小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.12.21

特別目的会社

「と」、「特別目的会社」で。

「特別目的会社(SPC:special purpose company)」とは、資産の原保有者からの買い取りや資金調達のための証券や債権の発行、投資家への収益の配分といった特別な目的のために設立される会社のことで、過去2回、舞台公演をファンド化するために自身で設立した経験があります。

当時「特別目的会社」を用いて小劇場での舞台をファンド化する試みが全国的に皆無だったため、新聞や雑誌などに多く取り上げていただき、その宣伝効果もあってか、一度目は12%、二度目は10%の配当を出すことに成功しました。
ただ、実験的な要素も多く、100万単位の小さな規模のものでした。

その後、不動産に係るリート(Real Estate Inveestment Trust)のスキームに特別目的会社を用いる事例が急増し、最近では破たんするリートも多く、ファンド自体のイメージが決して良いとは言えないために3度目の実施を躊躇してきました。

しかし、失敗例というのは少々分野が違っていても学べる部分は多く、自分の経験と他の失敗例から再度研究、検討をした上で、今一度コンテンツファンドの設立に挑戦してみたいと思っています。

お金儲けの目的と手段としてではなく、リスクを分散しみんなの力で困難な事業を成功させるというファンド本来の意義に徹することができれば、成功の可能性もより高くなるのではないかと思います。

ただし、ファンドは寄付ではなく投資です。
リターンを返す、少なくとも出資者に損害を負わせてはならないということを肝に銘じておかねばなりません。

その責任の重大さ故に実施を躊躇してしまう気持ちがあることも否めませんが、それらの重責を負ってでも、やるに値する社会的価値の高い事業であれば、やるべきなのだろうと思います。

小原啓渡

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