小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.04.02

ルール

「る」、「ルール」で。

「ルール」ってすっかり日本語のように定着してますが、訳すとどうなるんでしょうか?
法律から常識といわれる社会規範にいたるまで、「ルール」は広義に用いることができますが、「規則・規定・規約」あたりが一般的でしょうか。

僕が個人的な思いで訳すなら「ものさし」ですが、「暗黙の了解・合意」っていうのも理想ですね。
もちろん、社会にルールが必要なのは十分理解できますが、ルールに頼らなければ安全と機能を維持できない社会や組織ほど未熟な気がします。

また、ルールが多ければ多いほど、人は自分で考え、判断するということをしなくなる傾向があると思います。

たとえば、「赤信号は止まれ、黄信号は注意、青は進め」というような、僕が子供の頃に教えられたルールがありますが、車が全く通っていない時でも、赤信号で止まっている歩行者を見かけるのは日本くらいでしょう。

日本人はルールを守る真面目な気質を持っている、という意味では誇るべきだとは思うのですが、人間はロボットじゃない、というのも考えるべきだと思います。
(ロボットはプログラミングされた通りの動きしかしません。つまり、ロボットほど真面目な存在はない)

ただ、信号のルールに関していうなら、赤だから止まるというのではなくて、交差点は事故の危険性が高いので十分に注意する、ということが第一義のはずです。
従って、青であっても注意して渡る必要があるわけで、ルールにさえ従っていればそれでいいというものでもないですよね。

状況に応じて、自分で考え、判断することを助ける「ものさし」として「ルール」がある。

チェコのプラハに行ったとき、町中に信号がほとんどなくて驚いた記憶があります。
道を渡ろうとすると、車がちゃんと止まってくれる。
これって至極当たり前のことなんですが、とても気持ち良かった。

「すべての交差点に信号機が設置されるような社会には住みたくない」
これが僕の思いです。

小原啓渡

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