小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.08.16

「わ」、「枠」で。

今日で5周目が終了です。

「枠(わく)」とは、「ジャンル」であり「カテゴリー(部類)」であり、「型」でもあると思います。(型にはまる、という言い方がありますね)

「アートコンプレックス1928」を立ち上げる時、枠の中で勝負するより、枠のないところで自由に動いてみたいという思いが強くありました。

当時、アートのフィールドにおいても芝居、ダンス、音楽、美術など、かなり明確に世界が分かれていて、よく行政の各部署が「縦割り」だと言われるように、アートの世界も同じように「縦割り」な部分が多いと感じていました。

今では、「コラボレーション」という言葉も一般化して、ジャンルを超えた協働作業が普通に行われていますが、当時はかなり各ジャンルに閉塞感があったように思います。

ただ、僕は「コラボレーション」というのも、各ジャンルが交流しているだけ、というイメージがあって今一つ好きになれず、「混沌から新しい創作が生まれる融合感」に興味と可能性を感じていました。

そこで思い至ったのが「コンプレックス」つまり「複合」という概念でした。

当時は「シネマコンプレックス」という言葉もなく、コンプレックスといえば「マザコン」を思い浮かべる人がほとんどで、「アートに対する複雑な心情」という風に取られて、名前の意味を聞かれるたびに何度も説明する必要がありました。

とにかく、枠を作る方向ではなく、枠を外していく方向に進むことを決めて仕事に取り掛かったわけですが、今思うに、その選択でよかったと思っています。

もちろん各ジャンルの中でそのクオリティーを突き詰めていく行為は素晴らしく、価値あることだと思います。
ただ、僕が興味を持つ「新しいもの」というのは、最初は奇妙に思え、どのカテゴリーにも入れづらい、ジャンルを特定しづらいものですが、それ故に面白く、大きな可能性を秘めていると思うのです。

これからも、いい意味で、「枠」にも「常識」にも捉われない発想を大切にし、積極的に新しい創作に関わっていきたいと思っています。

小原啓渡

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