メディア情報

2001.06.23

『新しいプレースポットと人気』産経新聞/2001年6月23日

GUIDE
流行のシーンズをはいた若
い女性や観光案内本を手にし
若いカップル、修学旅行生
などさまざまなスタイルの若
者たちが通りを行き交う「三
条御幸町」。四条河原町の繁
華街から外れた三条通と御幸
町通が交わる一帯を中心に、
輸入品を取り扱うセレクトシ
ョップやオープンカフェ、雑
貨店などが多く点在し、若者
たちの間で新しいプレースポ
ットとして人気を集めてい
る。話題の街を歩いた。
(京都総局 今西和貴)
京都・三条御幸町
京
新しいプレースポットと人気
は、文化庁の有形登録文
化財、旧不動貯金銀行な
どの歴史的建造物を利用
したテナントビルなども
ある。昔ながらの町家を
「河原町通りとは違っそうなマニアックな商品 「お茶できる」ことも人都支局のビルとして昭和利用した居酒屋や、伝統
落ち着いた感じがするを取りそろえていること気の理由の一つとなって三年に建築された。移転 工芸品などを取り扱う土
し、街をぶらぶらしていが店の“売り”。買い物いる。
の際、京都市内の建築デ産物店があるのも大きな
「ても飽きがこない」と脚の合間に客がカフェで界わいの象徴的な建物 ザイナーが買い取り「複特徴だ。
本家の鈴木佐保さん
鈴木さんのおすすめ
三の店は、一階がカフェの
セレクトショップ「レッ
ドラバーボール」だ。
有名ブランドの服など
ではなく、今後人気が出
昔ながら”残し
進化する"一面
アートコンプレックス
の共同経営者、小原啓渡
さん(こ)は「京都といえ
ば寺巡りですが、町家な
どの京都らしい景観を歩
きながらおしゃれな店を
発見できるところに人を
は二年前の十二月にオー合的に芸術を感じてもら引きつける理由がある」
プンした「アートコンプえる場」をコンセプトにと魅力を分析した。
「レックス1928」。地オープン。演劇やファッ 風情ある京都の一面を
下一階がカフェ、一階にションショー、ライブ、残しながら“進化する"
ギャラリーとブティッ写真展などさまざまな文 三条御幸町。京都在住者
ク、二階がレストラン、化芸術活動の場として開から観光客までが歩いて
三、四階がホールとなっ放されている。 楽しめるエリアから当分
アートコンプレックス目を離せそうにない。
ている。
京都市の有形文化財に以外にも、三条通沿いに
登録されているこの建造」
物は、大阪毎日新聞社京
徵:地下鉄東西線
市
京都市役所前駅
歴史的建造物の「アート」 地烏
コンプレックス192
8」。多くの若者たちが
集う京都市中京区
三条通
-条・・
御幸町

2001.04.13

『歴史あるビルから刺激が生まれる』シティリビング/2001年4月13日

Street
京都の
[三条通り】
市内を南北、東西に走る京都の通り。ただブラブ
ラと歩くだけでも「こんなレストラン、できてた
ん?」 「この店、かわいい」なんて楽しい発見がい
っぱい! 「京都のStreet」では、毎回、一
つの通りをピックアップして、いろんなお店を紹介
していきます。1回目は三条通り。おなじみの通り
に、こんなステキなお店を見つけたよ。
歴史あるビルから刺激が生まれる
*1928ビル
今や、三条通りのランドマーク的
存在となっている 「1928ビル」
は、昭和3年(1928年)に建て
られた、もと大阪毎日新聞社京都支
局。 アールデコの影響が認められて、
京都市登録有形文化財に登録されて
いる建物なのです。 建築当時の姿を
そのままに残し、このビルが「19
28ビル」に生まれ変わったのは3
年前のこと。 現在、地下1階は「カ
フェアンデパンダン」、1階は「同
時代ギャラリー」、 2階はレストラン
「ルコラ・ド・ヴィラ」、そして3階は、
舞台やパーティーも開かれるホール
「アートコンプレックス1928」に。
歴史ある建物には、アーティスティ
ックな刺激が詰まっているよ。
おなかを満たして
昼も夜も、
masoho
ムレスナティーハウス京都店
富小路通り
マリスケリア・ベントラ
町通り
寺町通り
町通り
1928ビル
A
三条通り
な幽
昼お上
烏丸通り
東海通り
烏丸アネックス地下1階

2001.01.11

『ウェーブ’01 京都系』京都新聞/2001年1月11日

生活の場に
「「表現」 届ける
芸術「翻訳家」
京都の小劇場演劇で活躍してきた杉山
準さん(三五)上京区=は今、気鋭の劇団
全国から招いて三月末から開催する演
劇祭の準備で忙しい。京都の代表的な小
劇場「アトリエ劇研」(左京区)のプロデ
ューサー。「この場所を核に、演劇を人
々の暮らしに身近なものに」と意気込む。
限られた人のもの?
杉山さんは七年前、演劇講座「演劇
ギナーズユニット」を、市中京青年の家
協力で主宰した。「演劇が限られた人
だけのものになってきている」との危機
感がバネになった。
当時の所属劇団のけいこ場だった同家
会場に、演劇に興味のある市民に発声
法や演劇理論を教え、素人劇団の上演に
こぎつける試み。これまでに百五十人以
上の男女が受講した。
杉山さん自身は「劇研」のプロデュー
サー就任を機に、後進に運営を譲ったが、
「演劇を暮らしの中に」 の信念は変わら
ない。「気軽に演劇の楽しさを体験する
機会を持てれば、演劇を好きになってく
れる。すそ野を広げれば、 演劇を取り巻
<土壌が豊かになる」
演劇、舞踏、大道芸・・・
中京区三条通御幸町の「1928ビ
「ル」。新世紀を目前にした大みそか、年
越しイベント「京都アーティストファイ
ル」が開かれた。幅広いジャンルのアー
ティスト三十組以上が、ビル内のギャラ
リーやカフェで音楽や映像作品を披露
し、訪れた人たちはさまざまな芸術表現
を満喫した。
ビル最上階のホール「アートコンプレ
ックス1928」の舞台には、昨年のホー
ル利用者を中心に、演劇や舞踏か
ら大道芸、ボディービルまで、幅
広いアーティストが次々に登
場。「世紀の変わり目をとら
お祭りですよ」。ホー
ルのプロデューサー、
小原啓渡さん(四〇)
=南区=はホール
の観客とアーティ
ストがあやなす熱
気に目を細めた。
コンプレックス
は「複合体」の意
味。異なった分野
のアーティストが
融合する場を目指
す。小原さんは「特
定の分野のファン
だけが出入りする
京都系
との出
会い
未知
のではなく、ホールが縁で未知の芸術表
現に気軽に出会うことができる」と言う 。
京都の都心部では近年、1928ビル
や京都芸術センター(中京区)など、芸
術活動の拠点となる施設が相次いでオー
プンしている。 スタッフたちは、閉鎖的
になりがちな芸術の世界と市民の仲を取
り持つため、「アート・マネジメント」
に力を入れている。
優れた人材発掘へ
京都橘女子大・文化政策研究センター
の小暮宣雄顧問)は「芸術というと身
構えてしまう人は多い。アート・マネジ
“演出
99
メントは芸術の良さを市民に分かりやす
京
く届ける工夫をする『翻訳』の仕事。
都には一般には知られていない優れた芸
術家がたくさんおり、役割は大きい」と
話す。
小原さんは「エンターテインメント性
とみ
は日常から芸術への入り口になる」
る。アートコンプレックスでは、娯楽性
豊かな表現活動をしている芸術家や団体
の公演を、利用料の減免や宣伝活動で積
極的に後押ししている。「例えば買い物
のついでにアートを楽しめるような、風
通しのよい、開かれた空間にしたい」
写真は、年越しイベントを見守る「アー
トコンプレックス1928」のス
タッフ。芸術と市民を結ぶ
「翻訳家」たちだ(中
京区)
そ野が広がれば

2000.09.15

『レトロビルから発信されるアートの世界を』シティリビング/2000年9月15日

ART COMPLEX 1928
昭和3年(1928年)に建築された、旧大阪毎日新聞社京都支局ビル。アー
ル・デコの影響を受けた貴重な建築物として、 京都市登録有形文化財に登
録されているこのビルが、昨年12月 「1928ビル」 となってオープン。 その3階
部分に登場したのが 「ART COMPLEX 1928 」 です。
複合的アートの体験の場〟をコンセプトに、演劇、ダンス、ファッションショ
ー、展覧会など、さまざまなアートの発信の場として利用できる、 約220平方
ものスペース。 気軽に鑑賞できる公演などもあるので、出かけてみて。 公演ス
ケジュールなどはホームページでも紹介されています。
京都市中京区三条通御幸町角1928ビル3階 http://www.pan-kyoto.com/ac 1928
075 (254) 6520
アレ
レトロビルから発信される
トロ
アートの世界を

2000.08.01

『建物も「第2の人生」』朝日新聞/2000年8月1日

建物も「第2の人生
者の近代支穿カン た
々とマンションに変わるの
苦々しく思ってきた。
耐震補強はしたが、内外
装はほとんど手を加えてい
「美しい建
にこだわった。
物は使ってこそ価値がわか
る。博物館のような保存に
はしたくなかった」
東京アパレルメーカ
古くなった建物を改装して、別の用途に使う例が増えている。 「スクラップ・
アンド・ビルド(解体と新築)」を繰り返してきた国内でも、建物を何世代にも
わたって使うヨーロッパのように、変化の兆しが表れている。
し、一帯を「小さなブロー
「ドウェー」にするのが、小
原さんの夢だ。
川沿いの倉庫が本社
京都1928ビル
個性あふれる
に建てられた。もともとは
毎日新聞の京都支局。ホー
ルは講演会場などとして使
われてきた。
ホールで再生
絞り出すハスキーな歌声 「天井と使い床に響いては
が、吹き抜けのホールに響 っきり歌詞が聞き取れる。
く。 マイクを使わなくても こんな音響は最近のホール
ピアノやバスの音にかき消 でも少ない」。響きにこだわ
されることはなかった。 彼女は満足そうだった。
京都市中心部の三条御幸 アーチ型の天井を支える
町角。「1928ビル」に 薬が客席に向かって並ぶ。
あるホール「アートコンプ トンネルか体育館を思わせ
レックス」で6月、ボーカ る内装は、ホールより「公
リスト渕上純子さんの「ナ 会堂」の呼び名が似合う。
マ音」ライブが開かれた。 名前通り、70年以上も昔
運営にあたるのは、歌舞
伎の舞台技術者として世界
を回ってきた小原渡さん
「世界中、ホールの
(4)。
中はどこも同じ。ここは違
った。見た瞬間、 『おもろ
い』と思いましたね」
照明以外、特別な仕掛け
はない。シンプルな構造だ
けに、自由な舞台づくりが
演劇やライブだけ
できる。
でなく、ファッションショ
見本市も開かれる。街
の中心にある立地を生か
④ 「1928ビル」内のアー
トコンプレックス。 半円形の
天井が続く/提供・小原啓渡
さんビル外観。設計は京都
市役所も手がけた武田五一=
いずれも京都市中京区で
周囲にはここ数年、カフ
ェやブティックも次々でき
週末は若者でにぎわう。
「建物を再生して以来、
通りの表情まで変わってし
まったのには驚いた」。京
都支局の移転に伴い、98年
に買い取った建築家若林広
幸さん(33)は言う。歴史を
社員食堂から、隅田川
下る観光船の修学旅行生が
手を振るのが見える。オフ
イスに入ると、高い天井と
間仕切りのない空間。 ラフ
なシャツ姿の社員が忙しく
行き来している。
東京都江東区。アパレル
メーカー「エイ・ネット」
の本社は、外からは巨大な
コンクリートの箱にしか見
えない。倉庫を5年前に改
装した。同社は「事務と
機能の両方を生かすこと
ができる」と説明、かつて
の荷さばき場も商品搬出用
に使っている。
東京・東麻布で編集スタす」と話す。
ん(?)は昨秋、エイ・ネッ
トの本社など、第二の人生
歩む建物を集め、「東京
「リノベーション」と題した
本にまとめた。
不況で家賃の安い古い建
物に引っ越した建築家やデ
ザイナーが、好みの内装に
変えたのがきっかけで、90
年代後半から、どこにでも
あるビルの活用が目立って
きた。高木さんは「立地さ
えよければ、どんな古いビ
ルでもおしゃれな空間にか
わる。用途を失った建物に
命を吹き込む逆転の発想で

2000.07.01

『荒木経惟 京都を語る』京都学生新聞/2000年7月

20061227-gakushin200007.jpg

2000.07.01

『荒木経惟 京都白情』Meets/2000年7月

TOP PICKS
センチメンタルな旅を続ける”天才アラーキー”曰く、
「ヤバイよな京都の女は。油断出来ないだろ?」
会場にその男が入ってきたとたん、場
の空気が一変した。 外観は、おなかの出
てきた中年男。派手な服とちょびヒゲが、
いかにもうさん臭い。が、同時に形容し
がたい魅力のオーラを惜しげもなくまき
散らし、人々の視線を瞬時に集めてしま
った。 ご存じ、天才アラーキー"こと、
写真家の荒木経惟の登場だ。
雑誌やテレビ、彼自身の写真に出てく
る姿と寸分変わらぬ風貌と雰囲気。演じ
ているのか、地なのか。とまどいながら
もトレードマークの丸ぶち色付き眼鏡の、
親しみやすそうな愛嬌にうっかり気を許
してインタビューは始まった。
4~5月にかけて、荒木は京都で二つ
の個展、「俺の京都1971-1999」
美術館「えき」KYOTO)、「京都白
情」 (ART COMPLEX1928)を開催した。
タイトル通り、20年以上かけて”京都"
を精力的に撮りためた作品が並んだ。
「写真は未来の予感っつーか、見る人に
とって先を感じさせないとつまんない。
京都の場合は、過去が遠いでしょ。 どこ
まででも遡れる。その分、未来も遠いわ
け。そういうのが京都の面白さ」
「路地をね、立ち止まって覗き見する気
分なんだ。こっち(京都)のは。石畳に
水を打っている路地って入っていきにく
いでしょ。 その奥に闇があるんだよね」
荒木が生まれ育った東京の下町にも、
路地はあるが、「東京とは違うね。 東京
の下町の路地は、通り抜けられて、もう
一つの明るい大通りに出られるんだ。 京
都は、行き止まっちゃう。 その奥、闇の
ところに妖怪が住んでいたり。ホントに
京都には妖怪がいるよ」
「京都白情」展で見た、夜の神社の前で
佇む着物姿の老女の写真を思い出した。
舞の師匠なのだろうか、着慣れた風の着
物がやわらかで上品な線を作っている。
が、荒木の写真はその奥に潜む鋼のよう
な芯と、磨き抜かれた女"の自信を露
わにする。 そんな写真が、ホテルの密会
風景や河原でセックスする男女の写真と
混在して、荒木の”京都"になっている。
「ヤバイよな、 京都の女は。 あの柔らか
な物言いが危ない。油断出来ないだろ?」
ワハハハと周囲を巻き込んで豪快に笑
う。だけど、色付き丸眼鏡の奥の瞳は、
闇に沈んで見えない。 ”天才アラーキー"
の愛嬌を演出する小道具は、荒木経惟と
いう人間の秘密を守っているよう。 一番
ヤバくて、隠された闇の奥に妖怪を住ま
わせているのは、彼自身じゃないか。
「俺の京都1971-1999」展は、
眩い光を放つ寺院のカラー写真から始ま
り、妻の陽子さんとの新婚旅行で撮った
モノクロ写真で締めくくられていた。 深
読みのしすぎかもしれないが、最初の寺
院の光" は、最後のモノクロ写真の
闇"の濃さ遠い過去。 深い信頼と
愛から生まれながら、 それが失われる予
兆をはらんでいるを強調するために
配されたのかもしれない。
取材・文/山下里加 写真/バンリ
「アタシの写真は、ノスタルジーとセン
チメンタルですよ。 『センチメンタルな
旅』(新婚旅行を克明に写しとめた実質
的な処女写真集)は、終わらない」
今年、還暦を迎えた。 愛妻が逝って10
年。この10年間に出版した写真集、展覧
会の数には驚くばかりだ。 どこかに空い
底無し井戸に膨大な量の写真 " を投
げ込みながら、この愛すべき妖怪は生き
ながらえている・・・。 勝手な想像を巡らせ
ていると、こんな言葉が聞こえてきた。
「“写真”は、紙の上に本当と嘘が混じ
り合って入っている。同時に、嘘でもな
く本当でもない。写真は写真なんだ。 ア
タシ自身でもない」
闇を隠し持つ写真家は、そう言った。
写真私情主義
平凡社 5800円
今年5月に還暦を迎えた “天才アラーキー” の、 生誕60
周年記念の最新写真集。愛用のカメラ「ブラウベル マキ
写真の中から
を塗り込めた、アラーキーが21世紀に贈る「至上の愛
センチメンタリズム)」。 彼が自ら自分の還暦祝いに作っ
たこの写真集はノスタルジーに溢れ、彼が今も「センチメ
「ンタルな旅」の途上であることを教えてくれる。 いわゆる 品
世代からも圧倒的支持を受けるアラーキーだ
だね。だからノスタルジーを感じる温水もの”なん
切なもの、潤いがある。 デジタルばかりだと乾いてしまう」。

2000.06.24

『スポット探検 1928ビル』日経流通新聞/2000年6月24日

【第三種郵便物認可】
日経流通新聞
2000年 (平成12年) 6月24日 (土曜日)
御池過
姉小路通
三条通
928
四条通
木丛町通
河原町通
新京極通
寺町通
御幸町通
三灸通
三条駅
川端通
ピット指
(10)
る。
大型建築の増加で昔ながらの街並みが変わりつつある京都。だが一
方で、古い町家や建造物をレストランや店舗にリニューアルする動き
目立っている。昨年末、市の中心部である三条通に再生オープンし
た「1928ビル」も、そのひとつ。 かつての新聞社支局ビルがア
ートの発信拠点として生まれ変わり、新たな存在感を醸し出してい
(フリーライター 清野 由美)
1928ビル (京都市)
落ち着いたムードのカフェ・アンデ
パンダン
京都市の中心、四条河原町 たのが京都市在
から北へ歩いて八分。京阪線の建築家、 若
三条駅、地下鉄東西線市役所 林広幸さんだ。
前駅からも徒歩五分というア 「乱開発が進む
クセスのよい三条通に「19 京都の現状に、
28ビル」はある。
一矢を報いたか
三条通は明治から昭和初期 った」という。
にかけての洋風建築が並ぶ界 土地建物の取
隈(かいわい)。昭和三年(一 得と改築補修に投じた費用は 28」を若林さんが出資する
九二八年)に大阪毎日新聞社 三億円。取り組むにあたっ 「一九二八」が運営する。
京都支局ビルとして建てられ ては、 「古いビルをただ博物 ほかに無国籍創作料理店の
1928ビルも、玄関の円 館的に残すのではなく、新し 「アマーク・ド・パラディ」
柱や天井 窓などにアールデ <用途が広がるように」と、 (二階)と、カフェバー「カ
コの意匠が施され、レトロな 「アート活動の発信拠点」と フェ・アンデパンダン」(地
雰囲気だ。
いうコンセプトを決めた。 下一階)、現代アートの「同
二年前までオフィスビルと 新築当時のアースカラーに 時代ギャラリー」 (一階)、
して使われていた建物は、近 外壁を塗り替えたビルは、地 併設ショップの「キュピチュ
年老朽化が激しく、取り壊し 下一階から地上階。吹き抜ピショップ」(地下一階)が
が予定されていた。それを買けになった三、四階のホール テナントとして入る。
い取り、保存再生に取り組ん 「アートコンプレックス19
見づけた!
京都中心部の歴史的なビルをアート
の発信拠点として再生
イベントを開くホールを中心に、 飲
食、ギャラリーを併設
③文化発信の理想と経営面の採算収支
は長い目で考える
アを使った広さで、パーティのを京都でやっていきた
や展示会などホールに準じい」と、一九二八の共同出資
「ビル
イベントもできる。 で、ホールのプロデューサ
全体で人を呼び、ひとつのカ ーでもある小原啓渡さんが
ラーを作り上げる」という運 う通り、オープンから今まで、
営者の意向が反映されてい ダンス、演劇、写真展、ファ
る。
ッションショーなど様々なイ
ベントを催した。
拠点としての存在感を
示すのが、約二百人収容の三、
四階ホールだ。
「客層もジャンルも限定し
飲食店はいずれもワンフロないで、今までになかったも
洋館にアート集う
「演劇世代」という京都の
若い劇団の特集興行や、「ヌ
ヴォーシルク」というフラ
ンスの新しい複合サーカスの
展覧会など、 それらのイベン
トには京都ならではの実験
的、カウンターカルチャー的
な色彩が強い。
三条通という好立地と、京
都市の有形文化財という建物
話題性が重なり、ホールの
稼働率は九〇%という高水準
を維持している。 ゴールデン
ウイークに催した「荒木経惟
写真展・京都白」では、一
週間で四千五百人の来場があ
ったが、これは京都のアート
関連イベントでは異例ともい
える 。
同展ではビル全体をオール
昭和初期に建築された新聞社のビルを修復した
・3-4階 「アートコンプレックス 1928」
2階
「アマーク・ド・パラディ」
1階 「同時代ギャラリー」
「キュビキュビショップ」
・地下1階 「カフェ・アンデパンダン」
フロア構成
ナイトで開ける日を設けた
くない。
様々なイベントが
行われるホール
よくて、話題がある
建物だからこそ、今
施設に欠けて
いる「思い」を形に
したい」(若林さん)
ビル全体の日
標は三千五百万円と
「高めに設定した」
が、現在の推移でい
くと二千六百万円の
見込みだ。
まず志ありきの出発で、 では成り立たない」と認める。京都に住む人の間で、同ビ
それに共鳴したスタッフやボ それでも事業に踏みきったルの再生を歓迎する声は多
「理想七、採算三のバランランティアが集まってくれのは、「商業的に非常に優位い。春に同ホールで、京都発
スで行こう」。1928ビル た。 今はその中で独自性を打な立地」「建物の歴史」とい オリジナルニットのファッシ
をスタートす
条件がこのョンショーを開いた福井雅己
ありきの出発 ビルに伴わっさんは「街の中心にあって、
る際、この言
若林さん
ていたから しかも雰囲気が素晴らしい。
と小原さんの
同意事項だっ
だ。
側も大切にしていきた
長期視点で経営
「ビアホーい」と話す。
とはいえ
ルなどにすれ こうした声を頼りに「当初
古い建物を改修し、さらに「アち立てている最中」と、小原 ば目先の利益は期待できるとの理想七、採算三の割合を、
ート」という看板で売るのは、さん。若林さんも経営に関し思うが、長い目でみたら経営 十年後に逆転させたい」と若
事業採算的には決してやさしては「五年程度の短期スパン的にも望ましくない。立地が林さんは意気込む。
私の採点
「サヴィ」 長
岩井貴代さん
この建物の行方は、取り
壊しが取りざたされていた
ときから気になっていまし
このような形で再生さ
れて、京都に住む人間と
てうれしいです。
ホール使用料手ごろ
ですが、その点が改善され お昼に二階のレストランを
しかも使用料が手ごろ。訪ねたのですが、ドアを開
これなら若者や、やる気のけるまで本当に営業中なの
ある人たちが集まってくるか心配でした。初めてここ
のではないでしょうか。 に来る人を呼び込む意味で
も、一階に目をひく店があ
るといいと思います。
センスのいいアートショ
ただ、建物の入り口を見ップや、ニューヨークにあ
以前のホールは、雰囲気
ただけでは、中に何がある るようなギャラリー 木屋
はあっても電源などの設備
が古くて使いづらかったのかが分かりにくい。先日、さんなら、魅力的ですね。
でーた
▼事業主 若林広幸建築研究
▼運営
一九二八
▽開業
12月10日
ユビキュビショップ」、 1
・アンデパンダン」と「キ
階に「同時代ギャラリー」、
▼施設概要 地下1階、地上
4階。 地下1階に「カフェ
▼延べ床面積 1150平方
▼年商目標 3500万円
▼敷地面積 330平方
2階
にレストラン「アマー
クドパラディ」、 3-
4階にホール 「アートコン
プレックス 1928 」
▼駐車場 なし
ギャラリー正午ー午後
7時、 2階レストラン=4
前11時半一午後11時 (土日
は午前零時) 3-4階ホ
ルー午前9時~午後9時
正午 午前零時、ショッ ▼所在地 京都市中京区三条
▼営業時間 地下1階カフェ ▼投資額 3億円
1 御幸町
プ=正午一午後8時半、
が、こうした全一致の取り
組みが、特に新しい「場」を
求める若い層や、感度の高い
三十代女性を呼び込んでい
る。

2000.05.01

『NEW KYOTO ART COMPLEX 1928』KYOTO VISITORS GUIDE/2000年5月

New Kyoto
Art Complex 1928
Something old for the very young
Leading the way into the 21st century
Kyoto is much more than just a city of ancient culture and traditions. It is also a growing, changing modern city that has world famous high-
tech companies, leading edge designers and countless entrepeneurs. Kyoto is a city that both leads into the past and into the future. Enjoy
ancient history or history in the making-enjoy Kyoto.
At the corner of Sanjo and Gokomachi
(D-6, pg 11 map), diagonally across the
street from a glass-walled building of
hip cafes and boutiques, stands an
orange-colored three-story building
that was built way back in 1928. Until
a few years ago, this was the Mainichi
Newspaper Kyoto Branch Office.
When the newspaper moved to newer
quarters, the old building was sched-
uled to be torn down. A public protest
that clearly proved that the building
was a historical asset saved the build-
ing. In answer to the public outcry,
Hiroyuki Wakabayashi, the architect
who designed the new Mainichi Kyoto
office, decided to buy the building and
turn it into a youth culture space.
In December of 1999, the building-
now repainted and completely redone
inside-reopened as an art center
focused on young artists and young
people in general. The first floor is a
leading youth art gallery and art shop.
The basement is a huge bar/cafe. The
second floor is an Italian restaurant,
and the third floor a cultural hall
called Art Complex 1928.
Until a few years ago, the Art Complex
1928 space functioned as a lecture and
drama hall. The hall, about 210 square
meters in size, has now been entirely
redone. The new hall features excel-
lent lighting fixtures and sound equip-
ment, and seating room for up to 250.
It can be rented out for private parties,
events, and exhibitions. The stage at
the front of the hall can be used in a
number of ways. Come and see what
the 21st century in Kyoto is all about.
Come and visit Art Complex 1928.
For rental details, or upcoming event
info call 254-6520, or e-mail: artcom-
plex@pan-kyoto.com
21世紀を担う創造性豊かな新しい京都の産業やビ
ジネス、ユニークなお店などを毎月紹介しています。
今月は、旧毎日新聞ビルを改装し、新たな息吹を取り
入れたカルチャースペース、 若者による若者のための
アートコンプレックス 1928です。

2000.04.17

『続京都探訪ハイカラ 1928ビル』京都新聞/2000年4月17日

7版
(明治25年3月17日第3種郵便物認可)
第424
京都
探訪
1928ビル
浜川町
メモ
正面バルコニー部分に大きな星形窓がある。
のほか建物のあちこちにも。毎日新聞の
章が星だったための名残。京都市指定文化財。
ビルの名称「1928」らの、いわゆる近代建築は
は、この建物が建てられた次々に取り壊され、愛
昭和三年の西暦年数。毎日
このままでは百
している。
新聞京都支局として建てら 年、二百年たった時、建築
れ、昨年までは現役支局だ 史上の空白ができる。
った。現在は建築家の若林 「そういう危機感があっ
広幸さんがオーナー。ギャ て、このビルを残しておき
ラリーやレストラン、カフたいと…。 それに設計
などが入居、三階は貸しの武田五一に対する思い入
ホールだ。新聞社支局としもあるようです」
派手な肌色は
名称は変われど現役
ては老朽化し、使用に耐え 武田五一といえば、近代
られなくなった建物が、 な 建築界の巨人。 ここも、彼
ぜ生き残ったのか。運営の傑作のひとつ。 大正末期
理に当たる 「ART CO から昭和初期に流行した、
MPLEX 1928」の窓の直線的なを重ねて水
プロデューサー小 平線を強調する様式の代
さ
んとはいう。
表的存在でもある。 外壁の
「オーナーは建築家です 色がくすんだ色から
から、こうした建築に思い 手な肌色にられ戸惑わさ
入れを持っているんです」 れたが、実は建設当初の色
京都では百年前くらいかに近いんだそう。
「ホールはかつて、京都近代の名建築を残した
い、 そんな意気込みが伝
の中小の劇団などが集立っ
ていく場だったと聞いてま ってくる。
これからもそうした役
す。
目を果たしていきたい」
文・加藤 眞吾
写真・横田 勝征

2000.02.12

『京の名建築 再デビュー』読売新聞/2000年2月12日

昭和27年11月26日第3種郵便物認可
アーチ型天井をした多目的ホールでは、照明で「1928」
を浮かび上がらせて観客を迎え入れる(京都市中京区で)
京の名建築 再デビュー
1928年築 地元建築家が修復
文化発信拠点に
戦前、ヨーロッパの先端デザインを日本に取り入
れた建築家、武田五一 (一八七二-一九三八)設計
京都市中心部にある昭和初期の名建築が、 「第二
の人生」を歩み始めた。老朽化で壊されかねない危
機にあったのを、市内の建築家若林広幸さん(5)
が買い取って修復。建設年にちなんだ「1928ピ
「ル」という名称をつけ、「文化の発信基地」として
再デビューした。近代建築の保存、活用を考えるう
えでの興味深いケースとして注目を集めている。
文川人 献 写真・山本 高裕
70年前のヨーロッパの先端デザイン
が息づく 「1928ビル」
土曜トピックス
若林さんは先鋭的作品で きな演出や照明を落とした 市が避けて通れない問題。
知られ、南海電鉄関空特急 アーチ型天井の優美な曲そこでは経済性、安全性、
ラピートも手がけた。ビル線が演奏を盛り上げ、リー生活、歴史、文化などの諸
を買ったのは九八年。「優ダーの門奈紀生さんも「音 課題がせめぎあう。 関西の
建築物が老朽化して
近代建築に詳しい滋賀県立
効果がいいし、何より
されていくばかりでは、京 雰囲気がある」と、ホール大学の石田潤一郎助教授は
都の近代建築は空白になっ たたずまい”に感激「近代建築は使われてこそ
てしまう。ビルが老朽化 した。
意味があるから、今回のよ
売りに出ていると聞き、 少 「近代建築物をどう保存 うに転用して保存するのは
しでも延命させたいと思っ していくか」は、現代の都 理想的だ」と評価する。
た」という。
ビルはコンクリートが劣
化し、鉄筋も腐食。地下は
配管から水が漏れていた。
このため八か月と約五千万
円かけて修復、耐震壁二十
二枚で補強した。 「人が
集まり、使ってこそ建築」
と考え、自分の事務所だ
玄関口った三階ホールを多目的ホ
積は千七十平方が。
のクランク型に屈曲する直ール「アートコンプレック
線模様やビル前面の強調さス1928」、二階をレス
れた水平線、三階ホールのトランにし、地下のカフ
アーチ型天井など、当時ヨェ、一階のギャラリーと
ーロッパで流行したデザイともに昨年十二月、新生
ンが取り入れられている。 928ビル」がスタートし
武田は、二十世紀初頭にた。
渡欧してアールヌーボーな 先月二十九日には、ホ
どデザインの新潮流を学んールで初のコンサートが催
京都大本館、京都市役された。出演はタンゴバン
一
所本館などを設計。同大建ド「アストロリコ」。
同ビルは一九二八年(昭建設され、毎日新聞京都支
和三)、大毎京都会館とし局などが入った。鉄筋地下築学科の創設にも尽力し、九二八年にアルゼンチンで
中京区三条通御幸町角に一階地上三階建て延べ床面教授を務めた。
作られた曲を織り込むい
讀賣新聞
THE YOMIURI SHIMBUN
2 月 12 日 土曜日
2000年(平成12年)
読売新聞大阪本社
大阪市北区野崎町5-9
郵便番号 630-8551
EVENING EDITION (日刊) 第16933号 読売新聞大阪本社 2000年

2000.01.15

『あすを生きる 小原啓渡インタビュー』京都新聞/2000年1月15日

京都の繁華街の一角、中
京区三条通御幸町に「アート
コンプレックス1928」は
ある。 らくだ色をした四階建
てのビルの三、四階部分を修
復し、昨年十二月に誕生した
多目的ホール。舞台芸術、音
楽など、文化創造の新たな拠
点として注目を集めている。
もともとこのビルは、 京都市
役所や京都大の時計台などを
設計した武田五一が手がけ、
一九二八年に完成した毎日新
聞社京都支局の建物だった。
支局移転を機に、建築家の若
林広幸氏が九八年に買い取
保存している〉
を担当することになった」
<電源、冷暖房、照明、音
響設備は完備したが、天井は
アーチ型のまま。意匠的には
昭和初期のハイカラな雰囲気
そのままだ。白を基調にした
空間は劇場としての個性を十
分に感じさせてくれる〉
だけでなく、融合して違うモ
ノを生み出す段階に来てい
のではないか。別々に語られ
がちなエンターテインメント
(娯楽性)と芸術性が融合
性
したモノを発信していきた
い。日常から切り離され、洗
練されたアートを、日常に近
づけるためにも娯楽性は必要
『スーパー歌舞伎』がそ
たが
こけら落とし公演には、
東京のダンスカンパニー「コ
コンドルズ」を招いた。ダンス
あり映像、生演奏、演劇あり
とまさにコンプレックス。「徹
底した痛快無比の娯楽作品を
追求」しているカンパニーだ〉
オープンして一カ月たっ
「お客さんは、時間の堆積
が染みついている空間に魅力
を感じている。単なる箱じゃ
ない。芝居、ダンス、シンポ
ジウム、ファッションをやっ
たが、二十九日には初の音楽
ジャンルとしてタンゴを企画
している」
(パフォーミング・アーツ・
プレス」で、
ネットワーク)
「創造とはなにか」のテーマ
で芸術家へのインタビューを
連載中だが
「これまで、国内外問わず
二十人以上にインタビューし
た。『創造』は、抽象的では
あるが人間にとって根本的な
こと。日常生活で、創造して
ますか、と問いかけたい。大
切なのは、『ナンバーワン』
ではなく、『オンリーワン』。
比較して出し抜くことより、
自分にしかできない感覚をい
かに磨くかが重要ではない
か。ホールで言えば、『今の
ホール名を「アートコン
「プレックス」としたのは
「二十年ほど、照明を中心 「コンプレックスとは複合のいい例だと思う」
文化創造の新拠点に
フリーペーパー「PAN 生活、何かちゃうねん』と思
っている人に足を運んでほし
い。意識、価値観が変わるき
(聞き手 平井 利彦)
っかけになれば」
に舞台制作の仕事を続けてい
る。若林さんとは以前からの
知り合いで、ホールを見に誘
われた。二百二百五十人収
容規模のこんな劇場が街中に 体の意。異分野のアーティス
あったのかとびっくりした。 トが融合する複合芸術を目指
近年は閉鎖状態だったよう したい。歌舞伎がそうだ。 音
で、若林さんの思いは、文化 楽、ダンス、芝居が絡み合う
発信のビルに再生したいとい総合芸術ですから。 近年、い
うことだった。二つ返事で『やろんなジャンルが共同で表現
りましょう』と。共同出資でするコラボレーションが試み
会社を設立し、私が企画運営 られているが、単に持ち寄る
あすを
聞く
「アートコンプレ
ックス1928 小原啓渡さん
のプロデューサー
こはら けいと 1960年兵庫県生ま
れ。同志社大法学部中退後、 舞台照明に
携わる。現在、舞台制作会社代表。フリ
ペーパー「PANプレス」も発行する。
南区在住。

1999.12.05

『昭和初期の名建築、いま複合芸術の砦に』京都民報/1999年12月5日

1999年12月5日 (日曜日) (毎週日曜日発行)
京
都
民 報
若者たちの注目を集める中京区の三条通り界隈。 昭
和初期の名建築を今に残す旧毎日新聞京都支局ビル
(三条御幸町角)の三階ホールが多目的ホール「アー
トコンプレックス1928」としてリニューアルオー
プンします。
設計した七十一年前の建築
物で、京都市の登録有形文
化財に指定されています。
星形のバルコニーや玄関左
のランプカバーには二〇世
紀初頭のヨーロッパの装飾
様式であるアール・デコの
影響が認められます。
若林広幸氏(南海特急「ラ
ピート」をデザインした建
築家)が私財三億円を投じ
て買い取り補修しました。
「建物は使われなければ
ならない」と強調する若林
氏はホールのオープンにあ
たって「博物館のような保
ャラリー、二階にレストラ
ン、地下にカフェが入りま
す。
し、凝った演出ができるよ
うに電気容量、音響、照明
などを再検討し、設備を整
化の一途で人々の生活から
かけ離れてしまった感があ
るんですが、今は逆に複合
コンドルズ
こけら落とし公演
10日から
を目
使いながら保存
同ビルは、京都が生んだ
近代建築家の草分け、京大
の時計台や京都市役所庁舎
設計者である武田五一が
建設当時の毎日新聞京都支局ビル
初期の名建
毎日新聞京都支局の移転
にともなって、建て替えの
話が持ち上がり、武田の建
築が失われる現状を惜しむ
旧每日新聞|
京都支
いま復合芸術の砦に
何でもござれ
ホールは木組みの床に白
壁、丸天井とバルコニーと
いう旧ホールの仕様を生か
三条通の名所残った
建築家
若林氏 三億円投じて買収・補修
存ではなく、現役の商業用
ビルとして使うという発想
だ」といいます。ビルには
三階ホールの他、一階にギ
しながら、音楽、映像、芝
居、古典芸能からファッシ
ョンショー、さらにこれら
を複合した舞台まで対応
えました。
同プロデューサーの小原
啓渡氏は「舞台芸術は細分
芸術 (コンプレックスアー
ト)の方向。このホールはこ
れに対応した」といいます。
ンスカンパニー「コンド
ルズ」を招いてこけら落と
公演が開かれます。 「コ
コンドルズ」の公演は「二〇
○○年バージン」で関西初
公演。ホールの特色と機能
を
フル活用した舞台を披露
します。芝居、無声映画と
生演奏、現代美術や指人形
まで盛り込んだ意欲的なス
テージです。
十日(金)午後七時半、
十一日(土)午後二時半・
後七時半、十二日(日)
午後二時半。一般前売り三
千円(当日三千五百円)、
学生前売り二千五百円(当
三千円) 問い合わせはア
アートコンプレックス192
80075.16520°
古典芸能からファッションショーと、ジャンルを
越えた複合芸術の場としてリニューアルする多目
十日(金)から十二日(日)
には、近藤良平さん率いる
ダ
的ホール「アートコンプレックス
午

1999.12.05

『若者文化の発信基地へ』毎日新聞/1999年12月5日

若者文化の発信基地へ
旧毎日新聞京都支局ビル
装い新たにお披露目
中京区三条通御幸町角の
旧毎日新聞京都支局が、貸
レストラン 今週オープン
しホールとレストランに改
装され、今週のオープンを
貸しホールとして生まれ変わる旧毎日新聞京都支局の3階
前に4日、関係者に披露さ
れた。大毎京都会館(京都
支局)として竣工した19
28(昭和3)年にちなみ、
「1928ビル」の名称で、
若者文化の発信地として生
まれ変わる。
旧支局ビルは明治から昭
和初期に活躍した建築家の
故武田五一の設計で、アー
ル・デコ調の名建築として
知られる。昨年3月に売却
を受けた、若林広幸建築研
究所が柱や外壁などを全
この日はインドの弦楽器
のシタールが流れる中、ホ
ールでベリーダンスやパフ
ォーマンスが披露された。
ビルのオーナー、若林広幸
所長(50)が「かつての支局
のホールのように、文化の
発信地にしていきたい」と
あいさつした。
貸しホールの料金は、平
日午前10時~午後10時の終
日使用で1万円。 ホールの
こけら落とし公演は10~22
日、ダンスカンパニー「コ
面的に改修した。貸しホーンドルズ」による「200
になったのは旧支局の30年ヴァージン」。2階の
階ホールで、名称は「アー 旧支局編集室は、洋風レス
トコンプレックス192 トラン「アマーク・ド・パ
8」。演劇やコンサート、 ラディ・キョウト・コンプ
講演会など幅広い分野に利 レックス」として、5日オ
用できるという。
ープンする。
【中村美奈子】

1999.12.05

『旧毎日新聞支局ビル 文化の拠点にリニューアル』朝日新聞/1999年12月5日

文化の拠点にリニューアル
旧毎日新聞京都支局ビル
昭和初期に建築家武田五一によって建てら
れた旧毎日新聞京都支局ビル(中京区三条通
御幸町角)が四日、「1928ビル」と名前
を変え、リニューアルオープンした。 ビル内
演劇やダンスなどが上演できるフリース
ペースが設けられ、新たな文化の発信拠点と
して再出発する。
同ビルは一九二八年に建築
された。地上三階、地下一階
建て。三階バルコニーの形状
などにアール・デコの影響が
みられる。京都市登録有形文
化財にも指定されている。
毎日新聞が移転することを
知った建築家若林広幸さん
市民へホール残す
(HO)=上京区=が買い取り、
新名称には建築された年代を
採り入れた。支局ビル当時か
ら三階ホールは演劇や講演会
などが開かれ、市民に広く利
用されてきたため、ホール機
能は残すことにした。天井の
高さは五、広さは二百十平
客席は最大で二百五十
席。音響面などで改築を加
え、ホール名は「アートコンプ
「レックス1928」にした。
これまで営業をしてきた地
下のカフェと一階のギャラリ
などに加え、二階にはレス
トランも新たに開店した。
ビルオーナーとなった若林
さんは「京都では末までに
建てられた寺社などの建造物
保存されているが、近代建
が次々とされている。 で
きるだけ長く保存していきた
い」と話している。 ホール利
用の申し込みなどはアートコ
ンプレックス1928 (07
5・2546520) へ。
オープン記念として3階の
「アートコンプレックス19
28」ではダンスパフォーマ
ンスが披露された=中京区で

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