小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.08.07

モダン

「も」、「モダン」で。

ある美術系の学生に、「モダンって何だと思う?」と聞いた時、随分考えた挙句「お好み焼きと焼きそばをミックスさせた感じですか?」と逆に聞き返されて、
「いや、それってどちらかと言うとポストモダンに近いでしょう」と僕もつられて答えていました。

確かに「モダニズム」、特に「ポストモダン」に関しての定義は難しい。

例えばダンスの、「モダン」と「コンテンポラリー」の違いを明確に説明することが難しいように、「モダン」と「ポストモダン」の明快な境界を示すのは困難だと思います。

時は急速に流れますから、30年前に「ポストモダン」あるいは「コンテンポラリー」と言われたものが、すでに今は「クラッシック」に近いものになっていたりする場合もありますから、学術的な定義を別にすると、やはり「今」という基準点から感じる過去の「懐かしさ」を含んだものが「モダン」だと捉える方が一般的かもしれません。

1928年に建造の「アートコンプレックス1928」はまさに「モダン建築」だと思いますが、最初にその空間に身を置いた時、身体的な深い記憶が呼び起こされた感覚がありました。

「はっきりとは憶えていないけれど、過去に実際感じとったことのある記憶・・・」

ところで、「モダン焼きがモダンなら、ポストモダンは何?」と聞いて、
「オムそばですか?」と答えた前述の学生には、お笑い系に進路を変えるべきだとアドバイスしました。

小原啓渡

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