小原啓渡執筆集「諸行無常日記」
2008.09.05
とんぼ
「と」、「とんぼ」
今日、久しぶりにトンボを見ました。
屋内に紛れ込んで、何度も何度もガラス窓に激突していました。
久しぶり、というのが何だか悲しい気がしました。
子供のころ、僕が育った田舎では、トンボも蝶々も蛍もカタツムリも身近なものでした。
十センチ以上の「鬼やんま」だって、普通に飛んでいて、鬼やんまは蚊を食べてくれるというので、捕まえては糸をつけて、何匹も部屋で放し飼い?にしていました。
秋口には「赤とんぼ」が乱舞して、それがごく普通の情景でした・・・。
他愛もないノスタルジーですね。
ただ、今の子供たちが大人になって、思い出の中で感傷に耽れるような情景が、はたして今の生活環境にあるのだろうかと考えると、ずいぶん少なくなっているような気がします。
(都会に住む子供の半数以上が、昇る朝日を見たことがないという記事を読んだことがあります)
「情緒」というのは、こうした自然の営みや景観から影響を受け、発達していく部分が多いことを考えると、「情緒不安定」な人間、「情緒」という感覚さえ知らない人間が増えていく可能性が強いと思っています。
「味気ない」だけでは済まされない「すさんだ」社会にしないためにも、子供たちに残していくべき大切なものとは何なのかを、今一度考えなおす必要があると思います。
小原啓渡