小原啓渡執筆集「諸行無常日記」

2008.03.03

ポンコツ

「ほ」、「ポンコツ」

「ポンコツ」とは、「ポン」と「げんコツ」で殴るってことから生まれた造語のようですが、何気に「かわいい」というか、親しみのあることばですね。

僕の「ポンコツ」は、やはり車です。

1972年製のイギリス車ですから今年36歳ですね。
人の30代は働き盛りですが、車年齢でいくとかなりの長寿です。
(最近では10年を超えて現役の車は非常に少なくなりました)

「オースティン1300」という名前で、通称「からし号」と呼ばれています。
単純にからし色をしているというだけなんですが、以前、1969年製のスズキのフロンテバン(こちらはパンダ号)に乗っていた時、2台を区別するためにスタッフが呼び始めた「あだ名」です。
(からし号より年配だったパンダ号は、懸命なる介護も及ばず、数年前ついに廃車になりました)

上記の2台とも、廃車状態のものを二束三文で買ってきて、時間をかけて少しづつ修理し、現役復帰した車です。
(ちなみにその前の車は、「イノチェンティー」という、もうとっくに会社も倒産したイタリアの車でした)

こうした車に乗り続けるには、かなりの忍耐と、
古い車を愛してる腕のいいエンジニアが必要最低条件です。

僕の知り合いのエンジニア(といってもおっちゃん)は、たいがいの部品なら自分で造ってしまいます。
(古い車の部品はもうメーカーでは製造していないのです)
次々と既に供給がストップしている部品がダメになっても、おっちゃんは頑張ります。
僕も、どんなに故障しようが頑張ります。

おっちゃんが、「この部品だけは造れない」と悲しそうに言った時が、
臨終(廃車)のときです。

おっちゃんに悲しい顔をさせたくないので、僕も車を大切にしています。

冬は床が錆びて穴が空いているので寒いです。
もちろん冷房もないので、夏はサウナです。

すぐに動かなくなるし、
家族からは「もっとマトモな車にしてよ!」とか、
「なんかこの車に乗ると酔うねん」とか、
夏と冬なんて、「送ろうか?」といっても、
「いや、バスで行くわ」とか言われてしまいます。

それでも僕は、おっちゃんと一緒に、頑張ります。

小原啓渡

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