小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.09.25

マラソン

「ま」、「マラソン」で。

古い話ですが、中学三年の時、校内マラソン大会で優勝しました。
と言っても、自慢できるほどのことでもない。
田舎の中学校で、全校生徒のうち男子が150人くらいでしたし、正規の陸上部もありませんでした。

ただ自分にとってこのマラソン大会での優勝は、かなり思い出深いのです。

今もその当日のことをよく覚えていて、たまに田舎に帰った時、たまたま車で当時のマラソンコースの一部を走ったりすると、「ああ、ここで最後のスパートをかけたっけ・・」と思い出し、その時競り合っていた相手の激しい息づかいさえ蘇ってきたりするのです。

なぜ、あの日のことをそこまで詳細に覚えているのかと考えてみると、おそらくあの経験が僕の人生における小さいながらも初めての「成功体験」だったからでしょう。

それまで、勉強も体育もそこそこはできるけれど・・・という自分が、初めて明確な目標を立てて、自分なりに一生懸命練習し、その目標を達成できた。

大げさかもしれませんが、あの時の爽快感がひょっとすると今の自分を支えているのかしれません。

そんなこともあって、息子のマラソン大会には興味津々でした。
勉強の成績など気にしていなかったですし、父親参観などにもほとんど行かなかったように思いますが、マラソン大会だけは平日でも仕事をやりくりして応援に行きました。

小学校一年から、徐々に距離が伸びていくマラソン大会で、彼はなかなか優勝できませんでした。
それでも、僕の思いを知ってか知らずか、高学年になるに従って、大会前には自主的に早起きをして個人練習をするようになっていました。

そして、中学2年の時、念願の優勝を果たしました。(中3も優勝)

別に全国大会で優勝したわけでもないのに、僕らしくない「親ばか」ですが、あの時は本当にうれしかったですね。

親として「これで彼はもう大丈夫だ」と、漠然と思ったのを憶えています。

小原啓渡

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