小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.08.19

医療

「い」、「医療」で。

4年ほど前まで、僕は十二指腸潰瘍に悩まされ続けていました。
10年以上、具合が良くなったり悪くなったりを繰り返していて、当時かかっていた病院(日赤)では「おそらく神経性のものですから、生活を変えるしかないですね」とまで言われていました。

確かに不規則な長時間労働、飲み会等も多く、経営者としての心労などもありましたが、仕事を変える気など全くなかったので、持病として一生付き合っていかなければならないと覚悟していました。

しかし、症状は進退しながらも少しづつ悪くなっていて、いよいよ飲み続けていた薬も効かなくなり、ある方の紹介で、名医と評判の中国人の医師に診てもらうことになりました。

僕が10年以上にわたる症歴を説明すると、「すぐ完治しますよ、ピロリ菌です」と、検査前にも関わらず自信ありげにおっしゃいました。

「ピロリ菌のことは僕も知っていて検査もしましたが、結果は陰性で、日赤では神経性だと言われたんですけど・・・」

「ピロリ菌の検査には3種類あって、違う検査法ならピロリ菌が見つかりますよ、胃潰瘍の90パーセント以上がピロリ菌絡みですから・・・」

その後、胃カメラ。

「う?ん、これはかなりまずいなぁ。潰瘍が瘡蓋のように大きくなっていてカメラが通らないかも・・・、通らないと切らないとしかたないですね?・・・・・、あっ!、通った・・・、良かったですね、手術の必要はないです」

ホッとすると同時に、半信半疑でピロリ菌の検査を受けて、結果を待ちました。

数日後、ピロリ菌、検出。

「この薬、1週間飲み続けたら、完治です」

「マジっすか?」

数日後、確かに痛みは消えていましたが、10年以上も患った持病です。
こんなに簡単に治るはずがないと思い、「痛み止めだけは下さい」というと、
「必要ないです、完治です」と、きっぱり。

それ以来4年以上が経過しますが、本当に一度も痛んだことがありません。

このピロリ菌、1983年に発見され、2005年にノーベル医学賞を受けるまで、なかなか日本では受け入れられなかったと聞きます。

症状が出る以前でも、ピロリ菌さえ除去しておけば、ほとんどの潰瘍や胃炎は消滅するという事実は、つまり、胃腸科の患者が激減することになります。
そして当然、医薬品メーカーにしてみれば、薬が売れなくなるわけです。

病院やメーカーは、病人が増えることで利益が増加します。

病気にならないための「医療」、「東洋医学」や「代替医療」が過去になかなか浸透してこなかった理由には、こういった経済システムの裏があったのかもしれません。

医学においては、「対処療法」(病気を治す医学)だけでなく、病気にならないための医学も同様に、いやそれ以上に大切であるはずです。

僕の場合は、たまたま良い先生に出会えて、本当に幸運だったと思いますが、ピロリ菌の検査を早めに受けて除去さえしておけば、僕のように苦しむ人がいなくなるかもしれません。

やはり、病気にならないための「医療」を個人個人がもっと研究し、日々の生活に前向きに取り入れていくべきだと思います。

小原啓渡

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