原さんは「1%でもだ。
ャンス」と前向き。
関西経済連合会も小原
公演
さんの活動に注目。
企画を持つプロデューサ
らに参加を呼びかけ、
個人投資家に舞台作品の
一部を見てもらうオーデ
ィションの実施を検討中
演劇の都投資で築け
「アートコンプレックス
1928」 と、ベンチャ
企業への出資などを
がけるエンゼル証券 (本
社・大阪市)。同劇場で
10月25日~11月13日にあ
パフォーマンス集団
「キュピキュピ」のロン
グラン公演を最初の対象
にする。
同劇場プロデューサー
小原さん)が登
集めのための会社を設
立し、7月下旬からイン
ターネットで個人設
1口2万円の予
定で、集めた資金は舞台
セットや広告、会場費な
エンゼル証券はノウハ
ウ提供とアドバイザー役
を担う。 成功すれば新し
ビジネスモデルにでき
るメリットがある。
小原さんは別の公演
で、試験的に呼びかけ、
1日1万円で約3人から
0万円ほどの出資を受け
公演は好評で、目標
今秋から導入
1千万円
目指せブロードウ
今年3月、アートコンプレックス1928
であったキュビキュビのショー。 今秋の公
演が投資対象となる京都市中京区で

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