小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.05.22

わらしべ長者

「わ」、これで三周目が終了です。「わらしべ長者」で。

「わらしべ長者」は、最初「わら」を持っていた男が、「物々交換」を繰り返していくうちに、最後には屋敷を手にいれるという有名な日本のおとぎ話のひとつですが、「需要と供給」「価値観」「経済」といったことを考える上で、面白い話だと思います。

お金という共通の価値基準が存在しなかった時代、
経済活動の基本は「物々交換」であり、「欲しいもの・必要なもの」に対する欲求の高さ(需要)がものの価値を決定していました。

例えば、飢餓状態にある人間にとっては、1カラットのダイアモンドよりも、一切れのパンの価値の方が高かったわけです。

これって、僕には至極当然のことに思えるのですが、現在の経済活動においては、それらがほぼ全てお金に換算されてしまいます。

「お金で買えないものはないのか?」という拝金主義的な議論が持ち上がるのも、この辺りに根源があるように思います。

詰まるところ、「買えるか、買えないか」ではなく、「満足できるか、できないか」、ここがポイントだと僕は思うのですが・・・。

ただ、この部分を突き詰めようとすると、(以前「知足」ということに関して書きましたが)、人は何によって、どの時点で「満足」を感じるのかという、「欲望」という概念も含めた、哲学的な論点に行きついてしまいます。

何が言いたいのかというと、
お互いの「満足度」という観点から見ると、「物々交換」は非常に明快なシステムですが、「わらしべ長者」は、すでにお金という価値基準が存在した時代の話です。

「お金」というものがあるのに、なぜ「物々交換」をしたのかという疑問も含めて、タイトルに「長者」(お金の価値)という言葉がある以上、この話は根本的な価値基準において、大きな矛盾を含んでいると思うわけです。

小原啓渡

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