小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.04.13

競争

「き」、「競争」で。

「競争」が好きな人もいるかと思いますが、僕は嫌いです。
できれば避けて通りたい気持ちはありますが、現代社会の構造上、好む好まざるに関わらず競争しなければならない事態に陥ることが多いというのが現実です。

資本主義社会で生きている限りは仕方がないと諦める気持ちと、理想的な社会を思い浮かべる気持ちが入り混じって複雑ですね。

ただ、今の社会構造が変わらなかったとしても、その中で生きる人間一人一人の考え方が変われば、大きな変革が起こるのではないかとも思います。
(希望的観測ですが・・・)

例えば、「ライバルは自分です!」と誰かが言うと、
ちょっと茶化して「かっこいいー!」とか、「キザ?!」って感じの反応をしてしまいがちですが、
実は、この言葉の本質には重要な意味があるのではないかと思っています。

誰かとではなく、今の自分と競争する。
何かとではなく、自分と戦う。

確かに、誰しもこういった側面を持って葛藤しているとは思いますが、
現状として表れているのは、政治、経済、教育に至るまで、他との「競争」を煽る社会です。

自分のモチベーションを上げるために競争相手を自ら設定したり、
全体における自分の位置を確認するためにだけに順位を使う、といった能動的な捉え方ができれば別ですが、
単純に勝敗や順位にこだわり始めると(特に当事者ではなく他者が)、社会が根本から歪んでくるように思います。

自らに挑戦して打ち勝つこと(例えば自己新記録の達成)にこそ意味があるという価値観がもっと浸透し、
誰もが「自分のライバルは自分です」と照れなく言い切れる社会になれば、
そしてその言葉を素直に受け入れることができる社会になれば、

今人類が抱える問題の多くが改善していく気がします。

小原啓渡

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