小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.08.24

「く」、「口」で。

「口は禍のもと」などと言いますが、「口」は「言葉」の比喩的な表現ですね。

特に会話は、「売り言葉に買い言葉」などという表現もあるように、「失言」であったり「言葉足らず」であったり、「自分勝手な解釈」であったりと、文章でやり取りされる内容以上に「トラブル」が生じる可能性を孕んでいます。

文字(文章)というのは、相手に伝わる前に、言葉を選んだり練り直す時間がありますが、口語の場合は、感情に影響を受ける度合いも大きいですし、論理的に考える時間も少なくなります。

おまけに、録音でもしていない限り証拠もないので、「言った、言わない」の不毛な展開になる場合も多い。

仕事上で起こるトラブルの多くも、文章化していないことで泥沼化します。

いわゆる「契約」というのは、こういったトラブルを未然に防ぐためのものですが、同じ内容の契約書でも日本とアメリカでは、文言の量が数倍違うということをよく聞きます。

日本における契約のベースに「信用」があるということ、アメリカが多民族国家であり、異文化間における誤解が生じ易い土壌であるということが主な理由なのでしょう。

兎にも角にも、「あいまいさ」が日本文化の特徴の一つに挙げられることもしばしばですが、トラブルにつながる可能性がある事項に関しては、出来る限り文章化して、口が禍にならないように十分気をつける必要がありそうです。

小原啓渡

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