小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.04.16

コミュニティー

「こ」、「コミュニティー」で。

「コミュニティー」とは、同じ地域に居住して利害を共にする、いわゆる「共同体」のことですが、
このことばでまっ先に思い浮かぶのが、デンマークにある2000人程の、とあるコミュニティー。

そのコミュニティーの名前や場所など、今のネット時代、調べれば分かる事だとは思いますが、
そこに僕を連れて行ってくれた友人が、
「最近、単なる物珍しさで観光にくる外国人が多くて辟易している」というようなことを苦々しそうに言っていたので、一応ここでは伏せておくことにします。

そこは、湖を中心にしたかなり広大なエリアで、城壁で取り囲まれており、門の入口には撮影禁止の看板が掲げられていました。

歴史的には、軍の駐屯地だったこの場所から軍隊が移動した1990年代に、
ヒッピーやアーティストたちがこの地に入り込み、コミュニティーを形成した。

その状況を国も面白がり、期間限定で承認し(この辺がまず日本では考えられない)、電気や水道を供給した。

期限が過ぎてもコミュニティーが立ち退かないので、その後、何度も国との争いが続いたが、現在も存続している。

現状に関しては分かりませんが、僕がこのコミュニティーを訪ねた頃は、
まさに、いい意味での「治外法権」「解放区」でした。

実際にここに住んでいた友人の話では、国の法律はここでは適応されず、コミュニティーのルールがあるだけ。

このエリアに住みたければ、自由に自分で家を造って住めばよく(実際、湖畔に手作りっぽい家がたくさん建っていた)、菜食レストランやカフェ、雑貨屋や美容院、軍が残していった建物をリノベーションした美術館さえ出来ていて、驚くことにそれらが全てハイセンス。

そのコミュニティーの中だけで走っている独特な自転車があり、湖畔ではみんな全裸で水浴びをしていて、僕の滞在期間中にはボブ・ディランのコンサートさえありました。

全く、無政府状態であるにも関わらず、一つの町が穏やかに動いている状態を目の当たりにして、僕は本当に驚愕したのでした。

過去僕が訪れた国の中でも、デンマークは大好きな国の一つです。

理由は、閉ざされた冬から一挙に目覚める緑(木々や草花)の、爆発的なエネルギーの美しさと、
この「コミュニティー」の存在です。

小原啓渡

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